輝ける七つの海を渡る風のように

 ☆

 





11月某日 深夜


*アンドレとあっ!くま・・・・は、あの夏以来、久しぶりに電話で話をした・・・・*



アンドレ

ハロー、KAZ。アンドレだ。

あっ!くま・・・・

アンドレ、この前は世話になったな。ありがとう!元気か?

アンドレ
























あぁ、元気だ!ありがとう。たまには、寝込んでみたいな(笑)

あっ!くま・・・

間違ってお前の体内に入っちまったウイルスは悲惨だな。逆に食われちまう(笑)

アンドレ

ずいぶんだな(笑)相変わらず口が悪いな。その調子で、あまり姫☆をいじめるなよ。彼女、最近よくメール寄越すぞ。この間、ワイフにたまたま見られて、このジャパニーズガールは誰だ?と問い詰められた(笑)

あっ!くま・・・・

それは、申し訳ない。よく言っておくよ。用もなく、妻子持ちに連絡するな!って。

アンドレ

いや、いいんだ。多分俺が悪いんだ。この間、彼女にKAZのことあまりわかってないんだなっていうようなこと言ったの気にしてるようなんだ。
姫☆がKAZに言われたことについて、お前の本心を聞いてくるんだから。

あっ!くま・・・・

そっか。まぁ、適当に相手してやってくれ。
それより、ヤツはそっちでやってけるか?アンドレ、君の意見を聞きたいな。

アンドレ

センスはいいな。技術も、まだ研けば良くなるな。あとはメンタルの問題だろう。
自分が生まれ育った文化とはまったく違う文化の中で、それも、最初はひとりで心を開けるヤツも殆どいない環境で始めるんだから大変だろう。特に、日本人の場合は、俺たちヨーロッパの人間が隣の国に行くのとは比べものにならないくらいのギャップがあるたろう。
俺たちは、企業の駐在員とは違うからな。逃げ込むところが確保されてるわけじゃない。エージェントだってあてにならないしな。

そういや、姫☆が所属してたエージェントは、ずいぶんえげつないらしいじゃないか?

あっ!くま・・・・

あぁ。ちょっとタレントを使い捨てするところがあったな。
まぁ、それはともかく、彼女はメンタルな面では、少し細いな。いまひとつ、何て言うか、なにがなんでもそっちでやって行こうっていう気迫に欠けるところがあるんだな。

アンドレ

不安なんだろう。我々のようなミュージシャンに限らず、スポーツ選手なんかにしても、自分の国で成功したからといって、海外でもうまくいく保障はないからな。国内でダメでも、外出たらうまくいったなんてヤツもいるもんな。

やっぱり、傍に頼れる人間がひとりくらいいないと、そりゃ不安だろう。KAZが一緒に来ればベストなんだろけど、そうなったらそうなったで来ないんだろうな、お前は・・・・( ̄〜 ̄)ξ
姫☆にも、sayuriやあきのようなある種の図太さみたいのがあればいいんだがな。

あっ!くま・・・・

sayuriは17の段階で、キッパリ決めてたからな。あの歳で、「私はJazzと結婚するんで男とは結婚しない。」なんてベタなこと言ってたんで、ちょっと笑ったけど、あの子の覚悟には参ったよ。ハイスクールの2年で、日本の大学ならどこでも余裕で入れる学力を持ちながら、一切進学なんて考えてなかったからな。
あきも、サ○○に預けて、今や超売れっ子だしな。こっちにいるときから、若いのにエンジニアとしての腕はピカイチだった。

アンドレ

あのふたりに共通する、例え周りからつぶされにかかられても、それを跳ね返してしまうメンタリティーが姫☆にもあったらな・・・・
まっ、あるかないかは、まだわからないがな。

あっ!くま・・・・

そっか。

アンドレ

そう言えば、姫☆、変なこと言ってたぞ。寝てたら、気配がして目を覚ましたら、KAZが立っていて、「さようなら」と一言言って部屋を出て行ったって。物凄くリアルなので、しばらくの間、現実だと思って夢だと気が付かなかったってな。
厳しいのはいいけど、行き過ぎないようにしろよ。

あっ!くま・・・・

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