レビュー:2018:J2:第9節:A:vs大宮アルディージャ「今季初の流れからの失点で先制を許し、今季の強みであるセットプレーで同点に追いつくが、今季の課題である得点力不足により逆転ならず」

大宮vs岡山:1-1
得点者:10大前 元紀(39嶋田 慎太郎)、14上田 康太(FK)
観客数:7,248人

1、チーム情報&評点

評価基準

良:1~5:悪

審判

主審:吉田 哲朗:2.5
副審:村井 良輔、中澤 涼:2.5
第4の審判員:俵 元希

A:岡山

監督

長澤 徹:2.5

スタメン

18齊藤 和樹:2.5、19仲間 隼斗:3.0
11三村 真:3.0、25武田 将平:3.0、7伊藤 大介:2.5、21椋原 健太:2.5
14上田 康太:2.0
6喜山 康平:2.5、4濱田 水輝:2.5、3後藤 圭太:3.0
22一森 純:2.5

リザーブ

GK:13金山 隼樹
DF:33阿部 海人、31下口 稚葉
MF:15末𠮷 隼也、10大竹 洋平
FW:24赤嶺 真吾、32福元 友哉

途中交代

19仲間 隼斗→24赤嶺 真吾:2.5
7伊藤 大介→10大竹 洋平:3.0
18齊藤 和樹→32福元 友哉:2.5

 

H:大宮

監督

石井 正忠:2.5

スタメン

10大前 元紀:2.0、28富山 貴光:3.0
17横谷 繁:2.5、39嶋田 慎太郎:2.5
7三門 雄大:2.5、15大山 啓輔:2.5
6河面 旺成:2.5、2菊池 光将:2.5、4山越 康平:3.0、13渡部 大輔:3.0
22笠原 昂史:2.0

リザーブ

GK:21塩田 仁司
DF:5中村 太亮、19奥井 諒
MF:8茨田 陽生、33奥抜 侃志
FW:9ロビン・シモビッチ、11マルセロ・アパレシド・トスカーノ(マルセロ・トスカーノ)

途中交代

13渡部 大輔→19奥井 諒:2.5
17横谷 繁→8茨田 陽生:2.5
15大山 啓輔→11マルセロ・アパレシド・トスカーノ(マルセロ・トスカーノ):2.5

2、得点経過

H:大宮:1-0:10大前 元紀(39嶋田 慎太郎)

経過

 大宮の選手がワンツーで、サイドの深くまで侵入してクロスを入れます。一度は岡山の選手がクリアしますが、セカンドボールを拾われてしまい2次攻撃を受けました。この時に縦に付けたボールを39嶋田 慎太郎が、絶妙なフリックで、10大前 元紀へ通します。これを10大前 元紀が見逃さず、頭で押し込まれてしまいます。22一森 純も飛びつきましたが、その上を越えて行きました。

コメント

 良い距離間の下、絶妙なパス交換から抜け出されてしまったのが、痛かった。この試合の序盤は、こうした大宮のパス回しに守備が後手に回ってしまい。失点するべきして失点しまったと言える。前から行く分、そこで奪いきれなければ、こういった事は高い確率で起きる。前でどれだけ奪うかというのは、J1を目指すうえでは大事な事と言える。スペースを過剰に埋めすぎると、攻撃になかなか移れないので、そこは巧くバランスを取っていきたい。
 また、39嶋田 慎太郎のフリックの様な創造性のあるプレーも岡山も増やしていきたい。こういったゴールは、見ていて気持ちいいですし、是非岡山もこういったファンタスティックなプレーが絡んだゴールが見てみたいです。

A:岡山:1-1:14上田 康太(FK)

経過

 岡山のゴールキックボールが、18齊藤 和樹の所へピンポイントで行きフリーで落とすことに成功する。19仲間 隼斗と2菊池 光将が落下点に行き、少し早く19仲間 隼斗が触った事で、2菊池 光将の足が遅れて接触し、ファールとなり岡山がFKの獲得に成功しました。ペナルティエリア手前のほぼ正面のやや左よりという好位置。ボールの所へは6喜山 康平、7伊藤 大介、14上田 康太が立ち、細かい指示を出し、隙を探します。GKの22笠原 昂史もほぼ真ん中に立つ事を強いられる難しい状況でした。そして、蹴ったのは14上田 康太で、壁を越えて落ちて行くボールで、変化及びコース、球足共に申し分なく、22笠原 昂史の腕の先を通り過ぎて、ゴールネットを揺らし、岡山が同点に追いつきました。

コメント

 22一森 純の右足は、ここまでの好調を支えています。ミスキックが少なく、最終ラインの選手も安心して戻すことが出来ます。自陣深くのゴールキックからでしたが、18齊藤 和樹がフリーで落とすことが出来たので、やはりその精度はファールを貰う流れに繋ぐ事が出来た様に素晴らしいプレーであったと思います。19仲間 隼斗の接触を恐れないボールへの執着心も良かった。
 そして、何より14上田 康太の左足。素晴らしい精度のFKで、9試合目にして早くても直接FK2得点目。攻撃の要としてその左足は大きな武器となっており、今の戦い方をする上で欠かせない選手であると思います。本当に素晴らしいFKでした。

3、注目ポイント

Q.1「前線の組み合わせがどうなるか。また、16リカルド・エンリケ・ダ・シルバ・ドス・サントス(リカルド・サントス)に出場機会があるかどうか。そして、そのプレーぶりはどうであったか。その結果、チームとしてもどうだったか。」

A.「16リカルド・エンリケ・ダ・シルバ・ドス・サントス(リカルド・サントス)の出場機会はなかった。前節の継続性下で、同じ組み合わせで、この試合も戦った。徐々に良くなってきているので、そのまま行く選択肢は、十分ある。特に18斎藤 和樹と19仲間 隼斗の2人のパフォーマンスの向上が目を見張るものがあり、結果こそ出ていないが、期待感を感じる内容であったと思います。ここに16リカルド・エンリケ・ダ・シルバ・ドス・サントス(リカルド・サントス)と24赤嶺 真吾をどう組み込んで行くかという楽しみがある。ただ、得点になかなか繋がっていない通り、相手陣地深くに侵入しているのが、限定されているので、その回数をどう増やしていくのかというのは、1つのポイントである。」

Q.2「14上田 康太の相方もしくは、14上田 康太の前の7伊藤 大介の相方が誰になるか。チームとして、中盤のポジショニングを含め、どういった布陣で臨んだ内容や結果はどうなるか。」

A.「この試合でも25武田 将平を14上田 康太の前で、7伊藤 大介と組ませていた。前からのプレスという意味では、運動量があり、7伊藤 大介とある程度連動してプレスをかける事が出来ていた。同じく運動量もある8塚川 孝輝、右足に自信のある15末𠮷 隼也、運動量と粘り強さのある17関戸 健二のポジション争いが、楽しみです。ただ、開始してしばらくの間プレスの判断や奪取率を考えると、改善の余地がある。ポイントとしては、追い込み方はある程度連動していたが、強度や速さの部分でもう少し上げるれるかどうかという点である。その部分を政田でしっかり煮詰めて欲しい。」

Q.3「3後藤 圭太と6喜山 康平の2人と一緒に最終ラインで戦うのは誰になるか。その結果、この試合でも堅守として機能したかどうか。」

A.「新潟の高さを警戒したのか33阿部 海人ではなく、4濱田 水輝だった。流れで崩されて失点こそしましたが、高さの部分でしっかり戦えていたと思います。9ロビン・シモビッチに出場機会が無く、どうなっていたか気になる所ではありますが、その辺りホームでの対戦で見てみたい所です。地上戦に強い33阿部 海人と空中戦に強い4濱田 水輝を相手によって起用していく流れになると思います。ここに出場機会がまだない5増田 繁人が絡んでこれるかどうかが気にある所ではあります。

Q.4「前節見せた主導権を握るサッカーを出来るかどうか。もしくは、カウンターやセットプレーの少ないチャンスで、得点を狙う事になるのか。」

A.「ポゼッションも互角に出来ていて、主導権こそ握れませんでしたが、遅攻もある程度形が見えてきました。しかし、流れでの得点が、この試合でも無く、セットプレーでの1点であった通り、後一押しする力が不足している事は、周知の事実となりつつある事は、課題。
その理由としては、今シーズンは、ほとんどのチームの攻守の切り替えが速く、遅攻での得点が難しくなっており、カウンター色の弱い岡山が得点するのが、難しくなっている。特に唯一のスピードがあった9李 勇載(イ・ヨンジェ)の怪我での欠場により前線にスピードが足りなくなった事で、流れからの得点がより難しくなってしまった。
それでもここ2試合はその部分に対して、一定の答えを用意出来た内容を見せており、18齊藤 和樹と19仲間 隼斗の2トップで、攻守でハードに戦えるようになってきた事に一定の手応えを感じたのは、収穫。」

Q.5「新潟の様に大宮も前線からの守備などの部分で課題があるのか。それとも別の理由で不調なのか。岡山は、そのどちらかの大宮にどこまで戦えるのか。」

A.「大宮の前線からのハイプレスは、強度の部分では、J2のチームが目指す水準ではなかったものの新潟よりは機能していたと思います。練習で守備に時間を割いたという事も理解できる組織力であったと思います。
 そして、この順位が不思議なぐらい開始直後のパス回しは、技術力と展開力があり、先制点に関してもパス交換で、サイドを攻略し、攻撃に厚みを持って2次攻撃に繋げ、最後はサッカーセンスを感じるフリックでのパスで10大前 元紀のゴールをアシストされてしまった。
 率直な感想としては、やはりここから上がってくる力を持ったチームだと思いますし、次回対戦する時は、より難しいゲームになる。そう感じた内容と結果であったと思います。こういった強いチームに勝てるようにならないと今の順位を維持することは難しいと思いますし、チームとしてももっと戦えるチームに成長を続けて欲しい。」

Q.6「プレビューで挙げた注目選手(10大前 元紀、2菊池 光将、7三門 雄大)に対して、どこまで自由を制限し、持ち味を消す事が出来たかどうか。」

A.「10大前 元紀に関しては、攻守で、存在感を放っていた。先制ゴールに加えて、裏への飛び出しやチャンスメークなどで、しっかり仕事をしていた。守備時も素早い寄せ、岡山のミスを誘うプレーをされてしまった。残念ながら10大前 元紀に対しては、次回対戦時には、どう抑えるか対策を考える必要がある。
 2菊池 光将には、随所随所で、しっかりとした守備対応をされてしまったシーンが何度もあった。ただ、得点に繋がったシーンでは、2菊池 光将のファールを巧く誘い、FKを得た。チームの要のファールからそこから波状攻撃を仕掛けて逆転まで行けなかったのが今の岡山ではあるが、そういった位置に際どいプレーが出来た事で、こちらはある程度戦えたと言える。
 7三門 雄大に関しては、攻守で堂々とプレーされてしまった。シュートも2本打たれてしまいましたし、中盤の要として機能させてしまった。90分間通して、主導権を握り切れなかった事を考えても、中盤での戦いで押し切れなかった。次回対戦では、しっかりデュエルを中心に勝てる様に力強さと組織力で対抗したい。」

4、数値評

評価基準

良:A~E:悪

A:岡山

攻撃評価:C
守備評価:C
采配評価:C
総合評価:C

H:大宮

攻撃評価:B
守備評価:D
采配評価:C
総合評価:C

5、文章評

この試合でもJ1から降格してきたチームとアウェーで対戦。DAZNで見た限りは、結構観客が入っているように見えましたが、観客動員数は、約7000人。岡山サポであると同時にJリーグサポである私からすると寂しい数字でした。J1で長い間戦ってきたチームでも観客動員数に苦しんでいるチームが多く、サッカー人気の陰りをヒシヒシと感じています。ヴァヒド・ハリルホジッチ監督の突然の解任などもあり、A代表の人気もより落ちてサッカーの冬の時代が迫っています。野球の大谷フィーバーで沸く野球界に対して、押されつつあるサッカー界。しかし、そういった中でも少しでもサッカーの魅力を伝えて、サッカー観戦の醍醐味を感じて頂けるようなレビューで書けたらと思っています。まずは、地元のチーム。そういった動機を47都道府県で実現出来たらどんなに良いだろうか。そういった伸びしろがある様に岡山もまだまだ伸びる。そういった事をこの試合でも感じる事が出来た。

 今季の序盤戦の岡山は、戦術9李 勇載(イ・ヨンジェ)+飛び道具(セットプレー)、全員守備の3要素を強みとしたシンプルなチームでした。その1つである戦術9李 勇載(イ・ヨンジェ)が9李 勇載(イ・ヨンジェ)の怪我によって、出来なくなると攻撃の糸口を失ってしまう事になりました。
 そこで捻り出したのが、3-1-4-2の14上田 康太を中盤に底に据えて、その前の4人が攻守にハードワークし、14上田 康太がパスでチームをコントロールし、中盤において攻守で主導権握るサッカー。そして、2トップにすることで、ターゲットを分散し、ゴール前での受ける回数を増やすという策でした。
 これが新潟戦で当たり、中盤でボールを持つ時間長く、自陣より敵陣でボールを持つ時間が長くする事が可能となりました。現状では、戦術9李 勇載(イ・ヨンジェ)程、堅守でポゼッションの低さに反して、敵陣でのボールを持つ時間を長くという事は出来なくなりましたが、その変わり中盤で、主導権を争える事で、ある程度のポゼッションが出来る様になりました。
 ただ、LWBに攻撃的な選手の筈である11三村 真の攻撃での貢献度が守備的である21椋原 健太と比べても低く守備も軽いために、攻守ともに見劣りしている状況で、チームとして手薄なポジションでと言え、そこも補強したい所。右サイドだけではなく、左サイドでも攻守で安定感が出てくれば、より高みを目指せると思いますし、ここにいつ手を加えるかというのは、今後の課題と言える。
 また、16リカルド・エンリケ・ダ・シルバ・ドス・サントス(リカルド・サントス)をどう起用していくのか。怪我から戻ってきた8塚川 孝輝をどう起用するのか。こういった部分で、現状の得点力不足を解決しつつ基本戦術である飛び道具(セットプレー)、全員守備といった部分に上乗せできるか。長澤 徹監督の決断と采配に期待したい。

6、試合評

Man Of the Match(MOM):14上田 康太(岡山)
Most Impressive Player(MIP):22笠原 昂史(大宮)
満足度:6点(10点満点)

7、試合後通算対戦成績

H:大宮:1勝(総得点:4):2分:(総得点:1)0勝:岡山:A
H(岡山):シティライトスタジアム:0勝1分0敗
A(岡山):NACL5スタジアム大宮:0勝1分1敗

8、今季の成績

勝敗(9/42)
6勝2分1敗(1位:勝ち点20)

得失点
10得点3失点(+7)

ホームスコア(3勝0分1敗:5得点1失点)
1-0×2、3-0×1、0-1×1

アウェースコア(3勝2分0敗:5得点2失点)
0-1×3、1-1×2

ゴール(全10ゴール)
3後藤 圭太×1(頭1)、4濱田 水輝×1(頭1)、6喜山 康平×1(頭1)、8塚川 孝輝×2(頭1、右足ミドル1)、14上田 康太×2(FK左足2)、18齊藤 和樹×1(PK右足1)、24赤嶺 真吾×1(左足ボレー)、33阿部 海人×1(左足1)

アシスト(全7アシスト)
8塚川 孝輝×2(頭1、右足1)、9李 勇載×1(右足1)、14上田 康太×3(FK左足2、クロス左足1)、24赤嶺 真吾×1(パス右足1)

得点の形(流れ×2、セットプレー×8)
クロス→左足ボレー×1、FK→頭×2、左足直接FK×2、FK→混戦→左足×1、CK→混戦→頭×1、速攻→ポストプレー→右足ミドル×1、CK→2次クロス→頭×1、PK(右足)×1

失点(流れ×1、セットプレー×2)
CK→ショートコーナー→右足(ミドル)×1、PK×1、左足(フリック)→頭×1

得点時間帯(10得点:前半×6、後半×4)
1分~15分×1、16分~30分×3、31分~45分×2、前半AT
46分~60分×3、61分~75分×1、76分~90分、後半AT

失点時間帯(3失点:前半×2、後半×1)
1分~15分×1、16分~30分×1、31分×45分、前半AT
46分~60分、61分~75分、76分~90分×1、後半AT

岡山から世界へ 
To Be Continued

by 杉野 雅昭(Masaaki Sugino)

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