巨人選手を勝手に査定その7（野手編4）

鈴木尚　31才，45百万円，122試合，打率.262，1本塁打，8打点，25盗塁，出塁率.317，長打率.312

昨年は後半から1番センターでレギュラーに定着し，105試合247打数で打率３割，30盗塁を記録し，ようやくレギュラー獲得かと思われた。しかしながら，シーズン前半が打撃が不調。また，俊足の割にはフライをあげてしまう傾向が強く，打席での粘りで松本に及ばず，レギュラーの座を松本に奪われた。しかし，その後もくさることなく，代走の切り札として，また，守備固めとしてチームに貢献し，出場試合数は自身過去最多の122試合となった。スピードを落とさないために，あえてベースの間際でスライディングする技術はすばらしく，この走塁技術がある限り，1軍ベンチには欠かせない戦力である。他方，レギュラーを取るためには，松本のような打撃での「嫌らしさ」を身に付ける必要があると考える。ともあれ，松本が不調になれば，すぐに鈴木尚がとって代わるだろうから，来年以降のセンター争いはスリリングだろう。新年俸は40-45百万円というところか。

工藤　28才，23百万円，49試合，打率.255，0本塁打，1打点，1盗塁，出塁率.296，長打率.333

昨年「二岡・林-M中村・工藤」のトレードで日ハムからやってきた俊足・好守備・好打の外野手，同タイプの鈴木尚・松本とセンターのレギュラーを争う形になったが，工藤の加入で刺激を受けた松本の台頭で控えとなった。ただし，外野守備を原監督は高く評価していて，ほぼ１年を通じて１軍ベンチにはいた。ラミレス・谷というスタメン外野手の守備に不安があったためだろう。ただし，来年は長野が入ってくるので真っ先に弾かれる立場にある。また，橋本（19）も急成長しているので，このままでは来季は戦力外になる可能性がある。奮起に期待したい。新年俸は2千万円程度というところ。

矢野　29才，38百万円，6試合，打率.111，0本塁打，0打点，0盗塁，出塁率.111，長打率.111

人気も実力もある堅守・俊足・強打の右の外野手だがケガが多い。今季もほぼ1年間をケガで出場できなかった。ペナント終盤に１軍に上がったが，打撃が本調子にはほど遠く，CSや日本シリーズでの出場はなかった。昨年の二岡事件で，「球場外でのオバカキャラ」がばれてしまい，二軍で「謹慎中」に大けがをしたのが今季まで響いた。来季はキャラの重なる長野が入ってくるので正念場である。意地を見せて欲しい。もちろん減俸で28-30百万円という所。

高橋由　34才，3.5-4億円，１試合，打率.000

腰痛で今シーズンを棒に振った。2008年オフに手術する選択肢もあったが手術しないことにして今季に臨んだが，結局手術することとなり１年回り道した結果となった。2008年から４年契約だから，2010-2011年も年俸は変わらず，巨人史上，最もコストパフォーマンスの悪い選手として名を残しかねない。アマチュア〜プロと，ずっと日の当る場所を歩いてきただけに，本人も情けないだろう。他方，高橋由がこれほど悪くなければ，亀井の出番・台頭もなかったはずである（と巨人ファンは思うしかない）。来季は，腰痛が直れば，ライトのポジションまたは１塁のポジションを谷・亀井・李と争う形になろうが，直らなければ引退もあり得る。今年の成績は査定にすら値しない。

加治前　24才，13百万円，14試合，打率.000

プロ初打席サヨナラ本塁打男も今年は１軍でほとんど起用されなかった。2軍ではそれなりに結果をだしていたが（64試合，打率.269，6本塁打，29打点，出塁率.355，長打率.419），なぜか１軍には上がらなかった。工藤の守備力＞加治前の打撃というのが原監督の判断だったのだろうが，加治前も守備・走塁がそれほど悪いわけではないのでもう少し使ってやってもよかったように思う。矢野・長野・加治前はキャラが重なるので，長野が順調に成長した場合，来季は矢野か加治前のどちらかが巨人を出る可能性がある。新年俸は10-11百万円だろう。

橋本　19才，5百万円，１軍出場無し，２軍成績，106試合，打率.238，出塁率.303，長打率.345

「みちのくのイチロー」と呼ばれた，堅守・俊足・好打の高卒ルーキー（右投げ左打ちの外野手）。実力的には，今年の高卒ルーキーの中で最も１軍に近いと思う。鈴木尚・松本・工藤とキャラが重なるが，すでに工藤と同等レベルには来ていると思う。守備・走塁はすでに１軍レベルで，打撃も，大田のような大穴はなく，たいていの変化球に対応できる。体に力がつけば，今，凡打となっている当たりもヒットになるだろう。首脳陣も橋本の可能性をわかっていて，今は，セカンドの練習もさせているという。来季の新人王の大穴である。新年俸は550-600万円という所。