
加トちゃんの言葉
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1番弟子さん
2008年06月01日 22:19 visibility251
先日、TBSの開局50周年特番をみていて不覚にも涙してしまった。
なくなった荒井注といかりや長介をのぞくドリフターズのメンバーがひさびさに集合してコントを披露したときのことである。
正直、期待はしていなかった。笑えるような切れのいいギャグはでてこないだろうし、たとえホロリトきたとしてもそれは痛た痛たしさゆえの『ドリフもみんな年寄りだもんな』の涙だろう、とおもっていたのだ。
ところが、−いやあ、われながら驚いた。笑えるのである。なんてことない加トちゃん&ケンちゃんのギャグなのに腹を抱えて笑ってしまったのである。放送が終わった後ふりかえってみると、(そんなにおもしろかったか?)と首をかしげてしまうのに、実際に観ているときには、他愛のないギャグの一つひとつに爆笑の連続だったのだ。
42歳の僕の世代はたしかにドリフもみていた。だが、俺たちの青春時代のお笑いといわれたら、ツービート、B&B、タモリ、さんま、とんねるず、と答えるだろう。ドリフに夢中になっていたのは小学生時代。加トちゃんの『ちょっとだけよ〜あんたも好きね』が一世を風靡していたころから、せいぜい志村けんの『東村山音頭』あたりまで。要するにドリフは『俺たちがガキだったころのお笑い』なのである。
その遠さが逆によかったのだろうか、ひさびさのドリフを素直に堪能することができた。普段は思い出すことのない『小学生のりの笑いのつぼ』が心地よく刺激されたのだ。
で、不覚にも涙を流してしまった場面はラストの『あ〜あビバノンノン』の歌のとき、加トちゃんが昔のように『宿題やったか?』『歯、磨けよ』と声をかけてくるときゅうに胸がジーンと、気がつくと目に涙がうかんでいたのだった。
あのころ、加トちゃんの言葉は親や先生のお説教よりずっと心にしみた。
『かぜ引くなよ』と語りかけて、ニッと笑う、その笑顔は世間のどのオトナよりもやさしかった。
僕は寝る前に歯を磨くという習慣を加トちゃんによって学んだ。土曜のうちに宿題をすませれば日曜日は丸ごと遊べるんだ、という人生の知恵を加トちゃんに教わった。70年代前半の小学生にとって誰よりも影響力のある言葉を発し続けていたのは、加トちゃんではなかただろうか?
だからこそ今、思う。
ドリフの新番組を作ってくれ、タイトルは『八時だよ、中年全員集合』である 。前半のコントは、もちろん会社ネタ。残念ながら悪がきの部下にイジられどおしの課長(いかりや長介のかわりはだれがいいかな)に同情してしまうところが中年の哀れさではあるのだが、そこをグッとこらえてらラストのメッセージをまとうではないか!
『あ〜あ、ビバノンノン』にのって加トちゃんがオヤジたちにエールを送ってくれるのだ。『老け込むなよ!』『残業やったか?』。。。。。。。そしてあの笑顔とともに『自殺するなよ!』『長生きしろよ!』と言われたら・・・・・・・・なけてくるでしょ?
重松清。
この人の本超おもしろい。ときどきせつないし。
上記は夕刊紙に掲載されていたエッセイがあつまって単行になった版オヤジの細道という本でその中の一部。
小説もほんとお勧めです。時間あるときよんでみてください。ただし、涙とまらんくなるやつ多いから電車とかでよむとき要注意。といっても電車でも泣きながらよんだりしてるけど・・・・
- 事務局に通報しました。
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