指導者が自らを「目利き」だと思った時!
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Miya
2012年08月27日 00:01 visibility329
前回の日記で今年の巨人戦を見てもイマイチ熱くなれない理由を書いた。
単純に「勝ったぁーっ!」とか「負けたぁああああ!」などと一喜一憂できない。
いつかそんな日がまた戻って来てくれると嬉しいのだが。
さて、今日は我らが若手ファン期待の星である宮國椋丞投手の先発で勝利した。
彼について原監督はおおいに期待をしているし、珍しく大事に育てようと思ってくれていて、「無理して使う」こともないし、「2軍で放置する」こともしない。
誠にありがたいことである。
原監督は宮國が非凡な能力を持った選手であることを認めていて、このようなコメントを残している。
「彼は100勝する投手ですから」
それを聞いて、半分は納得し、半分は疑問に思った。
プロ野球の世界で投手が100勝することは並大抵ではない。
10勝を10年間継続しないといけないのだ。
この言葉は宮國のことを並の選手ではないことを例えたのである。
しかし・・・である。
現実的には適切な目標設定であるし、このことだけを見れば問題はない。
宮國がこれを聞いてどう思ったかわからないが、私自身はこれが期待をかけたコメントならちょっとストレッチ(背伸び)して欲しいと思った。
「200勝する投手」などと言えばいかにも非現実であるのはわかるけど、宮國の器の大きさを考えれば、少しオーバーな夢を与えた方がいいのではないかと感じる。
「宮國は100勝できる投手です。そして150勝以上する夢を見れる投手です」とか何とか・・・宮國はそれだけの大言壮語も許される素材だと思う。
やはり「育成」には、大それたロマンを持って欲しい。
最初から現実的な上限を設けてどうする?
指導者ともなれば、頭脳では現実的な計算をしつつも気持ちは情熱を持ち、選手にかける言葉は常に「おまえたち、もっともっと大きくなれよ!」という過剰な部分があるべきだと思う。
選手のほとんどは指導者の抱いた夢以上の大きさに育たないものだから。
原監督もこの職務に就いて9年目になる。
若手がどんな成長を遂げるかを見て来ているし、自分の第一印象がどのような結果になるかは数多くの実例から学んでいることだろう。
だから現実的な「目利き」がある程度できるようになっていることはわかるし、それは周囲にいるスタッフの誰よりも長く現場にいるのだから自信を持っているはずだ。
で、ここからそれを問題視していくのだけど、ちょっとそれが現実的過ぎやしないか?
今1軍の控えで藤村大介という選手がいるが、彼が高卒でドラフト1位に指名された時の原監督のコメントにはちょっと面喰らった。
「うちには鈴木尚広という俊足の選手がいる。藤村君には是非彼を目指して欲しい」
なぜドラフト1位指名選手に対して、控え選手を目標として与えるのか?
あまりにもスケールの小さい発想、話にガッカリした。
俊足で巨人なら柴田勲、松本匡史など素晴らしいお手本となる選手がいるではないか。
それが藤村の上限ならば、ドラフト1位で巨人が指名すべき選手だとは思えない。
しかし、現在の藤村を見れば、原監督の「目利き」が妥当だったと思えてくる。
昨年はセ・リーグの盗塁王に輝いたのだから「鈴木尚広」は超えたが、今はそれすらも満たせずに2塁の控え選手になっている。
まさしく「お眼鏡」通り・・・いや。それ以下か?
なぜこんなことになったのだろうか。
1軍になかなか上げてくれない大田泰示、中井大介、隠善智也と対照的に、藤村の場合はまだ未完成なのに2軍で鍛えずに1軍の控えに置き続けていることで成長が止まったように思える。
藤村大介に対して、「(控え選手の)鈴木尚広を目指せ!」と言った原監督は、確かに目利きなのかもしれないが、その視点はあまりに現実的すぎる。
そして、大問題なのは、自分の目利き通りに選手を追いやっていることだ。
つまり、藤村が控え選手程度の実力のままで甘んじている現状は、他ならぬ原監督自身が創り出したことではないか。
あまりに「目利き」であるが故に、スケールの小さな選手ばかり製造し続ける原監督。
自分を尺度にすると、誰も彼もが「ちっこい」選手たちに見えてくるのか。
大田、中井、隠善を1軍に上げても、数打席与えただけで即座に2軍に落としてしまう。
その理由は、「目利き」である原監督には、彼らをちょっと見ただけで1軍で通用しないことがわかってしまうからだ。だから口実のように数打席与え、「ほらダメだっただろ?」とばかりに数日間で2軍に落としてしまう。
たしかに、大田、中井、隠善は50打席を与えても結果はそんなに変わらないだろう。
100打席与えてもあまり変わらないかもしれない。
いや、原監督が彼らよりも上だと思っているボウカーが168打席与えられてもあのザマだから200打席以上与えないと成長を見せてくれないのではないか。
でも、茶柱さんが日記で指摘されたように、厳しいプロの世界で二流の打者が覚醒するためにはそのくらい時間と犠牲が必要になるものだ。
原監督は自身が一応は「二流の上」ランクの打者であったし、目の前で坂本や阿部という一流の天才打者がポカポカと打つから何か勘違いをしているのかもしれない。
あるいは、これまで小笠原、ラミレス、村田を他球団から獲って来たように、1軍というのは「もうすでに打てる打者に打席を与える場所」だと考えているのか。
だとしたら、彼の考えでは1軍で育てる場ではなく、2軍では充分に育成して1軍で通用する選手に仕上げてから1軍に合流すべきだと思っているのだろう。
当たり前のことであるが、大田、中井、隠善が1軍で結果を残せないのは、数多くの打席を与えないことが原因である。
1軍の投手の球を打ったことがない彼らは1軍の試合に出ることによってしか1軍の打者として成長はできない。
自分がいくら彼らを見て、「これはまだ通用しない」と思っても、迷わずに200打席をくれてやって欲しい。いくらそれで得点のチャンスを潰そうと、エラーで試合に負けようといいではないか。
それでも今の巨人なら優勝できるだけの戦力はある。
ないとしても、それが原因で優勝を逃すことはない。
下位打線が勝利の原動力になった試合は今年の巨人にほとんどないではないか。
もしその代償を今支払わなかったとしたら、将来巨人はまだ主力打者を他球団の選手に依存することになるだろう。
それだけはもう勘弁して欲しい・・・。
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