2016:U-23代表:アジア五輪最終予選決勝:中立:vs韓国「1200%の実力を出しての優勝」その3

采配評価:A

今大会通しての手倉森 誠監督のチームマネジメントの巧さが際立っている。
コンディションを維持させる采配だけではなく、どうモチベーションを維持するか。
世界大会で敗れて来た王者のメンタリティを備えていない挑戦者のメンタルティの中で、リオ五輪出場という一つの目標を達成した中で、気が緩む所だが、最後まで諦めず、しっかり戦う。
2点差が開いたが、そこからの同点からの逆転に向けた積極的な采配。
16浅野 拓磨の投入のタイミングは、絶妙で一気に流れを呼び込んだ。
試合後のインタビューで、16浅野 拓磨の投入で、「攻めろ」という監督の指示だと思って攻めたいう趣旨のコメントを21矢島 慎也がしており、監督と選手がしっかりコミュニケーションを取れているのが分かった。
A代表では逆に、2006年のドイツW杯でこういった意思疎通がうまく行かず、逆転負けした試合もあった。
そういった意味では、選手交代によるしっかりとしたメッセージを発信出来た点は、しっかり評価したい。
勿論、裏目に出た部分もあるが、それに対するリカバリーであったり、打開策を打つ積極的な采配もアジア大会優勝には欠かせなかった。

総合評価:A

勝負の明暗を分けたのは、「走」に対する意識にあると思っている。
日本は、今大会監督のコンディション維持する選手起用と、試合中の選手のペース配分が、上手くできていた。
全ての試合で、日本が、90分間(120分間)でのインテンシティの高さを発揮していた。
1試合を通して、変わりない運動量をキープする。
そして、それが、チームとしての粘り強さに繋がっている。
かと言って、引き過ぎたり守備をサボったりする事もない。
あくまで、90分間走り切って、組織としてやるべき事をしっかり実行する。
選手一人一人チームのために戦う。
それだけではなく、気負い過ぎず自分の出来る事をしっかりやる。
こういったメンタルの強さ。
実は、手倉森 誠監督は、そこの弱さを感じて、そこから変えていった。
選手の弱かったメンタルが、ここまで逞しくなったのも手倉森 誠監督の人としての大きさ。
そして、選手たちのサッカーに対する気持ちは、本物であったからだと言えるだろう。
一方で、韓国は、先行逃げ切りのサッカーで、惜しみなく、全力プレーをした。
終盤は、気持ちだけで戦っていたと思うが、チームとしてインテリジェンスに欠けたプレーであったのも事実。
90分間もしくは120分間を考えた戦い方が出来ていれば、また違った結果になったかもしれない。
もっと言うと日本もイビチャ・オシム元監督の影響もあり「走」の考え方は、韓国に近い部分があった。
また、アルベルト・ザッケローニ元監督、ハビエル・アギーレ・オナインディア元監督の影響もあり、デュエルを避ける事に繋がっていたが、この代表では、局面局面で、しっかりデュエルを行う事が出来ていた。
1試合通して、インテンシティの高さとそれを可能とするインテリジェンス。
それが備わった心技体揃った素晴らしいチームだった。

4、試合後記

MOM

「16浅野 拓磨」

逆転ゴールを含む2得点の大活躍。
スピードと決定力の高さを発揮しての16浅野 拓磨らしい得点だった。
今まで得点出来てなかったので、感無量のゴールであった。

MIP

「21矢島 慎也」

1得点1アシストの活躍。
アシストのスルーパスは、16浅野 拓磨のスピードを活かしての素晴らしいスルーパスだった。
得点もDFとうまく駆け引きして、前に入ってクロスに頭で合わせてのインテリジェンスに優れる素晴らしい得点だった。

満足度

12点(10点満点)

韓国が120%の実力を出せば、私は12点を出します。
0-2になった時には、韓国の個人技の高さにうなだれて、日本の実力不足を感じたが、劇的逆転勝利した時にサッカーは、個人技だけではない何かがある。
それを感じる感動的展開だった。
本当に成長著しく、逞しくなった。
リオ五輪でもこの粘り強さを発揮して、日本にメダルをもたらして欲しい。

日本から世界へ
To Be Continued

by 杉野 雅昭(masaaki sugino)

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