日の出食堂

  • 菊池完official mark
    2009年10月23日 22:55 visibility25

入り口を入ると無造作に本棚に本が並んでいる。
女性週刊誌から少年雑誌まで最新号がおいてある。
どうやらターゲットは幅広いみたいだ。



『日の出食堂』は長良公園の横に店を構えている。
店の正面には野球のベースくらい大きな日めくりカレンダーがかけてある。
その下には中日ドラゴンズのカレンダー。
選手が3名写っている。カレンダーというよりは、ポスターに近い。
岐阜は中日ファンが多いなと再確認した。



ちょうどテレビでは巨人vs中日のクライマックスシリーズが流れていた。
中日2点リードでバッターボックスにはラミレスが入ったところだ。



「打った!」というアナウンサーの声でテレビに目をやると、ラミレスがゆっくりと塁を回っていた。
ホームランで1点差。おばちゃんは無言でテレビを見ている。
おじちゃんは関心がないのか、僕の焼肉定食を無言で作っている。
中日ドラゴンズのカレンダーはおばちゃんの趣味のようだ。



「焼肉定食お待ち」先ほどのホームランがショックだったのかおばちゃんの顔色は暗い。
焼肉定食はスープもついてボリューム満点。自然と僕の顔色は明るくなった。



テレビに目を戻すと、亀井が気合い十分に左バッターボックスに立っていた。
おばちゃんは眉間にシワを寄せ亀井を睨めつけている。



焼肉を付属のキャベツに絡め口に持っていこうとすると、「また打った!」アナウンサーが叫ぶ。



「やったホームランや!」おばちゃんが同時に叫んだ。やったやった、と無邪気に喜んでいる。



巨人ファンかい!決してツッコミが得意ではない僕は心の中で叫んだ。



ご馳走様でした。

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