哀愁セレナーデ

信じていた─

僕は信じていたんだ

でも結果裏切られた・・・

この無情な世界の果てを見た思いがした

かつて地球はこんなに素晴らしいとも思える出会いがそこにあったんだ

こんなに変われるもんだろうか・・・

悲しさと切なさがこみ上げてくる

今まで一緒に過ごしてきた日々はまやかしだったのだろうか？

都内最果ての片隅で僕はくじけそうになった

信じあう奇跡・・・

信じるというガラスが砕け散った刹那

まるでスローモーションのように

僕の目の前から

去っていく光景が焼きついた

なぜ？

なぜなんだ

自問自答を繰り返した

僕の何がいけなかったのか？

確かに僕は経済的余裕は無い

・・・そうか

やっぱり金か

僕より経済力のある方を選んだということか

僕は底辺の人間だ

いくら這い上がってもセレブにはなれない

悔しかった

僕の生まれを呪ったりもしたさ

あの子との出会いは

ある、お店だったんです

それはもう可愛くて可愛くて

一目ぼれでしたね

過ぎた日々を振り返るのは好きじゃないんですが

話させてください

そんなお店に仕事帰りに足しげく通いました

毎日通ううちに心が通じたんです

お互いの目を見ればわかりました

あの愛くるしさは店一番の不人気でした・・なぜだろう？

とくにあの珍しい白さ・・・

むくむくと毛並みの良さ・・・

思い出すだけで・・・

たまらない

ああ

白い・・・

そう

柴犬 には珍しい白です。生後1ヶ月。

不人気には理由がありまして、ずっと白でいるとは限らないそうです。子供のうちだけ

白で大人になると少し茶っぽくなる事も

しかし、僕はそんなの関係ありません

そのあまりにも可愛さから僕は

ペットショップには内緒で

名づけました

まるでロシアの大地に舞い降りた

妖精との意味を込めまして

ザンギエフと名づけました

ええ

そうですとも

お察しの通り

メス犬です

そんなザンギエフに僕は夢中でした

元来犬が超好きなので（特に柴犬）

たまりません

お目めがくりくり

仕事帰りの安らぎでした

ええ

店員には大迷惑です

でも僕もただ冷やかしで来てたわけではありません

迷ってました

お値段は38000円です

生活費がギリギリでどうしようかと

店員と毎日相談しては今日のところは諦める

といった具合で日々が過ぎていきました

お金もそうですが、僕は昔雑種の犬を飼っていました

凄い好きでいつもどこでも一緒だったんです

でもいつか必ずやってくる別れに僕は耐え切れませんでした

その時がやってきた時

僕はこんなに悲しい思いをするなら一生飼わないと心に誓い

現在に至っています。

大体の人々は二通りの考え方で

別れの時がやってきたら

一方はすぐにまた別の犬を飼い悲しみを紛らわし

一方はいつまでも忘れきれず生涯一匹の思い出として心に納める

僕は後者だ

しかし時代の流れでいつかはその哀しみも乗り越えて

今の出会いがあったんだろうと思う

僕は決意をして

昨日ペットショップになけなしのお金を握り締めて

向かいました

ザンギちゃんまっててね！貧乏しちゃうけどきっと幸せにするよ─

ペットショップにつくと

老夫婦がザンギちゃんの前で

店員と話あっていました

すると僕を見かけた店員が

手招きをしてくれてこう言ったのです

店員『こちらの方が、ご購入予定なんですよ』

僕は、驚いた

この老夫婦はザンギちゃんを飼おうというのだ

それを察してか店員が僕を紹介したんです

店員に感謝。

いつも冷やかしでごめん。

そう思いながら、ふとザンギちゃんを見ると

ザンギちゃんは老夫婦の腕に抱かれ幸せそうです・・・

老夫婦は僕に

老夫婦『失礼は承知で申し上げますが・・一目で気に入ってしまって、是非譲って頂けはしないでしょうか・・・きっと幸せに育てますから・・』

僕は最後の一言で揺らぎました

僕はペット禁止の住まい

向こうは一戸建て

僕は貧乏

向こうは僕よりずっと裕福そうだ

僕は仕事中は散歩してあげられない

向こうはスローライフを送ってるとの事

こんな思いが僕を曇らせて

ザンギちゃんの幸せを考えたら・・・

─僕は最後の賭けに

もしザンギちゃん僕のところへ来てくれるなら

そう思いおもむろに、ザンギちゃんを床に置き、少しはなれた僕は

手招きしてザンギちゃんをよびました

ザンギちゃん！こっちだよ！

ザンギちゃんはゆっくり歩き出し

老夫婦のもとへ

ザンギちゃんの正しい選択で

僕はすでに完封負けだった、なにもかも

泣く泣く老夫婦に『幸せにと・・』告げ

老夫婦も『大事に育てます』と

僕もこの老夫婦の接し方をみていると

きっと立派に育ててくれると感じました

だからこそ身を引く

後で聞いたんですが

その老夫婦は最近飼っていた愛犬と悲しい別れがあったそうです

彼らは前者の選択

僕は後者

これでよかったと思いながら今日もトボトボ

一人で帰るのでした。

またなんか帰り道楽しいことみつけるかぁ

 うわーん

:。・゜・(ノД`)・゜・。

ザンギちゃんお幸せに ・・

さて、次の日記で100回目を迎えます。

100回目は自分の思いをつらつらぐだぐだ書こうと思います。

まぁ、読んでる方は適当にうけながしてくださいね 。

それでは！