超シコラー・アラウンド・ザ・ワールド

  • よし
    2010年08月11日 17:09 visibility1591

「なにをいまさら」という感じなのだけれど、村上龍の『テニスボーイ・アラウンド・ザ・ワールド』講談社文庫を読んでいる。
 世界中のテニスの大会を見て回った観戦記。



 その中に、1986年のモンテカルロオープンの観戦記が載っているのだけれど、そこに出てくるケント・カールソンという選手の描写に笑ってしまった。笑ってしまったというか、ものすごく身につまされてしまった。
 この選手、超シコラーなのだ。
 村上龍はこの選手のプレイについて、次のように書いている。



 ヨタヨタと走り回り、恐ろしく厚いグリップから、「うあっ」という声と共に山なりのトップスピンを打つ。バックは両手で、同様に「うあっ」と声を出して、これも山なりのトップスピンだ。相手が、ミスをするかエースを奪うか、どちらにせよそれまで「うあっ」を続けるのだが、「それなりのネットプレイ」くらいでは「うあっ」を負かすのは大変なのだ。



 うわあ、世界のトップクラスの選手の中にも、そういう選手がいるんだ。
 超シコラーには毎回毎回苦しめられているので、ものすごくよく分かるぞ。
 そして、そのケント・カールソンとメシールというチェコの選手の試合の描写は次の通り。



 重苦しく、悲惨なムードがコートを包み始め、拍手がまばらになってきた。
 誰も楽しんでいないのだ。メシールも「うわっ」も、観客も、レフェリーも、ボールボーイも全員が耐える人になってしまったのだった。



 ああ、これまたものすごくよく分かる。むちゃくちゃ共感できちゃうぞ。そう、超シコラーとの試合はぜんぜん楽しくないんだよ(涙)
 見ていても楽しくないし、プレイしている本人も楽しそうには見えないんだよなあ。

 誰か、超シコラーとの試合を楽しめる方法を開発してくれないものか。

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