2017:J2:14節:A:vs愛媛FC「負ける逆算悪しき伝統」

愛媛vs岡山:2-0
得点者:20河原 和寿(7近藤 貴司)、9有田 光希(3玉林 睦実)
観客数:2,549人

1、チーム情報&評点

評価基準

良:1~5:悪

審判

主審:清水 勇人:2.5
副審:川崎 秋仁、鈴木 規志:2.5

A:岡山

監督

長澤 徹:4.0

スタメン

30豊川 雄太:3.5
8石毛 秀樹:2.5、10大竹 洋平:3.5
17朴 亨鎮(パク・ヒョンジン):3.0、16関戸 健二:3.0、27塚川 孝輝:3.5、26田中 奏一:4.0
14喜山 康平:3.0、4近藤 徹志:3.0、2澤口 雅彦:3.0
22一森 純:2.5

リザーブ

GK:1椎名 一馬
DF:33張 碩元(チャン・ソグォン)、3久木田 真吾
MF:5渡邊 一仁、21加地 亮
FW:11三村 真、20藤本 佳希

途中交代

26田中 奏一→5渡邊 一仁:3.0
10大竹 洋平→11三村 真:3.0
30豊川 雄太→20藤本 佳希:3.5

 

H:愛媛

監督

間瀬 秀一

スタメン

18西田 剛:2.5
20河原 和寿:2.0、11神田 夢実:3.0
14白井 康介:2.5、8小島 秀二:2.5、5藤田 息吹:2.0、41小池 純輝:2.5
2浦田 延尚:2.0、23林堂 眞:2.0、3玉林 睦実:2.0
31朴 成洙(パク・ソンス):2.0

リザーブ

GK:1阿波加 俊太
DF:22深谷 友基
MF:7近藤 貴司、16田中 裕人、17小暮 大器
FW:9有田 光希、15丹羽 詩温

途中交代

11神田 夢実→7近藤 貴司:2.0
41小池 純輝→17小暮 大器:2.5
18西田 剛→9有田 光希:2.0

2、得点経過

H:愛媛:1-0:20河原 和寿(7近藤 貴司)

 14喜山 康平が2人にプレスを受けても強引に前線へのパスを狙いましたが、それを奪われて、ショートカウンターを受けてしまいました。ボールをカットした7近藤 貴司がワン・ツーで、サイドの奥のスペースへ侵入するとペナルティエリア手前の右端の所から中へのクロスを入れます。人数が足りていなかった岡山DFは、逆サイドの20河原 和寿に付けきれず、フリーでシュートを打たれてしまいました。このシュートを流石の22一森 純も防げず、愛媛の先制ゴールという流れでした。
 14喜山 康平のこういったミスというのは、シーズン開幕当初から目立っており、それが、やはり失点に繋がってしまったという今季を象徴する失点パターンと言えると思います。元々FWの選手という事もあり、攻撃センスは確かにありますが、生粋のDF陣と比べて、リスクを軽視したある意味怖いパスを出すシーンが多い傾向にある様に思います。確かに局面を打開するパスは、魅力的ではありますが、こういったシーンも目立ちCBとしては、どうかというのは、1つの疑問点ではあります。個人的には、1つ前のDHで起用した方が、もっとパスセンスが活きるのではと感じます。

H:愛媛:2-0:9有田 光希(3玉林 睦実)

 後ろで繋ぐ所で、プレスを受けてしまい苦し紛れの前への繋ぐパスを16関戸 健二が選択しました。しかし、そのパスを27塚川 光希が察知できず、反応が遅れた事でそれをカットされて、そのままショートカウンターを受けてしましました。この時、ボールを持っていた3玉林 睦実が前を向いてフリーでプレー出来る状況でした。だから3玉林 睦実は、前線で駆け引きしていた9有田 光希がロングパスを良いタイミングかつ正確なボールを出す事が出来ました。これを9有田 光希が、1トラップで、上手く4近藤 徹志を振り切ってシュートを打たれてしまい、22一森 純も飛びつきますがこれが決まってしまいました。
 そこまできついプレスではなかったので、16関戸 健二が悪いと言いたい所ですが、チームとしてこの課題に取り組むべきかと思いっています。文章評で詳細を書きますが、チームとして良いパスを繋いで崩してゴールを奪う逆算が普段出来ていないから、こういった時にミスをする確率が高くなり易く、実際にミスを犯してしまったのです。
 例えば、このシーンであれば、リードされて負けているので、前への意識が高くなるのも理解できます。しかし、チームとしてプレスを受けた時にどう打開するのかという部分に対して、準備が出来て居ればどうでしょうか。恐らく、パスを受ける動きがあり、そこへ迷うことなく出せた筈です。そういったアプローチによる指導が普段の練習で出来て居れば、攻撃時だけではなく、守備時にも読みが深まりますから攻守のレベルが上がります。昨季と2季前を考えても長澤 徹監督は、連動性より個に依存した攻め方をするので、主軸の抜けた今季の様な苦戦に繋がり、順位の下のチームしか勝てず、強い上位チームには、なかなか勝てないという現象に繋がっています。
 1つのミスからの失点ではありますが、こういった部分を示唆した失点の仕方と言えるのではないでしょうか。

3、戦評

数値評

評価基準

良:A~E:悪

A:岡山

攻撃評価:E
守備評価:D
采配評価:E
総合評価:E

H:愛媛

攻撃評価:B
守備評価:A
采配評価:A
総合評価:A

文章評

 勝てないのは、何故でしょうか。それは、やはり試合への臨み方に問題があるのは、1つかと思います。岡山は、良い意味でも継続性という方向性を持っています。しかし、逆にここまで悪い伝統も引き継ぎ改悪も続ています。この試合の進め方にそれを感じたので、その点を指摘させて下さい。

 この試合の岡山は、前線に収める高さと、勝負するスピード、使うスペースが無いのにロングパスを選択する回数の多く、流れの悪さが目立ちます。何故こういったプレーを選択するのかを考えると、ここまでの得点不足が分かり易いです。ボールを奪われる事を恐れるためにロングパスを選択しているからではないでしょうか。対する愛媛は、どうでしょうか。しっかり繋いで中央からサイドへ展開して、上手く崩して形を作っていました。
 しかし、後半の良い時間帯には、岡山もしっかり足下に直接やスペースにグラウンダーのパスを通してパスを繋げてました。やはり、足下で繋いで、前線に通した時は、良い形を作れています。ロングパスであれば、「白」か「黒」になり易いですが、足下であれば、色んな選択肢を増やせる選手が揃っています。特に8石毛 秀樹と10大竹 洋平の技術と創造性は、J2屈指と言えるでしょう。この3人の組み合わせを選択するのであれば、まずは、足下にパスを通して形を作る事が重要です。
 そのためにチームとしてパスコースと隙を作らせる約束事がある事が、重要となるのですが、チームとして相手の攻撃に合わせる事が多く、自分達で得点するという部分への取り組みを軽視している節が強い様に感じます。それが、色濃く出るのが、セットプレーの守備で、全員が戻ります。前線に選手を残してカウンターを狙うという基本的な部分を軽視しています。つまり、無失点に抑えて、勝ち点1以上を獲得する事を主眼に置いている事です。前節の福岡戦の様に守備が機能しなければ、一方的な内容になるのも納得です。それでも運が良ければ、決定機を作れますので、勝てる試合もありますが、基本的には、対戦相手次第となります。

 もう少し自分達で、崩して得点奪う部分へのアプローチや攻守のバランスを取りつつ、カウンターにも力を入れる事も必要ではないでしょうか。長澤 徹監督になって、カウンターが激減しており、深刻な得点力不足として結果に出ています。監督として、こういったチーム状況を打開する采配は見られません。夏場の補強に失敗すれば、毎年失速する終盤に残留争いに巻き込まれる可能性が、現実味帯びてきた中盤戦序章と言えそうです。

 また、岡山チームカラーであった「ハードワーク」と「堅守速攻」というワードに「堅守遅攻」が加わってますが、どちらも中途半端の状況です。現状は、「過労拙攻」という状況で、綺麗な良いハードワークと感じる部分が少なく、効率の悪い守備に追われて、肝心の攻撃も速攻を狙えるシーンもバックパスで潰し、遅攻でも後ろで回して苦し紛れのロングパス。これが現実です。
 チームとして、如何にボールを奪取して守るのか。如何にゴールを奪うのか。こういった部分に取り組んでほしいです。そして、苦しい状況でも決定機を作れる試合がある通り、チームとして高い能力を持っている選手も多いので、組み合わせであったり、戦術や采配で、選手の能力を引き出して欲しいです。そして、得点を奪う逆算、つまり勝利へより逆算された強い岡山の復活に期待したいです。
 今回は、厳しい内容でしたが、まだまだ下を向く状況ではないので、チームとして少しでも上を目指す気持ちを失わず、しっかり戦い抜いて欲しいです。

試合評

MOM:5藤田 息吹(愛媛)
MIP:31朴 成洙(愛媛)
満足度:1点(10点満点)

岡山から世界へ
To Be Continued

by 杉野 雅昭(masaaki sugino)

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