エースの条件とは? (1/17,96615,22)

先発完投型の投手に与えられる沢村賞の選考基準は以下の通り.



1.登板試合数 - 25試合以上
2.完投試合数 - 10試合以上
3.勝利数 - 15勝以上
4.勝率 - 6割以上
5.投球回数 - 200イニング以上
6.奪三振 - 150個以上
7.防御率 - 2.50以下



昨年は,これを満たしたのが涌井投手(沢村賞受賞者)のみでした.これでは,各球団に1名くらいはいて欲しい「エース」の条件としてあまりに厳しいです. 1と2は5に含まれると考えられますし,最近は3を達成すると4はほぼ自動的に達成されます(先発投手が中5日となったので,登板数は最大でも30試合程 度の為,15勝以上勝つと10敗以上するのはかえって難しいから).打たせてとる投手なら三振は多くなくてもよいので6を省き,終盤の苦しいところでもリ リーフに頼らない分防御率も悪くなるだろうということで7も省けると考えました.



結果として残る条件は以下の2つです.
a.15勝以上
b.200回以上投げる.


これを言葉にすれば,「勝ちを計算できて,回数をたくさん投げる(他の投手に負担をかけない)」先発投手=エースということになります.



ところが,昨シーズンにおいて,aを満たしたのは,パリーグ4名(涌井投手・杉内投手・田中投手・ダルビッシュ投手),セリーグ3名(吉見投手・館山投手・ゴンザレス)のあわせて7名いますが,bを満たしたのはセ・パあわせて1名のみ(涌井投手)でした.つまりbのイニング数の条件の方が厳しいことになります.
それでイニング数だけみてやると面白いことがわかりました.指名打者制があって,よいピッチングをしていれば(負けていても)長い回を投げられるパリー グでは,15勝以上上げた上記4名の投手がそのままイニング数でも上位4名となり4人とも180回以上投げていました.セリーグでは,回数の上位3名(石 川投手・三浦投手・前田投手)は,190回以上投げていますがいずれも15勝を切っています.印象度でいえば,この3名とも「エース」といって差し支えな いでしょう.私たちの持つエース像というのは,勝ち負けよりもむしろ「苦しい展開でも懸命に投げ続けて相手チームを最小点におさえ,自チームを鼓舞する投手」であるわけですから,イニング数を投げる投手の方がエースにふさわしいともいえます.



それゆえエースの条件を



・「15勝以上あげる」または「190回以上投げる」先発投手.
=勝ち星を計算できるか,たくさんの回数を投げてくれる先発投手



としたいと思います.


 


このようにすると昨シーズンでは条件を満たす投手は以下のようになります.
セリーグ
・巨人:ゴンザレス,中日:吉見投手,ヤクルト:石川投手・館山投手,広島:前田投手,横浜:三浦投手
パリーグ
・日ハム:ダルビッシュ投手,楽天:田中投手,ソフトバンク:杉内投手,西武:涌井投手



単純な条件ですが,それぞれ「エース」と呼んでよい顔ぶれになったと思います.



*ちなみに,巨人の投手で一番回数を投げたのは内海で179回2/3です.勝敗こそ9勝11敗ですが,「たくさんの回数を投げる」という点において,内海 は巨人の先発投手の中で一番貢献していることになります.9勝11敗という成績にもかかわらず,オフの契約で,内海は昇給した理由にはこの点が考慮された のかもしれません.



*おまけ
・「15勝以上あげる」または「180回以上投げる」先発投手.
というように回数を190→180とすると,上記に加えて,岸投手(西武),大竹投手(広島),内海(巨人)の3名が入ります.ただし,ここでは,179回2/3も180回とカウントしました.


 

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