くたばれ、21世紀枠!?~『弱くても勝てます』

  • 仲本
    2013年01月13日 21:35 visibility588

正月休みには兄一家が実家に遊びにきていた。話を聞くとあちらの家の男の子2人は少年野球チームに入っていてパパも大変らしい。野球は素人とはいえ土日の練習にはほぼ毎回手伝いに行かなくてはならず、最近では少年野球の指導本などもぱらぱら眺めているとか。荷物の中にもそれらしきものが2、3冊入っていたのだが、中にはこんなのも。

 

『弱くても勝てます』…いろいろと話題になっているようだ。題材になっているのは日本一の進学校・開成高校野球部。というわけで兄と子供たちが外で遊んでいるうちにちょっとだけ拝借(苦笑)、最初の50ページほど読んでみた。で、続きを読む前に兄たちは荷物をまとめて帰ってしまった。

 

ろくに読んでいないのにまとめるというのも乱暴な話だが、ざっくりいえば「守って勝つな、打って勝て」ということだ。もちろんそこはそれ、おそらく三度の飯より理屈が大好きな生徒と監督が集まっているチームだからあらゆることに華麗な理屈がついてくる。いろいろな書評などでは「驚きの発想!」と持ち上げているが、よくよく考えればなんのことはない、「素人が集まって草野球チームを作ったらまずどうするか?」に通じるものがある。打順は打てそうな奴から並べる、守備のエラーは計算ずく、ストライクが入りそうな奴は全員投手としてカウントする…、

 

過去5年間の夏・秋の公式戦の戦績を見ると「ドサクサまぎれにビッグイニングを作ってコールドで勝ち逃げする(!)」という理想の展開にはなかなか持ち込めていないようだが、それでも2012年の夏の東東京大会では2つ勝って4回戦へ進んだ(勝ったスコアは7-4、5-4と結構平凡なので作戦成功とはいえないかもしれない)。数年前には夏の16強に入ったこともある。ということは?

 

まかり間違って(失礼な)、秋の東京大会でそこそこ勝ち進んでしまったらどうなってしまうのか。強豪ひしめく激戦区で、進学校のため練習時間が取れない。グラウンドもきっとそんなに広いわけではないだろう。過去の21世紀枠の選考基準に照らせば資格十分といえる。しかし、「そもそもわれわれはまともな野球のセオリーで勝負したら100%負けます」と言ってしまうチームである。文武両道というよりも、校章からして「ペンは剣よりも強し」と言ってしまう学校である。それでも東京都の高野連は21世紀枠に推薦し、主催新聞社は選抜するだろうか?それとも当の本人たちが「よくわからない基準で選ばれるのは嫌です。理屈に合わない」と言ってくれるだろうか?

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