フォーメーション・アルファ起動せず!

  • よし
    2009年12月21日 16:21 visibility202

 昨夜、テニススクール内での男子ダブルスの大会があった。



 当初は和気藹々とダブルスを楽しむという主旨だと思っていたのに、参加メンバーを見るととんでもない。
 僕のように中級〜中上級クラスで参加してきているのが半分で、あとの半分は本気で優勝を狙ってきている超上級〜最上級クラスの連中ではありませんか。
「ブロック戦のあとのコンソレこそが勝負だな!」
 試合開始前だというのに、すでにコンソレに命をかける中級〜中上級クラス(笑)



 さて、大会がスタート。
 僕らの1回戦目の相手はベテランのS木さんとH瀬さん。ランク的に言えば、僕らごときの勝てる相手ではないのだけれど、いまいち調子が悪かったようで、接戦となる。
 僕のペアはシコラーのI井ちゃん。ひたすら守りに徹するI井ちゃんではあるのだけれど、今日は「初球は絶対にポーチに出よう。それでストレートを抜かれてもかまわない。絶対に絶対にどんなボールでもポーチな! そして、初球以外でも積極的にポーチに出ていこう」という作戦を決めていた。
 ポーチに出ることなど絶対にないI井ちゃんなので、初球からポーチに飛び出せば相手もびっくりするに違いあるまい。
 それなのに、あれほど約束したのに、なぜポーチに出ない(涙)。
 サーブを打つ時に「よし、A計画発動だ!(絶対にポーチに出ろよ!)」とI井ちゃんにプレッシャーをかける。なのに出ない。
 「次はフォーメーション・アルファーだあ!」
 でたらめの作戦名でうしろからプレッシャーをかける。でも、出ない。
 試合後に対戦相手のH瀬さんにそのことをぼやくと、「いやあ、それはね、よしさんのサービスが速すぎるから、タイミングがつかめないんだよ」と言われてしまった。
 そうかあ、それほど速いサービスだったかあ(と、思わずにやけてしまう単純なおいら)。
 で、試合結果はというと、最後の最後まで競り合って5−6で負け。残念。



 2試合目の相手は、岡ピー&A家さんという中上級〜上級クラス。シングルスでは一度も勝てたことのないA家さんではあるのだけれど、なんとか競り合えるレベルの相手だ。
 そして、またしても接戦となってしまう。1試合目でフルセットまで戦ったのだから、今度はもう少し楽な試合をしたかったのに。
 結局、フルセットまでもつれこんで、6−5でなんとか粘り勝ちを納める。よかった、とりあえずひとつは勝ったぞ。



 スクール内には、僕らレベルではとても太刀打ちのできない化け物プレイヤーが何人もいる。今日は、その化け物の中の化け物、トップ・オブ・ザ・化け物とでもいうべきプレイヤーが参戦してきていた。N村さんという。5年間このスクールに通っていて、初めて見る人だ(笑)
 このN村さん、打球がむちゃくちゃ速い。もう、笑っちゃうぐらい速い。実際、あまりの打球の速さに、僕らは本当に笑い声をあげていた。
 しかも、ものすごいドライブ回転がかかっていて、ボールが途中から急激に角度を変えて地面にむかって落ちていく。かなり高い位置でネットを超えてきたりすると、スピードが生半可ではないので絶対にアウトすると思ってウォッチをしてしまうのだけれど、それがアウトしないでむちゃくちゃ余裕をもってコート内に入ってしまうのである。
 N村さんとペアを組むのは、ライオン丸。今日はもう余裕で、自分はつなぎさえすればいいと思っているフシがある。確かに、確実につなぎさえすれば、あとはN村さんがバッシーンと決めてくれるもんなあ。
 で、3試合目の相手がこのN村&ライオン丸であった。
 その前の試合で瞬殺された岡ピーに対応策を聞いてみる。
「とにかく逃げましょう。できれば、ネットの下に隠れるのがいちばんです。無駄なことはやめましょう」
 アドバイスをありがとう(涙)



 僕のサービスで試合がスタート。
 低い打点から思いっきりスライスをかけたサービスを打つ。うまい具合に回転がかかったため、スピードの乗ったサービスがほとんどはずまずにN村さんのラケットの下をくぐり抜ける。おっしゃ、1点!
 ライオン丸には思いっきり曲がるサービス。2点!
 今度はセンター寄りに立って、センター狙いのフラットサーブ。これが実に珍しいことに狙った場所にドンピシャで入る。外に逃げるサービスを予想していれば、当然サービスエースとなるところなのだけれど、さすがにN村さん、これにラケットを合わせてくる。しかし、甘くあがったリターンをネットに駆け寄ってスマッシュ。3点!
 そして、ライオン丸にはもういっちょ、思いっきり曲がるサービスでゲーム!
 うわおっ、1ゲームとっちゃったよ!
 さすがにこの展開にはギャラリーから盛大なる拍手がわき上がる。
 いやあ、自分でもびっくり。
 だけど、テニスをさせてもらったのはここまで。あとは、一方的にN村さんに押し切られる。
 N村さんのリターンの時、すべてを捨てて全速力でポーチに出てみた。だけど、ボールが速すぎてぜんぜん追いつかない。それを2回試みたあと、次はストレートを抜いてくるかもと網を張ったところ、予想通りにストレート。ところが、予想していたにもかかわらずラケットが間に合わない。とっさに左手に持ち替えて手を伸ばしたところ、奇跡的にボールをとらえることができたのだけれど、そのままラケットが左手からはじき飛ばされてしまう始末。
 速度、パワーともにレベルが違いすぎます。
 かくして、1−6の負け。
 でも、むちゃくちゃ面白かった。あのとんでもないスピードボールを相手に、1球でも2球でもラリーを続けられた快感というのは、他ではなかなか体験できない楽しさだ。



 というわけで、1勝2敗でコンソレ進出が決定。
 その最初の対戦相手は、すでにコンソレ1回戦を勝ち抜いてきたK倉父子だ。高校2年生の息子さんとお父さんというペアで、なんでこの2人がコンソレに来たんだよと文句のひとつもいいたくなるくらいにうまい。特にお父さんの方が、どんなボールにもきれいに面を作ってきて、いっさい甘いボールが返ってくることがないというテクニシャンだ。
 しかも、そのふたりには美人の奥さんと可愛い娘さんの2人が応援に来ているのである。
「なんだ、よしさんのところとまったく同じ家族構成じゃない。なんで、あっちは家族が応援に来ているのに、よしさんのところは来てないの?」
 A木さんから突っ込まれてしまうが、たぶん、愛情の深さの差じゃないですか(号泣)



 しかし、このふたりにも必死に食い下がる。お父さんを相手にしたのではとても勝ち目がなさそうだったので、息子を攻めるのだけれど、息子は息子で思いっきり順回転のかかったボールをがんがん打ってくる。さすがに若い。元気だ。
 たしか、ここに来る前にシングルスの試合を3つやってきたって言ってたと思うのだけれど…。
 それに比べて、こちらはいささかエネルギーが切れかけてきている。もう一歩、もう半歩が出ないのだ。
 省エネテニスでまだ体力の残っているI井ちゃんが頑張ってくれたおかげで、なんとかフルセットまでもつれ込む。そして、そこからサーティ・ラブと先行したのだけれど、あと一歩及ばず、ひっくり返されて5−6で負け。
 4試合のうち3試合がフルセットって、なんで?



 結局、決勝トーナメントはN村&ライオン丸が優勝。コンソレはK倉父子が優勝となったのでした。ああ、疲れた。



 試合が終わってロビーで歓談している時に、K倉さんの奥さんに質問される。
「あの、フォーメーション・アルファってなんですか? すごく気になって」
 いや、それは、まあ、たいして意味はないんですよ。あはは…。

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