#201 中学校の教育現状④  ~臨時採用教師~



 

公立小中高校において、「臨時採用教師」の割合が高くなっている現状をご存知ですか?

 

























 

熊本市教委がおととい14日、政令指定都市移行に伴い今夏初めて実施する2013年度小中学校教員採用試験の最終志願状況を公表しました。



平均競争倍率は12・8倍で、計57人の採用予定に729人が出願し、小学校は27人の募集に371人が申し込み、平均倍率は13・7倍、中学校は10・8倍で、教科別では社会の20・7倍が最高だった。

なお、特別支援は小学校17倍、中学校8・5倍。身体障害者の特別枠で1人が出願したという。

 

 

市教委は初の採用試験にあたり、受験者の年齢制限を「59歳以下」として事実上撤廃し、臨時採用教師や社会人経験者の優遇措置など県にはない“独自策”を打ち出しており、教職員課によると志願者の約3割にあたる215人(臨採143人、社会人72人)が優遇措置の対象で、年齢構成は集計中だが58歳の出願もあったという。


 
























 


また、ある調査会社の調査結果では、「新規採用」の先生が「新卒」なのは、小学校では約4割、中学校では約3割、高校は約2割しかいないそうです。

 

 

では、最も多い前職は何かと言うと、それは「臨時的任用および臨時採用教師」で、小・中学校では約4割、高校では約5割が、臨時採用教師などとして学校現場での授業経験があるということになるそうです。

 

 

ここで、少し問題があります。

先の熊本市がとった県にない独自策としての「臨時採用教師や社会人経験者の優遇措置」という、実経験を評価した採用対策に表されるように、皆さんも「臨時採用教師の経験者が多い方が良いんじゃないの?」と疑問に思われるでしょう。

 

 

新卒の採用者も初めは経験の浅い初心者です。誰もがそこから経験を積んでいくものです。しかし、実経験前の研修制度に大きな落とし穴がみられます。

 
























 

正規雇用の新規採用教員に対しては、学校の内外で1年間の特別な研修(初任者研修)を受けることが、教育委員会によって義務付けられています。

 

 

これに対して、非正規雇用の臨時採用教師の場合、教育委員会には研修を行う義務がなく、授業経験がない新卒者であろうと、研修を受ける機会がない場合があるというのが実情のようです。

 

 

熊本県の場合、ウェブサイト調査の「臨時的任用教員対象研修の全国的動向」によると、県立学校等臨時的任用教員研修という高等学校と特別支援学級を対象とした1日研修はあるようです。

 

 

これを見れば、義務教育では正式に採用される前に、全く授業経験のない多くの新卒者が「臨時採用教師」として子どもたちに授業をすることもある、ということです。

 

 

これから紹介する記事のとおり人件費抑制のため、教職員全体に占める非正規教員の割合は年々高くなっており、地方自治体の苦しい財政事情を考えれば、今後も授業経験のない新卒者が、臨時採用講師として子どもたちを教えるケースが、増えていくことも考えられるでしょう。

 

 

 

熊本県の小中学校と高校を含めた県立学校の臨時採用教師に関する記事が、昨年末に取り上げられていたので紹介してみます。

 

 

『県内の臨時採用教師(事務員含む)が全教職員数の約16%に達し、少なくともこの10年間で最多となっている』と県教委が発表した。

 

 

学校現場で必要な教職員数が県教委の定員計画を上回っており、臨時採用教師で補っているのが現状で、正規採用の教職員増員など早急な対応が迫られそうだ。という内容の記事でした。

 

 

県教委学校人事課によると、県内の教職員数は1万5975人(2011年4月1日現在)で、うち2496人(15・6%)が臨時採用教師であるという。しかし、これには妊娠や病気など休職者の補充分も含まれており、実質的な欠員は1775人(11・1%)という。

 

 

教職員数は学級数に応じて法律で定められており、県教委の定員計画(2008~2012年度)では少子化などを考慮して、昨年4月1日時点で必要な教職員を1万5468人と見込んでいたが、それを507人上回った。

 

 

臨時採用教師増加について、県教委は(1)小中学校での特別支援学級の増加(2)小中学校での理数教科の少人数指導という文部科学省方針への対応(3)2011年度からの小学1年生への35人学級導入に対応した増員のため、と説明する。

 

 

本年4月1日時点でも約650人が不足しており、県教委は「早急に教職員の増員計画を作り、臨採の実質的な割合をまず7、8%程度へ引き下げたい」としている。

 

 

 

 

決して、臨時採用教師の皆さんを否定している訳ではありません。

むしろ、これまで出会ってきた臨採の方々で「なぜ、この方が採用されないのだろう?逆に、何であの先生が採用されたのだろう?」と不思議に感じたことが多々あります。



将来「教職員」として採用される可能性が高い新卒の臨時採用教師だからこそ、研修を受けさせる環境整備が必要になるのではないでしょうか?

 

 

また、教育という業で、生涯働くであろう正規雇用者(=教職員)と、年度契約での契約社員(=臨時採用教師)についても、配置人数やスキルの適切なバランスと質の向上は、最重要課題と言えるのではないでしょうか…

 


























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