【連載】ジェッツ始動!!(#1)
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山田9太郎
2008年11月27日 15:42 visibility122
──20世紀初頭、アホアホ軍団により結成された草野球チームがあった。
その名も「博多ジェットカウボーイズ」(通称:JETS)
ここでは、2年間という短い活動期間ながら、
ごく一部草野球界では伝説として語り継がれている
ジェッツの栄光と挫折の歴史を紹介しよう。
(※ほぼノンフィクション&一部脚色)
草野球チーム博多ジェッツは幼なじみ同士のカンとタクミによって作られた。
カンは高校硬式野球の経験者だが、のほほんとした風体はあまりそれを感じさせない。
それもそのはずというか、野球マンガと野球ゲームの知識はオタクレベルだという。
なにをするにも格好から入る傾向にあり、なにかと影響されやすいようだ。
高校から始めた野球も、野茂のトルネード投法をやってみたかったからで、
右投げ左打ちにしたのも、ミスタータイガース掛布雅之の影響だという。
タクミは運動神経はあるが努力するのが大嫌いで、
学生の頃にやっていた部活動はどれも中途半端に終わっている。
ひょうきん者な反面、意外とプライドが高く扱いづらい面ももっている。
人付き合いを面倒臭がるタイプだが、幼なじみのカンには割と心を開いているようだ。
ちなみに左投げ左打ち、正真正銘のサウスポーである。
この時のふたりは、いい歳こいて時間を持て余しており、
どちらから言い出すわけでもなく、広場でのキャッチボールが日課となっていた。
もちろんいきなり速い球が放れるはずなどないので、
ふたりの興味が変化球に注がれるまでに時間はかからなかった。
星野カーブ、高速スライダー、ナックル、パーム、
エセフォーク、パワーカーブ、シンカー、シュート、etc…
ときにプロ野球投手の投法のモノマネをしながら、
互いがあらゆる変化球を試し、マスターした気分になった。
さらに気分が乗ってくると、近くのバッティングセンターまで足を運んだ。
ヴァーチャル動画の工藤公康が半速球の棒球を投げてくる。
ふたりは、ただただひたすら打ちまくった。
ひと汗かいたあとは、隣接するスロット店で日銭を稼いだあと、
その足で行きつけの居酒屋で日付が変わるまで飲んだ。
話題は決まって野球談義。よくもまぁ、飽きもせず続くものだが、
昔からのタイガース党で、パ・リーグは義理で地元のダイエーホークス。
いくら阪神の暗黒時代が続こうが、ダイエーファンに寝返ることはないのだと。
これもこのふたりに共通する点であり、長続きの秘訣なのかもしれない。
こんなアホみたいな生活をしばらく繰り返していくうちに、いつしか
グラウンドに立って野球をしたいという欲求が生まれてきた。
居酒屋での話題は「プロ野球」から「草野球」にすっかり替わってしまっていて、
最初は遊び半分だった話が、どんどんエスカレートしていき、
メンバーは誰にするか、誰にどこを守らせるかなどで大盛り上がりとなった。
ここまできたらもう後にはひけない!!
その席でヒマそうな人間に片っ端から連絡しメンバーの確約を得たのだった。
ノドをつく生ビールの感触とマルボロの香りが、
数年経った今でもこの頃を思い出させるのだという。
(つづく)
【JETS名鑑-その1-】
ミスタージェッツ
カン(右投左打・二塁手/投捕外)
JETS主将。高校硬式経験者。走攻守と平凡ながらミートには非凡さを見せる。野球知識はかなりのもので司令塔の役割もこなす。【JETS名鑑-その2-】
自称エース
タクミ(左投左打・投手/一外)
センスまかせのサウスポー。球速はないが、大きく曲がるカーブが武器。コントロールと立ち上がりに不安を残す。
- 事務局に通報しました。
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