日本人

  • 蹴人
    2010年10月09日 00:25 visibility77

夏の出来事である。


 


普段あまりコンビニを利用しないのだがその日は珍しくコンビニへ行った。


 


といっても長居はせず必要なものをさっさと買い店を後にしようと自動ドアを出ると


金髪の女二人が地べたに座りタバコを吹かしながら談笑していた。


 


特に気にもとめずその場を去ろうとすれ違う瞬間。


 


一人の女がツレの女に。


 


「もうちょっと日本人ぽい髪型にしたいんよね~」と言い放った。


 


ソイツはモップみたいな頭をしていた。


 


ツレが返す。


 


「そうそう!もっと日本人みたいにサラサラの黒髪で・・・。」


 


ツレもモップみたいだった。


 


プジョルかと思った。


 


・・・・・・。


 


沸々と怒りが込み上げてきた・・・。


 


「お前ら元々日本人やろ!!ほんなら今は何人やねん!!バカ!」


 


心の中で吐き捨てながら今度こそこのバカ空間から立ち去ろうとチャリンコの


ペダルを漕ぐ足に力を入れ最後にバカ2名を目に焼き付けようともう一度視線を移した。


 


すると・・・・


 


なにやら一人の女の腕に文字が刻まれているのを発見。


 


「タトゥーか・・・」


 


その身形では彫ってあっても別に不自然ではない。


 


ただどんな文字が刻まれてるのかは物凄く気になったので


パンチラを直視するが如く光学ズームで解析してみた。


 


解析が終了し・・・。


 


目を疑った・・・。


 


 


俺の光学ズームがピンボケしたのか!?


信じられない文字が刻まれていた。


 


「六文銭」・・・・・。


 


そう!真田一族の旗印であるあの六文銭である!


 


三途の川の渡し賃の意味合いをもつこの文字をこの女が知っての上で


彫ったのか!?


 


自らの意志なのか誰かの入れ知恵なのかはわからないが・・・。


 


さっきまで高らかに響いていたバカ笑いが俄かに品のある笑いに聞こえた。


 


「日本もまだ捨てたもんではない」


 


日本人の俺が外人丸出しの日本人に感心しながら


コンビニを後にしたは言うまでもない。


 


蝉の鳴き声なぞ掻き消されてしまうほどの


夏の出来事であった。


 


 


 


 


 


 

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