
ザック発言で話題。『インテンシティ』の本当の意味とは? 曖昧な単語が流布して起こる危険性
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りぴーちゃん
2013年06月07日 15:01 visibility341
ザック発言で広まった“インテンシティ”
日本語圏のインターネット空間において、2013年5月以前に『インテンシティ』が最も多く使われたタイミングはどうやら2005年11月であるようだ。
グーグル・トレンドでインテンシティと検索してみただけの結果なのだが、どういう経緯で多く検索されたのかは定かでない。村上龍氏の『フィジカル・インテンシティ』という一連の著書が発表されたのはいずれも2002年より前のことであり、この件には関係なさそう。そして、それ以後も2013年5月までそれほど大きな伸びはないようだ。
この5月で大きく伸びている理由は、やはり5月23日に行われたブルガリア戦・豪州戦メンバー発表会見でアルベルト・ザッケローニ監督がインテンシティという言葉を使ってからだろう。
多くのメディアだけでなくtwitterなどSNSを見ていても、バズワードとしてインテンシティという単語が使われているのを確認できる。そして、その単語が確固たる実態を伴うものだという前提で使われているように思う。
本当にそうなのかどうか、筆者はかなり気になっていた。そこで、信頼を寄せるスペイン・バルセロナのUEコルネージャ・コーチである坪井健太郎氏に話を伺った。以前から坪井氏、そして氏を紹介いただいた小澤一郎氏の発言を見聞きしているので驚きはなかったが、改めてインテンシティという言葉の危うさを確認することができた。
■実は定義のない言葉
インテンシティとは、単純な辞書的な訳をすれば『強烈さ、激しさ、強度』などである。しかし、こうした辞書的定義が現場でそのまま使われているとは限らない。坪井氏いわく、インテンシティという単語は「スペインの現場でも、話し手によって違う定義がある」ということだ(本筋には全く関係ないが、intensity 5 upperで『震度5強』という意味にもなる)。
例えば、坪井氏はTwitter上で「自分の中でインテンシティが高い選手の一人、遠藤選手。戦術的インテンシティはかなり高い。フィジカルは低いけど」というコメントを残している。インテンシティという言葉を『強烈さ』と代入してみたら、「自分の中で強烈さが高い選手の一人、遠藤選手。戦術的強烈さはかなり高い」となる。ハッキリ言って、意味がわからない。
つまり、インテンシティという言葉は「強烈さ」「激しさ」「強度」だけでは足りないということだ。詳細は後日インタビュー形式でどこかで発表するとして、ここでは「インテンシティという単語には、少なくともスペインでは確固たる定義が定まっていないのだ」ということを述べておきたい。おそらく、その事実さえ伝わっていないのが現状だと思う。
坪井氏によると、スペインにおけるインテンシティという言葉の使われ方はこういったものであるようだ。
■メンタル的な側面でも使用することも
坪井氏「スペインでは、インテンシティという言葉は語る人によって違うという面白い現象が起きています。単純な解釈として、決まった何かがあるわけではありません。一般的に語られるのは、フィジカル的な強度です。例えば球際の激しさ、スピード感もインテンシティに挙がります。そういうフィジカル的な要素でプレーの強度が上がる、というのは共通しています。
加えて戦術的なインテンシティです。例えば難しい状況でのトレーニング、狭いスペースでのトレーニングは展開が早くスピード感があり、自分がプレーできる時間も少ないので頭の回転を早くしなければなりません。脳にかかる負担が高くなるので、そこでインテンシティという表現がされることもあります。
インテンシティというものは、目に見えるものでもあるし、目に見えないものも存在しています。戦術的なものもあるし、メンタル的なものもあります。例えば慌てている状態は、プレッシャーが掛かっている、負荷が掛かっているという意味でインテンシティと捉えることができます。
なので、『インテンシティとは何か?』と問われた時に『これだよ!』と答えるのがすごく難しいものなのです」
日本語圏のインターネット空間において、2013年5月以前に『インテンシティ』が最も多く使われたタイミングはどうやら2005年11月であるようだ。
グーグル・トレンドでインテンシティと検索してみただけの結果なのだが、どういう経緯で多く検索されたのかは定かでない。村上龍氏の『フィジカル・インテンシティ』という一連の著書が発表されたのはいずれも2002年より前のことであり、この件には関係なさそう。そして、それ以後も2013年5月までそれほど大きな伸びはないようだ。
この5月で大きく伸びている理由は、やはり5月23日に行われたブルガリア戦・豪州戦メンバー発表会見でアルベルト・ザッケローニ監督がインテンシティという言葉を使ってからだろう。
多くのメディアだけでなくtwitterなどSNSを見ていても、バズワードとしてインテンシティという単語が使われているのを確認できる。そして、その単語が確固たる実態を伴うものだという前提で使われているように思う。
本当にそうなのかどうか、筆者はかなり気になっていた。そこで、信頼を寄せるスペイン・バルセロナのUEコルネージャ・コーチである坪井健太郎氏に話を伺った。以前から坪井氏、そして氏を紹介いただいた小澤一郎氏の発言を見聞きしているので驚きはなかったが、改めてインテンシティという言葉の危うさを確認することができた。
■実は定義のない言葉
インテンシティとは、単純な辞書的な訳をすれば『強烈さ、激しさ、強度』などである。しかし、こうした辞書的定義が現場でそのまま使われているとは限らない。坪井氏いわく、インテンシティという単語は「スペインの現場でも、話し手によって違う定義がある」ということだ(本筋には全く関係ないが、intensity 5 upperで『震度5強』という意味にもなる)。
例えば、坪井氏はTwitter上で「自分の中でインテンシティが高い選手の一人、遠藤選手。戦術的インテンシティはかなり高い。フィジカルは低いけど」というコメントを残している。インテンシティという言葉を『強烈さ』と代入してみたら、「自分の中で強烈さが高い選手の一人、遠藤選手。戦術的強烈さはかなり高い」となる。ハッキリ言って、意味がわからない。
つまり、インテンシティという言葉は「強烈さ」「激しさ」「強度」だけでは足りないということだ。詳細は後日インタビュー形式でどこかで発表するとして、ここでは「インテンシティという単語には、少なくともスペインでは確固たる定義が定まっていないのだ」ということを述べておきたい。おそらく、その事実さえ伝わっていないのが現状だと思う。
坪井氏によると、スペインにおけるインテンシティという言葉の使われ方はこういったものであるようだ。
■メンタル的な側面でも使用することも
坪井氏「スペインでは、インテンシティという言葉は語る人によって違うという面白い現象が起きています。単純な解釈として、決まった何かがあるわけではありません。一般的に語られるのは、フィジカル的な強度です。例えば球際の激しさ、スピード感もインテンシティに挙がります。そういうフィジカル的な要素でプレーの強度が上がる、というのは共通しています。
加えて戦術的なインテンシティです。例えば難しい状況でのトレーニング、狭いスペースでのトレーニングは展開が早くスピード感があり、自分がプレーできる時間も少ないので頭の回転を早くしなければなりません。脳にかかる負担が高くなるので、そこでインテンシティという表現がされることもあります。
インテンシティというものは、目に見えるものでもあるし、目に見えないものも存在しています。戦術的なものもあるし、メンタル的なものもあります。例えば慌てている状態は、プレッシャーが掛かっている、負荷が掛かっているという意味でインテンシティと捉えることができます。
なので、『インテンシティとは何か?』と問われた時に『これだよ!』と答えるのがすごく難しいものなのです」
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