「やっぱり思っちゃう左ききのカレ」 その3

この前、ひさしぶりにあのコとジャイアンツ球場に行ったの。ケガから復帰したばかりのカレが出る訳ないと思ってたけど、あのコが新しいボーイフレンドのケイを紹介したいっていうから付いてったの。ケイってボーイフレンドも左利きよ。やっぱりあのコは,カレのこと忘れられないのかなって思いながら,いっしょにケイのこと応援してた。ケイがまずまずの投球をしたので二人で喜んだ後,ケイの後に出てくる投手をぼんやり見ていた。



8回になって,「ジャイアンツの選手の交代をお知らせします。**に代わりまして,ピッチャー*ジウチ」というアナウンスが流れた。え,何,今なんて言ったの?「ピッチャー*ジウチ」,えーっ,カレが出てくるの?!確かにマウンドには,幸せ太りでちょっとオッチャン体型になっているけどカレがいたわ。「キャー!」二人のテンションは最高潮よ。あのコの盛り上がりぶりといったら「ケイ」が出てきた時の比じゃなかったわ。



 二人の目の前で,カレが投げ始めた。何か,突っ立ったまま投げているみたいで腕もふれていない。球の速さは130キロそこそこ。思わず二人でつぶやいたわ。「こんなの,私の知っているタカノブじゃない。」二人のテンションは一瞬にして下がったわ。でも,私は気付いたの。あのコの胸の中で,また,カレへの愛が燃え上がったのを。



変な話よね。頼りないカレを見せつけられるほど,愛が燃えちゃうなんてね。あのコ,きっとまたカレを追いかけるわ!そして・・・私もカレを追いかけちゃうの。



崖っぷちのカレをね。


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