優等生の悲哀
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アオ
2007年03月08日 10:27 visibility59
最低限の結果は出したレッズ。
以前のACLとはグループリーグのレギュレーションが変更されたため、必ずしも大量得点による勝利は必要でない。とはいえ、現状での最大の問題は、チーム全体に、(ACLに限らず今季のすべての)タイトルに向けた、リーグチャンピオンとしての意思が感じられないところであることを痛感する試合となった。
J1開幕戦・横浜FC戦のレビューでも書いたが、プロスポーツ選手はフィジカル面だけではなくメンタル面も自ら律しなければならない。というより、それは車の両輪のようなもので、片方だけが進むということはない。現状のレッズの車輪の回転の悪さはここにある。
メンタル面では闘莉王選手の不在が大きい。闘志をむき出しにする闘莉王選手、いじられ役のムードメーカーのアレックス選手の二人がピッチから一度に抜けて開幕を迎えることになり、チームにとっては個々の戦力を失ったこと以上に戦力低下を招いてしまった。
もちろん、ワシントン選手の不調もチームの雰囲気に影を落としている。結局日本人選手でリーダーシップなりムードメーカーなりの役割を示せるタイプが、現状では岡野くらいしかいないのが非常に問題である。本来であれば、山田選手なり小野選手なりにその役割を期待したいところだが、プレー以外のところはあまり派手でない、優等生タイプのこの2人にそれを期待するのは、永井選手やポンテ選手にそれを期待するのが難しいのと同じように難しい。
今期加入した阿部選手も優等生ながら、どちらかといえばリーダータイプだが、唯一の新規加入選手ということで、いわば同期のいない中途採用のようなものだ。これではなかなかチームに溶け込むのに時間がかかる上に、闘莉王選手と重なるポジションでの起用ということで、かえって他のチームメートからしても阿部選手としても精神的な「やりにくさ」を練習のときから感じているのではないかと想像する。
ところで、テレビの前の一ファンとしては、昨日のような試合において、スタジアムのサポーターにお願いしたいことがある。それは、敵チームにブーイングを送るよりも、闘志が出ないチームを鼓舞するような熱気をスタンドから放射して欲しいということである。
日本人のメンタリティとして、一度格下と決め付けた相手に対して応援するモチベーションを見出すのが難しいということは確かにあろう。また会社帰り等でスタジアムに馳せ参じて、ネクタイをつけたまま盛り上がるのは週末以上に難しいというのもわかる。しかし、やはり国際舞台に出たのだから、スタンド全体でなくてもいいから、ゴール裏の一部でも熱狂的な応援っぷりを見せて欲しかったと個人的には思った。
もちろん、レッズらしい、スタンドが一体になった「優等生」的な応援が悪いといっているわけではない。ただ、レパートリーの少ない歌と相手キーパーへのブーイングくらいしかできないのでは、冷えたチームを鼓舞できないし、テレビの前も物足りない。レッズサポはもっと工夫したり改善したりできるはずだ、と言いたいのだ。
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