平成甲子園事件簿~高校野球奈良大会

  • 仲本
    2019年04月29日 23:24 visibility2361

平成25年の夏、奈良大会で“事件”が起きた。準々決勝で智弁学園が大和広陵にサヨナラで敗れた結果、ベスト4の組み合わせは以下の通りになったのである。

 

桜井-大和広陵/奈良大附-奈良朱雀

 

平成元年から24年まで、奈良代表となったのは天理が12回、智弁学園が10回、郡山が2回。さらにさかのぼれば、昭和44年の御所工(当時)以降は、実に44年にわたって夏の奈良代表を天理・智弁学園・郡山の3校で分け合っていたのだ。しかしベスト4にこの3校の姿はなかった。果たして歴史の扉を開くのは、春の選抜に出場し、智弁学園を降した大和広陵か。それとも天理・郡山を降した奈良大附か。しかし、準決勝・決勝を勝ち抜いたのは桜井高校だった。

 

桜井高校の甲子園出場はそれきりである。あいつ今どうしてる?的な雰囲気で春の高校野球奈良大会にやってきた。試合会場は佐藤薬品スタジアム(橿原公苑野球場)だ。試合開始予定は11時20分と聞いていたが、前の試合がコールドゲームで決着したために少し早まった。この日は2回戦、対戦相手は市立一条。

 

両校は昨年秋も初戦で対戦し、このときは8-3で桜井が勝っている。同じチームに二度負けるわけにはいかない一条は1回表、二死1塁からライト線二塁打で幸先よく先制、この走者も還して2点目。桜井もその裏一死満塁のチャンスを作ったが後続が絶たれた。序盤は一条が効果的な長打で着々と加点する。

 

桜井は5回裏、レフトポール際にライナーで打ち込むソロホームランで反撃を開始する。甲子園に出たときに派手なガッツポーズをしないというので少し話題になったが、どうやらそのあたりはあまり変わっていないようだ。6回裏は一死2,3塁としたが内野ゴロ、これが挟殺プレーの流れになって、結局走者二人がアウトになる。

 

6-1、一条5点リードで迎えた9回裏。桜井は一死から三連打で満塁とすると、3番・河野の打球が三塁線をゴロで破る。これが走者一掃のタイムリーとなった。後続がこの走者も還したが、1点及ばなかった。こうなってみると6回の攻撃が無得点で終わったのは惜しまれる。

 

ところで、奈良の春季大会のベンチ入りは20名。一条は背番号20までいたようだが、桜井は2人ほど足りなかったのではないか。スタンドには詰襟にいがぐり頭の集団が7,8名いたので、彼らが一年生だろう。ただちに人数的なピンチを迎えることはなさそうだが、気にはなるところだ。

 

一_条 211 100 100/6

桜_井 000 010 004/5

 

観戦二試合目は大淀高校と畝傍高校が対戦する。大淀高校のある大淀町は奈良県中部にある。町の南側を吉野川が流れ、旧伊勢街道沿いに開けたところ。近鉄吉野線も走っている。昔はサッカー部が強く、全国大会にも出ていた。学校は一学年130人程度で、野球部員も春のベンチ入りは15人足らずのようだ。

 

対する畝傍高校、スタンドには背番号のないユニフォームを着た選手と一年生部員と思われる学生服の一団がいる。野球しに学校に来ているような私学勢を除けば、ここはなかなかの大所帯ではなかろうか。学校は橿原球場からも比較的近く、ネット裏を含めてスタンドには畝傍の関係者が多そうな印象だ。

 

先攻の大淀は二死から連打が出たが得点ならず。後攻の畝傍は1番が四球で出るとそこから3連続長短打と犠牲フライで4点を先制する。やはり地力は畝傍が上回るようだ。

 

点差は徐々に広がって、4回終了時点で8-0と畝傍がリード。反撃したい大淀は5回表、一死1塁から三塁線を破る二塁打。得点圏に走者を進めた。その後二死満塁でこの試合二打席ともいい当たりを飛ばしている4番打者に巡ってきた。

 

レフトに上がった打球はフェンスに跳ね返って芝生を転々、走者一掃の二塁打になった。8-3。いったんは点差を縮めた大淀だったが、5回裏、畝傍の4番打者にレフトへ2ランを浴びるなど勢いを止められなかった。

大_淀 000 030/3

畝_傍 401 341x/13

(6回コールドゲーム)

大淀も得点圏に3度走者を進め、手も足も出ないわけではなかった。大淀は先発の背番号7から12、8、と左投手をつなぎ、最後は背番号1の右腕を投入。外野とのシートの入れ替えでやりくりしていた。夏に向けて、試合で投げられそうな投手を少しでも登板させておきたいという意味もあったのかもしれない。

 

奈良は私学二強の壁が厚いが、「第二グループ」の層に入るチームも多そうだ。今年の夏は混戦模様に持ち込むことができるだろうか。

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