『白銀ジャック』 東野圭吾

  • ken1911
    2010年12月08日 14:29 visibility454

東野圭吾、白銀ジャック読みました。



 


内容は



こんな感じ。


 


東野圭吾さんの作品はけっこう好きで今までも何冊かよんでいますが、


この作品は舞台がスキー場ということでちょっと気になり、読んでみました。


読んでみると、主人公はスキーパトロール。


実は僕も若い時に信州の方のスキー場で9シーズン、パトロールをしていました。


もう、やめてから10年近くなりますが。


それで、いつもなら1、2日で読んでしまうのですが、なんとなく、複雑な気持ちになり、


先がなかなか読めなくて、今日、時間があったので、一気に読みました。


”複雑な気持ち”と、いうのも”どんな複雑な気持ち”なのか、説明できないのですが・・・・。


 


この小説と同じで、僕がパトロールを始めたころは、ボードもまだ全然いなくて、スキーヤーばかり。


3年目ぐらいだったぁな。ボードが出初めて、やはり、ボーダーを受け入れるかどうか、


何回も話し合いが行われました。


そのスキー場も大きな問題があり、対応を決めかねていました。


それはやはり、”雪崩”です。


そのスキー場はコース外に何箇所も雪崩の危険なポイントがあり、発生地点はコース外ですが、


大きな雪崩が発生するとコース外エリアを乗り越えて、ゲレンデに出てしまう、と、いう問題です。


いつも、積雪があれば、営業前にパトロールがその場所に行き、雪崩を人工的に発生させて、しっかり


対処したうえで、営業を開始していました。


”人工的に発生”を、具体的に言うと雪崩のポイントへパトロールが行き、


斜面の変わり目(急になるところ)を縦に(下に)すべるのではなく、


横に斜面を横断するように滑ります。


そうすると、そこの斜面の変わり目からヒビが入り、雪崩が落ちる、と、いう感じです。


文章にするとうまく伝わりませんが、かなり危険な作業で、実際、僕も2回ほど雪崩に巻き込まれ死にそうになりました。


1回目は木がお腹に引っかかりたすかりました。


2回目は雪崩にひきづられるような形になり、体がうまく抜けず、100mぐらい一緒に流されました。


その時も運良く、なだらかな斜面があり、そこで止まりましたが、


その1m先はまた急斜面になっていて、そこまで行っていたなら・・・・。


 


僕の話しは置いといて、


結局、そのスキー場もボーダーに、スキー場全面開放がきまりました。


理由は、小説と同じ理由です。


この小説の中でも書いてありますが、ボーダーが増えた直後は本当にマナーが悪い人がたくさんいました。


スキーヤーにも当然、いましたが、その比率はボーダーの方がかなり多かったのは事実です。


コース外滑走者だけを比べても、スキーヤーだけの頃は、1シーズンで1,2人。


3人いれば”今年は多かったな”と、いう感じでしたが、


ボードの開放後は1日で20人以上という日もめずらしくない、と、いう事態になりました。


だんだん、ボードが定着してくると、ゲレンデの真ん中で座るような人などのマナーが悪いボーダーは


かなり、減りましたが、コース外滑走は減ることはありませんでした。


チケットの没収、名前、住所、始末書を書かせたりもしましたが、ほとんど効き目もありません。


小説の中で書かれているコース外滑走者とパトロールの追いかけあい、待ち伏せなんかも、やっていました。


でも、つかまる(逃げてる)人はそれさえも楽しんでいるような感じでした。


捕まえた人たちが口をそろえて言うのは


”自己責任で滑っている”と、いう言葉です。


では、”自己責任”ってどういうことでしょう?


”怪我をしても自分で降りてくる”と、いうことでしょうか?


僕の現役時代にカップルのコース外滑走者(ボーダー)を捕まえた時のことです。


ウチの隣のスキー場で実際あった話しですが、コース外で大腿骨骨折で動けなくなり、結局、パトロールに助けてもらった人もいました。


その話しをすると


”それはそっちの仕事。助けて当然だ”と、言った人がいました。


”では、あなたと彼女がコース内を滑っている時に、コース外を滑っている人が原因で雪崩が起こって


その雪崩があなたがたの上から来て、彼女が埋まったとします。


あなたは上からきたコース外滑走者を見てどう思いますか?


『君は自己責任で滑ってるから悪くないよ。じゃあね』と、言えますか?”


その人はしばらく黙って、最後に


”すみません”と、頭を下げました。


 


自己責任問題は単純ではありません。


これを読んだ方でも”それがどおした!関係ない!”


と、いう人もいると思います。


僕は9シーズン、スキー場にいて、上に書いた雪崩事故はなかったですが、お客さん同士の


衝突事故、自損事故など


いろんな事故を見てきました。


擦り傷ですむようなものから、もっと重大な事故・・・・・。


事故後、何年かして、弁護士と一緒にたずねて来られた方とも一緒に現場検証などもしました。


パトロールもほとんどがアルバイト。


事故後、何年もの後に関係したパトロールがいたのは、本当に珍しいことでした。


しかも、その事故をしっかり覚えているなんて、よほど印象に残っている事故しか覚えていません。


僕もその事故がどんな印象かは伏せておきますが、自分が携わったことと、場所、自分が行った時の状況などは覚えていました。


ちなみに、弁護士と一緒にきたのは衝突事故で怪我をしていないほうの、こどものお父さん。


衝突した相手は中年の女性が怪我をして、損害賠償の請求をされてる裁判をしているとのことでした。


もしかしたら、僕がやめた後もそんな人がスキー場に尋ねて行っているかもしれませんが、


やめてからそのような連絡は僕のところにはきていません。


 


もうすぐ、ウインターシーズンが始まります!


スキーヤー、スノーボーダーの皆様、


スキー場は遊園地とは違います。


何が一番違うのかというと


”絶対の安全は保障されていない”と、いうことです。


笑い話になるような怪我ならまだマシですが、それで済まない場合もあります。


くれぐれも気をつけて楽しんでください。


 


小説を読んでいてきになった点がふたつ。


ひとつは


”リフトの乗り場”


”リフトの降り場”


と、いう表現はパトロールは使いません。


新人で入ってすぐ教えられるのは、コースを覚えるのと


”乗り場は改札、降り場は終点というように”です。


これは、無線で伝える時に乗り場、降り場だと、どちらか聞き取りにくいからです。


 


そしてもうひとつ、これは深雪好きなスキーヤーにアドバイスです。


小説のなかで、すごいスキーテクニックを持っているパトロールが深雪を滑るシーンがあってそこに


”スキーのトップを雪面に出して滑る”と、書いてありますが、このすべりかただとかなり疲れます。


この滑り方で深雪を滑るのはかなりの急斜面をスピードを緩めながら滑るときです。


コース外の深雪をスキーで滑るのは特殊なスキーテクニックが必要です。


まず、スキーの基本である、左にまがるときは右足、逆に曲がる時はその逆の足を踏む、


と、いう技術は通用しません。


片足だけに力をいれてもう一方の足を抜重(力を抜く)と力を入れたほうの足だけがズブズブと雪に沈んでしまい、


力を抜いているほうの足が重なって転んでしまいます。


では、どうすればいいか・・・。


 


まず、両足加重で板の中心を意識。


ポイントは”常に斜度に対してまっすぐ立つ”


当然、急斜面だとかなりの前傾姿勢になります。


ですが、前傾気味でないとスキーを履いているので、足は前(斜面の下)に滑り出しています。


ビビッたらすぐに後傾になってしまいます。


子供の頃、自転車に乗ってサドルにのらず、お尻を後ろの荷台に乗っけて自転車をこいで遊んだこと、ないですか?


その運転するとかなりフラフラします。その状態と同じです。


そして怖いですが、いつもよりスピードを出す。


これも、自転車やバイクはスピードがゆっくりだと曲がりづらいのと一緒です。


スピードがでたら、


スキーの板の滑走面全体を”面”としてとらえ、


両足同時に一方は外側、一方は内側(土踏まず側)にスキー板を傾けます。


そしたら、雪の抵抗で勝手にスキーが雪面に浮いてきます。


そこを力を抜いてジャンプターンをするもよし、


浮く力を殺し前に行くのもよし、本人の好きなように。


ちなみに僕はジャンプして回ってました。


自分で力を入れてないので、体力もつかわず、楽に滑れます。


ここで、さっき書いたポイントが重要です。


ビビらず、常に前へ体を持って行く意識が重要です。


 


書けば簡単ですが、ふかふかの深雪を3年は滑り込まないとこの技術は身につきません。


もし、スキーパトロールをやってみようと思っている方は参考にしてください。


コース外を滑れ、と、いうことではありませんよ!


安易にコース外に入らないようにと、伝えたくてこのような技術を書きました。


僕もボードを多少やります。


確かに、ボードだと、深雪を滑るのはかなり楽で楽しい。


でも、一回転んでしまうとスキーより大変です。


ストックも持ってないし、両足が固定されているので、はっきり言って立つのも困難です。


コース外は圧雪されてないので、硬い雪面がなく、手を使って立とうと思っても手がズブズブ


下へ潜って行ってドツボにはまります。


スキーも大変は大変でストックを持ってはいますが、硬い面がないので同じことです。


しかも、僕たちはコース外に入る時は必ず、ストックの手輪は通さずそのままストックを持っていました。


これは、滑っているときに立ち木にストックが引っかかると、後ろに引っ張られて肩など脱臼する危険があるからです。


あともうひとつ、雪崩にもし、巻き込まれたときにストックをすてて口の周りに空間を作るためでもあります。


空間を作ったらそこから徐々に空間を広げて行く、と、言うことらしいですが・・・・


これは、はっきり言って無理だと思います・・・・。


 


今回はかなり長い日記になってしまいました・・・・。


 


 




















































































































































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