お百度参り~西愛知大会

  • 仲本
    2018年07月04日 23:29 visibility604

熱田球場では第二試合が始まった。立ち上がりのチャンスを迎えたらしく、歓声が響くスタンドにやや後ろ髪をひかれながら、地下鉄の西高蔵駅へと向かう。前の試合がコールドゲームだったので、瑞穂球場の第三試合の開始はやや早まるかもしれない。瑞穂運動場東までは地下鉄一本で約10分だが、駅を出てから球場までは運動公園の中をさらに10分ほど歩くことになる。13時50分ごろに球場に到着。試合前のノックも終わっていた。開始時刻は予定通り14時で変わらないようだ。父母会の方だろうか、スタンドの入口でうちわを配っている。断る理由もないのでありがたく頂戴した。

 

うむ。

 

この日の対戦カードは一回戦の稲沢東-旭丘。一部マニアにはおなじみの皆勤校15校の中では一番早く第100回大会の初戦を迎えることになった。「愛知に極めつきのオールドユニフォームの学校がある」という噂を聞いて、一度でいいから見てみたい、と岡崎市民球場まで出かけていったのがもう5年も前のことになる。このときの旭丘はコールドゲームで敗れた。

 

昨年秋の大会で県大会まで進んだらしいし、それなりにいい投手がいると聞いたので、相手校の稲沢東のことは全く知らないが今回はそこそこ勝負になるのではないか。

 

稲沢東の先攻で試合が始まった。送りバントの送球がそれて無死1,3塁となるとなにやら怪しい流れになってくる。3番打者がレフト線に打ち上げたあたりをレフトが追いつけずヒットになってまず1点。三遊間寄りのショートゴロを一塁に悪送球して2点目。内野ゴロ間にさらに1点。いきなり3点を追いかけることになった旭丘1回裏の攻撃は一死1,3塁で4番打者を迎える。なんとなく危なっかしい追い方のライトが頭を越されて2点を返した。二死からこの回2本目の三塁打が飛び出し、逆転に成功した。

 

やや荒れ模様の立ち上がりになった試合、先に落ち着きを取り戻したのは旭丘だった。2回は投手強襲の当たりをショートがバックアップして一塁でアウトにする好プレー。三者凡退に打ち取るとその裏、二死ながら2,3塁のチャンスでレフト前に二点タイムリーで6-3とリードを広げた。試合会場が名古屋市内ということもあってか、ネット裏にも旭丘関係者が数多くいるらしく、スタンドは大いにわいた。

 

♪負けないでもう少し 最後まで走り抜けて

アウェー感のある稲沢東は女子マネージャーたちだろうか、スタンドの最前列で立ち上がって大きな声で歌っている。孤軍奮闘といった彼女たちに応えるべく、6回、稲沢東の攻撃。先頭打者が左中間を破って出塁する。この回1点を返し6-4。終盤にもう一つチャンスがやってくればまだ試合はわからない。しかし、旭丘バッテリーは試合が進むにつれて変化球をさらに緩くする。稲沢東打者のタイミングを外しにかかるとこれが効いた。

 

♪いいことばかりじゃないからさ

♪振り向くな 後ろには明日はないから 前を向け

最後までスタンドからの歌声が絶えなかった稲沢東だったが、7回以降は三者凡退。8-4、旭丘の勝ち。

 

試合終了のあいさつに並んだ稲沢東の列は短かった。この夏は総勢11人で戦った。おそらく何人かは今年が最後の夏だろう。予選皆勤は確かに偉業である。一方で、稲沢東のようにギリギリの人数で大会に臨むチームは全国的に急速に増えている。そんな中、野球を選んだ彼らが、このチームでまた来年の夏を迎えることができるように願わずにはいられない。

 

 

(試合終了後のスコアボード。10回の裏に入っているのは「A」と思われる。「X」ではなく「A」とするのはオールドスタイルだと思っていたが、この表示は初めて見た)

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