NHKスペシャル「ONの時代」を見て(54549,16)
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元大阪爺
2009年10月11日 19:23 visibility141
9月20日と27日に放送されたものですから,やや遅すぎる感想ですが,明日(12日)の午後3時半から2話一挙に再放送されるようですから,その前に書いておきます.
・全体として,日頃控えめな王さんが,かなり率直に話をされていることに驚きました.そして王さんと長嶋さんの思いは微妙にずれていることがわかりまし た.そのずれの部分を,後輩である王さんの方が合わせてきたのだなあと感じました.最後の場面で,脳梗塞の後遺症で手足が不自由で口もまわらない長嶋さん に,王さんが懸命に話しかけて長嶋さんの微笑を誘ったところが印象的でした.王さん本人がいくら否定しようとも,王さんは人格者だと私は改めて思いまし た.
・第1話が選手としての両者,第2話が監督としての両者を語ったものです.
・第1話は,「天才:長嶋」,「努力の人:王」という一般的に知られているイメージが,マスコミによって「作られたもの」であることを両者に語らせています.長嶋さんが影で一生懸命練習していたことと,王さんがプロ入り当初は大して練習しなかったことが紹介されます.
確かにそういう一面はあったでしょうが,それを考慮しても,やはり私は「天才:長嶋」,「努力の人:王」だと思います.長嶋さんの「伊豆の山篭り練習」 は有名な話ですが,「当時のマスコミのチェックは今のように厳しくなかったので,山篭りの初日と最後だけ練習する姿を見せて,後はキセルよろしく海外旅行 していた.」と本人が別の機会に言っていたのを私は知っていますし,当時の巨人軍の牧野ヘッドコーチの手記にも「山篭りで練習していたと聞いているのに, キャンプのときに丸々と太った身体で長嶋が出てきたきたので,「何をしていたんだ」といったら,本人が「まあまあ」といってごまかした.」などという記述 があるそうです.大体いくら練習しても,天皇が初めて見にきたプロ野球の試合で村山投手からサヨナラ本塁打なんて打てますか?
王さんに関しては,プロ入りして荒川コーチにあって一本足打法に開眼するまでは,確かに練習不足だったかもしれませんが,一本足打法に取り組んで以降の 練習のすごさは,誰もが認めるものです.それゆえ,監督になって以降の王さんは,自分が率いる選手たちの練習が不十分であるとしか思えず,選手と意識のズ レを生じ苦労することになります.
・第2話は,(V9野球の反動で)「勝つだけでなくファンを楽しませる野球」を目指した長嶋さんや,「選手に完璧を求める」王さんが共に監督として 当初失敗したことが語られます.これについてはさすがはNHKというところです.ただ,最終的には二人ともこの問題を克服したことになっていて,この点は (特に長嶋さんに対して)私は「甘い」と思います.ONは,特に「N」は,高度成長時代の(団塊の世代の)日本人の「夢」であり,それに対する率直な批判 はなお「タブー」なのでしょうね.
かくいう私も,団塊の世代を上司にもつ「ウルトラマン世代」ですが,長嶋さんの大ファンであり,長嶋さんの批判を他人にされると理屈ぬきに頭に来る人間ですので上記の「タブー」もやむをえないとは思います.
・もし,上記番組を見られていないのでしたら,明日の再放送をみることをお勧めします.一話あたり1時間程度ですし,体育の日に見る番組としてもふさわしいと思います.
*追記
長嶋さんのスランプが短く,王さんのスランプが長かったことは当時はよく知られていたことで番組でも紹介されています.某番組で有名な張本さんは,そのことを忘れていて,「松井秀がスランプに陥るのはフォームをたびたび変える(微修正する)からだ.きちんとしたフォームの王さんのスランプは短かった」などと言ってますがそれは間違いです.スランプが長引くかどうかは,フォーム云々よりも,本人の気質によるものでしょう.完ぺき主義の王さんは,たとえ本塁打がでても納得できないことがあり,それがスランプを長引かせたと思います.常に前向きの長嶋さんは,それゆえスランプも短かったのでしょう.
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