中断までのアルビレックス新潟

監督の交代、レギュラー選手の移籍など暗いニュースから始まった2010シーズンのアルビレックス新潟。前年の上位争いから一転、スポーツマスコミへのアンケートでも降格候補、J1残留が現実的な目標となった。事実8節までに奪った得点4、0勝3敗5引き分けで最下位。選手・監督らの「いいサッカーはできている」発言が逆にサポーターの不安を増すスタートになった。

GK編
北野貴之と入れ替わりに大宮を自由契約になった高木貴弘を獲得。しかしキャンプ中に高木が故障。さらに第2節で黒河貴矢も負傷し、2年目の東口順昭が以後先発をつとめる非常事態に。東口の印象は「可もあり不可もあり」といったところか。試合開始から落ち着くまでに時間がかかるところは不可。正確なロングキックは今の新潟の戦い方にマッチしており可。神がかり的なセーブは少ないが、黒河回復後も引き続き先発起用に応えている。

DF編
CBは千代反田充移籍の後を千葉和彦が無難にこなしている。その分控えが若手のみになっており、警告が貯まってくるシーズン後半に不安を残す。またCBがセットプレーから点を取れないのは昨年からの課題である。
SBは従来から新潟攻撃の際のアクセントとして重責を担っていたが、ジウトンの移籍、内田潤の衰えにより一気に弱体化した。その内田に、中野洋司、酒井高徳の従来組、木暮郁哉のコンバート、札幌から移籍の西大伍らを試した結果、現在は右を西、左が酒井で固定した。西は移籍した松下年宏の代りとして獲得、当初攻撃的なポジションに途中交代から入ることが多かったが、第7節から右SBで先発しはじめてからチームも負け知らず。得点も決めサポーターの信頼を勝ち取った。左SBの酒井は相手チームが狙い目として攻めてくることもあり、いい時と悪い時との差が大きい。悪い時は相手チームに攻撃の起点を作られ失点の原因に直結。いい時はその逆。すでに強化部はブラジルのチームに在籍している日本人SBと交渉、移籍ウィンドゥの開く7月発表を待つばかりという。

ボランチ編
ボランチは去年から引き続き、三門雄大、本間勲で行くものと思われたが、序盤のチーム成績を鑑みて、三門に代わりより守備能力の高い小林慶行が起用されている。とはいえ三門も途中交代で試合には出場しており、監督の期待が感じられる。注目ルーキー加藤大だが年代別代表候補合宿などに呼び出されることが多く、残念だが今年の出場はあまり期待できない。

攻撃編
開幕からずっとメンバー表は4-4-2と発表されているが、実際は4-2-3-1システムであることが多い。しかし開幕時と現在とではかなり意味合いが違う。大島秀夫または矢野貴章を1トップに据えていた時は、とくに今年から相手DFを手で押さえる反則が厳しく適用されたこともあり、トップにボールが収まらず攻撃の起点が作れず、得点チャンスがなかった。現在はミシェウをトップ、右から矢野、マルシオ、チョヨンチョルと並べている。しかし元々MFのミシェウは相手DFのプレスを受ければ躊躇無く2列目に下がりマルシオとポジションチェンジ。相手DFが高い位置を取ると最終ラインからロングフィードがスピードのあるヨンチョル、矢野の前のスペースに放り込まれ、出てこなければマルシオとミシェウが前を向いてプレーできるので、両SBや本間が攻撃に参加する時間が稼げ、いわゆる厚みのある攻撃が可能になる。どうもこれはFWがゴール前にいないゼロトップと呼ばれる布陣に近いものといっていいのではないか。
現在チーム最多得点のヨンチョルは絶好調。W杯韓国代表候補に選ばれず残念だったが、新潟としては助かった。

中断後
矢野の途中移籍はW杯メンバーに選ばれたことでより大きな可能性として残った。移籍となれば今はスーパーサブのファグネル、河原和寿、ブラジルに単身期限付き移籍中の川又堅碁などが先発を争うだろう。矢野のデフェンス面での貢献は、日本代表に選出された唯一の理由であり、その彼の代りは見つかりにくいと思うが、新潟の後半戦を決める最大の問題である。
それ以外にも、ヨンチョル、酒井、鈴木、加藤といった世代別代表候補が抜けると一気に薄くなる選手層も、不安材料といえる。
また中断期間は各チームが新潟対策を練るちょうどいい時間にもなる。好調を維持できる保証は全くない。とはいえスタートダッシュに失敗したにもかかわらず勝ち点17まで伸ばしたことには、選手・スタッフの努力に感謝するのみである。

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