「絶対的なエース」は絶対的に必要か?(79740,8)(2009.12/1)
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元大阪爺
2009年12月01日 12:26 visibility131
「日本一巨人の弱点は日本人の先発投手のコマ不足」とか,「原監督期待!20勝できる日本人エース出てこい!」と言ってるとか, 巨人ファンの中にも「(先発型の)絶対的なエースが必要」とかいう声がありますが,そんな人がいなくても,「巨人は日本一」になったわけですから,優勝の必要条件ではないことは明らかです。報知の記事にも「巨人の生え抜き日本人投手で15勝以上をマークしたのは、2003年の上原(16勝)が最後。20勝 に至っては、99年の上原以来、10年間も出ていない。」と書いてありますが,1999年も2003年も巨人は優勝していません。そんな日本人の先発エー スがいなくても,2000,2002,2007-2009年と巨人は優勝しています。もっと徹底しているのは,JFKという絶対的な救援投手陣を作った阪 神で,2005年の優勝時には,規定投球回数に達しなかった下柳投手が最多勝になりました。
昔と違って,先発は5-6試合に1度しか出てきません。その試合に全部勝っても他の試合に負けたら,トータルの成績が上がらないのは当たり前です。他方,野手は毎試合に出ますし,救援投手も毎試合のように出てくるわけですから,「野手の中核」と「救援投手の中核」が「先発投手の中核(エース)」より優先順位が高いのは当たり前ですし,近年の阪神・巨人の再建も,以下のように,その優先順位に沿ったものです。
1993-2002年と下位に低迷していた阪神は,2002年オフに広島からFAで獲得した金本選手,リリーフにJウイリアムス投手を獲得し,金本選手は野手の中核に,ウイリアムス投手は安藤投手とともにリリーフ投手の中核となって2003年阪神は優勝。金本選手はその後も阪神の中核野手として,ウイリアムス投手は,阪神鉄壁の投手陣JFKの一角として阪神を支え,2005年の優勝等に貢献しました。
2005-2006年と2年連続のBクラスだった巨人は,2006年オフに日ハムからFAで小笠原選手を獲得,抑えに(先発から)上原投手を配置換えして2007年にリーグ優勝。2007年オフには,リリーフとしてクルーン,先発投手としてグライシンガー投手を獲得し,野手としてラミレスを獲得しました。グライシンガー投手の貢献はもちろんありましたが,2008年〜2009年の優勝により貢献したのは,小笠原・ラミレスの野手,越智・山口・クルーンの救援陣でした。
ということで,チーム力をつける優先順位は,A)野手に中核選手をつくること,B)救援陣を整備することであり,C)先発に絶対的なエースを作ることというのは,優先順位がかなり低いことがわかります。もちろん,そこそこ投げることができる先発投手の頭数は必要ですけど。さらに,D)先発のエースが日本人であることなどというのはもっと優先順位が低いですね・・・というか日本一になってから「プラスα」として中・長期的に考えればよいこと・・です。
で,我々ファンも含めて周囲が「絶対的なエース」をどうしてほしがるかということを考えると,ペナント終盤の大事な試合やCSや日本シリーズといった短期決戦の時に,「いろいろ考えなくてすむ」という1点だけのように個人的には思います。我々ファンが,そんな風にして「困ったときのエース頼り」をするのは,またそれにロマンを感じるのはOKだと思いますが,少なくとも,球団首脳陣はそんな「思考放棄」や「ロマン」に浸っていては困りますね。
なお,AとBとどちらの優先順位が高いかと言われると「とりあえず両方」というしかありません。はっきりしているのは,Bの救援投手の方が野手に比べて寿命が短いので不断の補強が必要ということです。原監督だって,「15-20勝出来る日本人エース出てこい」といいながら,補強では,(越智・山口・豊田・クルーンがいるにも関わらず)即戦力のリリーフ投手を要求していてフロントもそれに応えています。
追記 今季のパリーグでは,田中・岩隈の楽天,岸・涌井の西武と,共に2枚の先発型エースをもつ球団が,日ハムに敗れましたが,それも救援陣の差によるものでした。
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