巨人は情を捨てて「育成」に取り組む。
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元大阪爺
2021年12月19日 13:36 visibility368
巨人はドラフトで7名を獲得、育成ドラフトで10名を獲得する一方、支配下登録選手22名と契約解除した(そのうち、12人が育成選手となり、3名(大竹・亀井・野上)がコーチやスコアラーになり、それ以外が退団した)。支配下登録選手枠の70名は増やせないので、その枠のない育成選手を利用したなりふり構わぬ「保有選手」の増加と、競争原理導入(力のないものは育成へ、力のあるものは支配下へ)による戦力向上が目的だろう。
巨人が「(外部)補強も育成も」を明瞭に掲げたのは、清武氏が球団代表(2004~2011年)の時で、育成選手制度をNPBに創設させ、その制度を積極的に取り入れて山口哲投手や松本哲選手を生む一方、小笠原・ラミレス・クルーン・グライジンガー等を入団させた。このやり方は、2度のリーグ3連覇(2007-2009, 2012-2014)に貢献した。
しかし、育成選手のプライドに配慮したのか、育成選手らを「3軍」とは呼ばずに「第2の2軍」と呼び、2軍の下という位置づけは明瞭には行わなかった。また、選手の入団後の実力よりもドラフト上位選手を優遇する傾向を改めなかった。さらに、育成選手の退団後の生活も考えてか、上記のように大量に入団させ、大量に首を切るということはしてこなかった。良くも悪くも「競争原理」は不徹底だった。その後、清武氏がナベツネに反抗したことで、彼を解任すると(2011年暮れ)、「清武憎し」で、巨人は、育成を軽視し、従来通り「外部補強」中心とすることになる。しかし、国内ではソフトバンクが、国外では米メジャーが、有力選手の受け入れ先になると、めぼしい選手が巨人に来ることは少なくなり、巨人の戦力は長期的には低落傾向となった。2013年以降に日本シリーズ優勝がないのは、その表れの1つである。
他方、「(外部)補強も育成も」を徹底したのがソフトバンクである。巨人以上に潤沢な資金で、外部補強を行った。また、多くの育成選手を獲得する一方、育成選手は「3軍」と明瞭に位置づけ、競争原理を取り入れて、力のないものはドンドン首にした。その中から、例えば、千賀投手や甲斐捕手が生まれた。2013年以降、ソフトバンクの日本シリーズ優勝は6回もある。
遅ればせながら、戦力の長期的低落傾向に対して巨人フロントが手を打ったのが、2020年からの育成選手の大量獲得と大量解雇だろう。ソフトバンクと同じことをしていても勝てないのは明らかなので、(ソフトバンクもやらなかった)、支配下登録選手の育成選手への大量格下げを2021年からも始めたことになる。このシステムを長期に続けることができたら巨人は強くなるだろう。ただし、そこには、かつてあった「情」はない。巨人に今後入ってくる選手にとって、それが幸せなことなのかどうかは私にはわからない。
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