巨人がリーグ優勝を逃した理由を考える(その1)(10/5,178220,10)

今年,巨人がリーグ優勝を逃した大きな原因は,先発投手陣の崩壊ということに異論がある方は少ないでしょう.特にひどかったのは,グライシンガー(昨年13勝6敗→今年0勝2敗)・ゴンザレス(15勝2敗→5勝13敗)・オビスポ(6勝1敗→2勝3敗)の外国人投手陣で,2009年はこの3人で34勝9敗だったのに,今年は7勝18敗です.3人が3人ともだめだった訳で,これが先発投手陣崩壊の一番の理由です.

・この状況を,原監督以下の首脳陣が予想していなかったかというとそうではなく,昨年の時点で,「外国人先発投手陣に頼り過ぎること」の懸念は何度も言っていましたし,テコ入れとして,山口・西村健を先発に転向させることを決め,FAで藤井を獲得しました.他方,山口が抜けた後のリリーフが手薄になることを心配して,金刃をリリーフに専任させ,ドラフトで即戦力の土本・小野を,育成でも星野をはじめとする左投手をとり,さらにはメジャー帰りの小林も獲得し,トレードでは木佐貫を出して高木も獲得しました.

・原さん以下の首脳陣が,今年の先発陣に対して楽観視していなかったことは明らかで,そのために,シーズン前から手をうっていた事はきちんと評価しておく必要はあります.

・最初の誤算は,山口がリリーフから抜けた穴が埋まらなかったことです.これで,ペナントレースが始まって間もない4月の中旬には山口をリリーフに戻さざるを得ませんでした.金刃の不安定さと,前半,高木がまるで使えなかったことが大きいですね.クルーンがシーズン序盤は故障で出られなかったことも痛かったです.

・次の誤算は,外国人3人のできが想像以上に悪かったということです.3人のうち,二人位までは想定していたでしょうが,3人とも悪いとは思っていなかったでしょう.一番痛かったのは,グライシンガーがまるで使えなかったことだと思います.先発として,東野や内海が去年を上回る成績を上げましたが,それでは,全く埋まらない大穴でした.

・問題はここからです.シーズン当初のもくろみが狂うのはよくあることで,その場合にどのような手を使うかということに首脳陣の力量が問われます.ここで,今年の首脳陣が取った手法はひらすら,昨年の成功体験にすがることでした.ゴンザレスにすがり,ケガが直りきっていないグライに頼り,2軍でも結果が出ていないオビスポを起用しました.先発の新戦力は朝井くらいです.2009年のシーズンの,オビスポ・ゴンザレスや2007年のシーズンのバーンサイド・福田の先発転向のような抜擢はほとんどありませんでした.
この点で,尾花さんの穴を感じざるを得ません.原監督の不安を払拭して,新戦力を抜擢できる力量が,1軍投手コーチになかったということです.結果として,原監督が,硬直した投手起用を続けたということだと思います.

・整理すると

・今年のV逸の主因である先発陣の力量低下を首脳陣は予測していて,シーズン前から手は打っていた.その点では,首脳陣を責めることはできない.
・シーズンに入って,外国人先発陣のできが予想を超えて悪かった.したがって,第1義的な責任は外国人3投手にある.
・しかし,その危機に対しての首脳陣の対応策は,昨年の成功体験を引きずりすぎ,硬直的だった.この点で首脳陣には責任がある.問題なのは投手コーチの力量不足である.

となります.

・そこで来季への対策ですが,
私は「選手ではなく有能な1軍投手コーチを取れ」といいたいです.投手獲得に関しては,巨人は以前から手を打っています.ファンや林やロメロといった外国人投手,斉藤・笠原といった高卒若手投手の育成はその一例です.今年のドラフトは投手が豊作といわれていますから,それなりの投手はとれるでしょう.上記の外国人3投手だって(グライの去就は微妙ですが),今年の成績以下になるということは考えにくいです.投手陣の層は決して薄くはなくむしろ厚いと思います.

問題は,いい新戦力がいても,それを抜擢できるコーチがいるかどうかです.投手に関しては,原監督が口を挟めない位のコーチが必要です.そういう意味で,来季の1軍投手コーチを誰にするかを,個人的には一番注目しています.

*さて,今回は投手陣の事を書きましたが,私は,今年のV逸の責任はむしろ野手陣にあると思っていますし,そちらの方が深刻だと考えています.それについては,また,別の機会に述べたいと思います.



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