レビュー:2018:J2:第3節:H:vs大分トリニータ「ファジフーズ名にもなっているホットラインから今季初の流れからの得点を守り切り3試合連続完封勝利」

岡山vs大分:1-0
得点者:24赤嶺 真吾(14上田 康太)
観客数:8,358人

1、チーム情報&評点

評価基準

良:1~5:悪

審判

主審:窪田 陽輔:2.5
副審:桜井 大介、日高 晴樹:2.5
第4の審判員:武田 光晴

H:岡山

監督

長澤 徹:2.5

スタメン

9李 勇載(イ・ヨンジェ):2.5
7伊藤 大介:2.5、24赤嶺 真吾:2.0
21椋原 健太:2.5、14上田 康太:2.0、8塚川 孝輝:2.5、2澤口 雅彦:2.5
6喜山 康平:2.5、3後藤 圭太:2.5、33阿部 海人:2.0
22一森 純:2.0

リザーブ

GK:13金山 隼樹
DF:4濱田 水輝、31下口 稚葉
MF:15末吉 隼也、17関戸 健二、19仲間 隼斗
FW:18齊藤 和樹

途中交代

9李 勇載(イ・ヨンジェ)→18斎藤 和樹:2.5
7伊藤 大介→15末吉 隼也:評価不可

 

A:大分

監督

片野坂 知宏:2.5

スタメン

10藤本 憲明:2.5
20小手川 宏基:3.0、9後藤 優介:3.0
19星 雄次:2.5、33丸谷 拓也:2.5、35宮阪 政樹:2.5、7松本 怜:2.0
6福森 直也:2.5、5鈴木 義宜:2.5、4竹内 彬:2.5
31高木 駿:3.0

リザーブ

GK:1修行 智仁
DF:14岸田 翔平
MF:15清本 拓己、38馬場 賢治、48川西 翔太
FW:11林 容平、18伊佐 耕平

途中交代

4竹内 彬→14岸田 翔平:2.5
9後藤 優介→48川西 翔太:3.0
10藤本 憲明→11林 容平:評価不可

2、得点経過

H:岡山:1-0:24赤嶺 真吾(14上田 康太)

経過

 左サイドから2次攻撃3次攻撃と仕掛けて、大分の選手がクリアミスしたところを21椋原 健太が回収してサイドのスペースにいた9李 勇載(イ・ヨンジェ)へ入れます。9李 勇載(イ・ヨンジェ)は、冷静にキープして囲まれている状況であったことから無理せず、マイナスのパスを14上田 康太へ出します。14上田 康太は、1トラップ後、大分の選手と距離があった事から寄せが来てもパスを出すイメージ出来る時間があったので焦らず、狙いすましたクロスを入れます。低い弾道で、1バウンドしたボールを24赤嶺 真吾は、左足でのボレーシュートを打ちます。これがGK31高木 駿の手の先を抜けて行き、岡山が先制。

コメント

 最後の手前の部分で、確かに大分の選手のクリアミスが大きかったのですが、9李 勇載(イ・ヨンジェ)が受けた時に距離はありましたが、周囲を囲まれていて、単独突破が厳しい状況でした。もう少し寄せてボールを奪いに行くか、パスコースをしっかり切る必要がありましたが、どちらも中途半端で、9李 勇載(イ・ヨンジェ)に大分の選手の注意が集まるに留まり、大分の選手のポジションが自陣深くに集中したことで、14上田 康太が、バイタルエリアで余裕を持ってクロスを入れる状況を作る事に成功しました。
 また、14喜山 康平がどんどんチャンスメークを狙って、前への意識が高いことも得点の形に繋がった要素の1つであったと思います。

3、注目ポイント

Q.1「3節目流石に新戦力の出場は落ち着いた感じか?」

A「今節は新戦力の出場は無かったが、11三村 真の欠場により2澤口 雅彦が右WBで今季初出場。そして、それに伴い左のWBに21椋原 健太が移った。21椋原 健太は右WB程攻撃面では貢献出来なかったが、2澤口 雅彦の両WBの守備での貢献は大きかった。」

Q.2「19仲間 隼斗の出場停止明けで、どういった起用のされ方をするのか。」

A.「流石に開幕戦の退場のイメージがあったのか出場機会はなかった。しかし、リザーブ入りは出来た事から一定の信頼は維持されている様だ。加えて、展開的に守備への影響などを考えると起用し辛い状況ではあった事から信頼を大きく損ねたという訳ではない事も確か。」

Q.3「サイドの選手のリザーブ入りは、今節もないのか。」

A.「31下口 稚葉は、一応出来るが、本職の選手のリザーブ入りは無かった。どうやら監督のプランの中では、サイドの選手には90分間走ってもらう事を前提として考えているという事がこの3試合での起用から明らかになった。また、いざとなれば、システムチェンジなどのアイデアもなどの採用を考えている事もサイドの選手の交代しない理由である可能性は高い。そして、9李 勇載(イ・ヨンジェ)と、24赤嶺 真吾とターゲットが二人いる事で、縦に速いロングパスが有効で、前線に行くまでも速く、負担は昨季より軽い事も関係している。昨季までは、時間がかかった事で、サイドを経由することが多かったが、今季はバランスよく長短左右と使えている事からサイドの選手の求められる運動量は軽減されて、前線の選手の負担は増えている。この辺り前線の駒が豊富であるという点が、この選手起用を後押ししている。」

Q.4「今節もセットプレーで得点をとれるか」

A.「屈強なDF陣の要する大分の山脈をセットプレーで攻略することは、この試合では出来なかった。持続的なセットプレーの攻撃時間も少なく、大分に巧く守られた印象。こういった隙の無い守備が出来る大分の様なDF陣をセットプレーで、どう攻略していくかは、今後の目標となる。」

Q.5「セットプレー以外での攻撃の形をどれだけ機能させることが出来たか。」

A.「左WBの11三村 真が欠場し、21椋原 健太が左WBに移った関係で、右サイドからの仕掛けの質のクオリティーは落ちた。左サイドも21椋原 健太の利き足が右足という事もあり、クロス数こそ減ったが、右足を使ったパス交換で、形を作り易く14上田 康太が絡み易い状況になった。そういった事もあり、左サイドから今季初の流れからの得点が生まれた。ただ、左WBの手薄さが早くも出た状況で、2節までレギュラーだった11三村 真のパフォーマンスにも及第点は出せていないことを考えても長澤 徹監督が一環として、WBの起用基準である運動量と判断力に優れる選手という条件を満たすサイドの選手が不足している。チームとして、流れから得点を奪うためにもこういった攻撃の整理をしつつ、色んな選手を活用し、総合力を如何に上げて行くことができるかというのは、終盤に勝ち点を稼ぐために必要な事である。」

Q.6「被カウンター数が増えるような軽率なミスをどれだけ減らせるか。」

A.「危険なカウンターこそ受けなかったが、33阿部 海人のパスミスからカウンターというシーンが何度かあった。ただ、チームとして守れており、33阿部 海人自身も味方の隙をカバーし、チームに貢献した。特に1対1での対応は素晴らしく、判断と身体能力、守備技術の高さが際立っていた。」

Q.7「無失点を継続できるか。」

A.「見事3試合連続完封勝利。誰が良かったというよりは、チームとしてしっかり戦えている。色々な選手にミスが散発しているが、それを巧く選手同士で、カバー出来ているので、少なく見える。その結果、チームとして負の連鎖に陥りそうな場面で、巧くそれを断ち切り戦えている。現段階の守備は、1人1人が、持ち味を発揮している事で、1+1=3+αといった感じに巧く機能している。
昨季の岡山は、選手の高齢化やリーグのレベル向上してきた関係で、J2参入後序盤の選手では勝つのが難しくなっていた。そこにストーブリーグで、重い腰をあげて大規模な選手の入れ替えを行った。その成果として、若い力、中堅、ベテランといった分類の選手構成のバランスが多少是正された事で、力を発揮できるチーム構成に出来た。その結果、チームの強化資金を最大限生かせるチームに変貌した。しかし、J2リーグのレベルは高く、シーズンが進むにつれて勝つのが難しくなるので、終盤に近付いていく中で、どれだけ勝てるかがポイントとなる。」

Q.8「終盤受け身になる事が多い時間帯にどれだけ強い戦いが出来るか。」

A.「この試合でも、終盤に猛攻を受けた。ただ、中央をしっかり固めて、シュートコースを切っていた。1対1の局面でも互角以上に戦えており、ドリブルで剥がされて作られる危険なシーンも少なかった。大分の前線に高さも無い事もあり、守備に比重を置いた岡山は、スペースを与えず、危ないシーンは、ほぼ作らせなかった。被CKや被FK数も少なく、しっかりスローインに切るプレーや、可能であれば前方へ大きく蹴れるプレーが出来ていた。これは、1対1や空中戦の部分で、ある程度戦えていたという証左と言える。」

Q.9「難しい展開になった時にどういった采配を選ぶのか。」

A.「守備のリスクを考えて、バランス重視で、慎重な采配であった。リードを奪うというよりは、逃げ切りを考えつつ追加点を狙える攻撃力を残しつつというイメージ。今後は、追加点をどう奪うかという課題があるという事に加えて、リードされて追う展開で、どういった采配を執るのか注目ポイントではある。」

Q.10「9後藤 優介を中心とした高い得点力のある大分の攻撃をどこまで抑えられるか。」

A.「裏への抜け出しといった攻撃パターンを許さず、エースと言える9後藤 優介に仕事をさせなかった。ボールホルダーに対して、適切なタイミングと状況で、プレスをかけた事で、簡単にスルーパスやクロスを許さなかった事が、チームとして巧く守れて居た事の証拠である。」

Q.11「5鈴木 義宜を軸とした安定感のある大分の守備組織をどうやって攻略するか。」

A.「非常に守備が堅く隙が少なかったが、今季からの岡山のホットラインである14上田 康太と24赤嶺 真吾のホットラインからその壁を打ち破った。」

Q.12「7松本 怜と対峙する11三村 真のどちらがサイドを制するか。」

A.「11三村 真が欠場したが、21椋原 健太が左WBで対峙。7松本 怜のドリブルでのカットインの対応に苦しんだ。また、背後のスペースを狙ってくる連携パターンでの仕掛けを受けた。数回程度危ない場面があったが、チームでしっかり対応して、奪いきるとは行かないものの決定機を最低限に抑える事が出来た。一方で、攻撃ではクロスや突破してマイナスのクロスなどのラストパスを出す状況を作れなかったという意味で、サイドでの攻防は劣勢に近かったと言える。」

4、文章評

この試合の対戦相手の大分は、この試合の前まで、好スタートを切っており、苦戦必至でありましたが、やはり難しいゲームになりました。また、前回の対戦では、大敗しており、苦手とするチームという印象もある事に加えて、1点差争う試合も多く、しっかり守って、どうやって点を取るかが重要になるカードらしい面白い試合にもなりました。
 まず、ポゼッションの技術が高く、しっかり繋いで左右のWBの上がる時間を作り、サイドからしっかり攻める。そういった約束事がしっかりしていました。実際に守備の得意な21椋原 健太の背後のスペースをパス交換で、突かれたシーンもあり、難しい対応が迫られていました。ここまで2試合フル出場であった21椋原 健太でしたが、この試合では、足を攣る程、守備に追われてしまい大分の攻撃の回数とスピードがあった事が分かる事実であると思います。
 ただ、大分のそういったポゼッションサッカーに対して、前半から果敢にプレスをかけて、GK31高木 駿のパスが岡山の選手にプレゼントパスになる事やラインを割って岡山のスローインになるなど、非常に効果的でした。最終的には先制点に繋がりましたが、そういった岡山のプレスで誘発したミスから得点に繋げる回数を増やす事が出来るかどうかが、カウンターの質を高める上で、必要な課題であると思います。
 試合の方は試合を通じて緩める事ない献身性を続けて行く中で、岡山のホットラインから今季の初の流れからの得点を決めると、開幕から続けてきている無失点で、この試合の大分の攻撃から守り切り、チーム史上初の開幕3連勝という結果を出す事が出来ました。大分に勝ちきる事に成功し、昨季までは違った勝負強い岡山に変わった。そういった印象と、確かな手応えを感じるに十分な勝利であり、次節以降の昇格候補チームとの対戦に弾みのつく結果であったと思います。

5、数値評

評価基準

良:A~E:悪

H:岡山

攻撃評価:C
守備評価:B
采配評価:B
総合評価:B

A:大分

攻撃評価:C
守備評価:C
采配評価:C
総合評価:C

6、試合評

Man Of the Match(MOM):22一森 純(岡山)
Most Impressive Player(MIP):7松本 怜(大分)
満足度:7点(10点満点)

7、今季の成績

勝敗(3/42)
3勝0分0敗(2位:勝ち点9)

得失点
5得点0失点(+5)

ゴール
6喜山 康平×1(頭1)、8塚川 孝輝×1(頭1)、14上田 康太×1(FK左足1)、24赤嶺 真吾×1(左足)、33阿部 海人×1(左足1)

アシスト
8塚川 孝輝×1(頭1)、14上田 康太×2(FK左足1、クロス左足1)、24赤嶺 真吾×1(パス右足1)


クロス→左足×1、FK→頭×1、直接FK×1、FK→混戦→左足×1、CK→混戦→頭×1

失点
無し

岡山から世界へ 
To Be Continued

by 杉野 雅昭(Masaaki Sugino)

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