5年という時間の中でサッカー選手として身に付けてきたモノとは?~再会、そして対戦~

5月15日に行われたTOYOTA LEAGUE CUP

 

相手はタイリーグ1(T1)に所属しているBangkok United。

カップ戦はベスト32。

両チーム共に控えメンバーを使い試合に臨んだ。

 

キックオフ前にメインスタンドに向かって並び選手同士が握手をする。

その時に見覚えのある顔が前を通った。

 

T1で戦っていたシーズンが長いから多くの選手を知ってはいるんだが...

そういう類のものではない。

 

懐かしい…Osotspaの練習場を思い出す

 

住宅地の中にポツンとあるサッカー専用のフィールド。

 

僕らが練習場に着くとアカデミーの選手たちが練習している。

まだ体の線も細く、みんな幼い顔をしている。

疲れてはいるが目は輝いていた。

彼らは練習が終わると目の前にある屋台で食事をしたり、僕らトップチームの練習を見ている子たちもいた。

 

 

見覚えのある選手とは、僕が最初に所属したOSOTSPA M150 SARABURIのアカデミーにいた選手。

 

Wanchai No.24(Bangkok United所属)

 

すぐに分かったよ。

 

当時はFWだったが今はSBでプレーしているらしい。

覚えているのはもう1人のFW。

タイで得点を量産するブラジル人FWのクレイトンを溺愛して、当時からプレーを盗んでいた彼は、

現在アンダー世代の代表の10番を背負ってる。

*Wanchaiも選ばれている

 

アカデミーの監督は現在タイA代表のPi Toyだった。

彼は勉強熱心でサッカー事務所に行くといつも練習動画を見ていた。

若い選手を育てるのが得意な監督で、自分でもトップチームの監督より向いてるって言ってた。

(いつ気が変わったんだか…笑)

そのPi Toyとアカデミーの子どもたちについて、色々話したのを覚えてるよ。

 

5年もの時間の中で、彼はアカデミーを卒業し大学へ進学。

そこからAir Force Unitedに入り、去年Bangkok Unitedに移籍してきたんだ。

素晴らしいステップアップだよ。

(日本でいうと昔はJ1にいたけど、今はJ2に行ったり来たりみたいなチームから浦和に行く感じかな)

 

目標を追い続け、挑戦と野望に満ち溢れ、相当な努力とチャレンジを繰り返して自分のフットボールを作り上げてきたと思う。

失敗してもできるまでトライしたり、違うと言われても自分のやりたいプレーをし続けたり。

葛藤と戦いながら自分を信じる力を身につけ、変化させながらも自分を貫いてきた中で

技術を磨き感性を研ぎ澄ませてきた時間だったんじゃないかな。

 

一方、僕はSBとしてタイで築いた地位が外国人登録枠の減少によって無くなり、タイでもう1度プレーするために香港で死に物狂いでCBの経験を積んだ。ヘディングが超苦手な僕が、いきなり身長190cm以上で腕は丸太みたいに太い選手と空中戦の勝負ってなるんだからね。

 

CBにポジションを移したことで見る力、判断力、想像力、情報収集力、先を読む力、存在感、絶対感などプレーの技術ではなく、サッカーをプレーするのに必要な要素が大きく成長した。

その結果、2016年年間ベスト11に選ばれたり、キャプテンとしてT1への昇格に貢献したりした。

 

そして、向かえたこの日。

直接教えてないけど、アカデミーにいた彼がプロとなって僕と真剣勝負をする時が来たんだ。

やっぱりサッカーは素晴らしい。

全てにストーリーがある。

 

 

で、試合はというと…

戦力を落としてるといえどもトップクラスの選手を揃えてるチームだけに、控え選手でも他チームでは主力として活躍できる選手が出てくる。

当然、技術だけでなくメンタルも強い。

 

ざっと見たところ崩れる可能性が高いのが、その彼だったから”相手の左サイドから攻めよう!”と声をかけた。

 

アウェイゲームだが相手は勝つことが義務ずけられている、なおかつ試合前の雷雨でピッチは所々に水たまりがありボールコントロールがしにくい。

その状況の中で精神的にも技術的にも不安を抱えているとしたら経験の少ない彼だ。

 

予想した通り、うちの右サイドが起点となりリズムが生まれる。

速い攻め、前線からの素早いプレスから再三のチャンスを作るもゴールには至らない。

そんな中でCKから失点。

強いチームはセットプレーから点が取れる。

(ここがチャンスだとみんなが認識して一気に集中力が高まる)

 

失点してはいけない時間帯やシーンがあるのなら、決めないといけない時間帯やシーンもある。

サッカーは守って当たり前なんて誰が言った?

と思ってるのは僕だけだろうか。

 

後半に入り同点に追いつく。

そこから怒濤に右サイドから攻めるも、やはりゴールまで遠い...。

 

相手の監督は左SBの彼を交代。

側から見たら”やられてるから当然の交代”だと思うかもしれないが僕はそうは思わなかった。

しわ寄せのパスが来ても落ち着いて処理していたし、ミスパスはあったにしろその判断は間違ってはいないと思っていたから。

プレスを受けてる状況でも縦パスの意識は持ち続けていたし高い位置も取ってくる。

どんな状況でも”自分のフットボールを表現する”

若くして今のチームにいる理由がちゃんとあった。

 

監督からすると点を取らないといけなくなったから、より攻撃的なSBを入れただけって感じかな。

 

結果的にその後2失点をして1-3で負けた。

 

トーナメント制の試合は勝たないと意味がない。

うちの出場機会の少ない選手も良いパフォーマンスだったけど、勝たないと人の目に止まることはない。

良いところハイライトか。

実際に天皇杯で大学生とJのチームが試合した時、1試合見てみたいと思うのは大学生が勝った時ではないだろうか?

だから、なんとか勝たせてあげたかったんだけど...本当に残念。

 

ちなみに2失点とも素晴らしいミドルシュートだった。

60分過ぎの時間帯でボールも重くなりピッチもぬかるんでいる状況の中、よくコントロールされたシュートだった。

試合の流れからすると攻め手はそれしかなかった。

が、それを防げない守備の管理不足もさることながら、

流れや状況の情報収集から始まり、認知と判断、そしてイメージを実現できる技術を持っていたという事。

 

これから前期終盤、そして後期に入って行く中で、より厳しいディフェンスが求められる。

あと一歩距離を縮める、守備の形を保つなど、この試合を機にチームの守備意識を高められたらと思う。

 

試合後に、Wanchaiが”覚えていますか?”と声をかけてきてくれた。

”もちろんだよ”と答えた。
そしたら、”you are my idol. thank you very much for today.”と言ってくれた。

 

本当に嬉しかったよ。

 

僕はこう返した。

”yes im happy too becouse you remember me, and we are meet again on the feild as professional.”

(君が覚えていてくれて本当に嬉しいよ。それに再会がこの舞台だったこともね。)

 

次は僕がT1の舞台で彼と戦うために頑張る番だ。

 

 

今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。

 

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kata #4

 

 

 

 

 

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