―北から北へ―発射されたのは歓喜の一発(5月19日巨人対ヤクルト観戦記&動画)

   ―午前8時45分―


携帯からメールの着信を告げる音が鳴りました。
―誰だろ?こんな朝っぱらから。。。


携帯をチェックするとお馴染みのあの文字が。




”舎人さん”




―舎人・・・親方か。。。




(おはようございます。私は今、仕事場の関東の外れにいます。今日は球場に行かれますか?天気が思っていたよりも良さそうですね。)




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この文章、普通の人が見たら一見優しい丁寧な文章に見えます。

しかし、この文章を我々レポ屋業界のフィルターにかけて訳すとこういう風に変わるのです。






 ”おはよーさん。思ったより大分予報より天気がいいけーの。お前グズグズしてんと、さっさと準備してはよ府中いけや。わいは遠くで仕事があっていけんのじゃ。お前が代わりにしっかり見てこいや。ほんじゃ、頼むわ”

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―チッ、しっかり天気チェックしてやがった。。。今日は天気予報が悪かったからそれを言い訳に1日ゆっくりしようと思ってたのに、、、まったく人遣いの荒い親方だぜ。。。仕方ない、行くか。。。

渋々準備して急いで府中へ向かいました。




 ―午後12時10分―
  府中市民球場最寄りの北府中駅に到着しました。

初めて降りたった北府中の駅にはこんなのがありました。






 






  専用口があるとはさすがに大企業は凄いねぇ、、、感心しながら足早に球場へ急ぎます。
府中市民球場は北府中の駅から徒歩5分、あっという間に到着しました。
    

   クラブジーポ会員専用の受付で会員カードを提示し、無料チケットを受け取りました。
しかしチケットを見ると”スタンド席”と書いてあります。



―う~ん、、、たしか今日はバックネット裏席もあったよな。。。  少し歩いて周りを探すとやっぱりありました。   (内野スタンド席500円、バックネット裏席1000円)   ―倍の値段か、、、、、正直お金は惜しい、、、、、、、、でも仕事に対して厳しい舎人親方ならきっとバックネット裏席を迷わず買い直すだろう。よし、ここはチケットを買い直してレポ屋の心意気をみせようじゃないか!  「バックネット裏1枚」  チケ売りのおじちゃんにそう告げて現金と引換にバックネット裏席のチケットを受け取りました。   ―見ててくれましたか、親方・・・   少し誇らしげな気分で胸を張りながら球場内に入りました。ゲートをくぐり球場内にはいるとまず目についたのがスタンドの上部についている銀傘です。     

    これなら雨でカメラが濡れる心配をしなくてすむし、意外と強いこの時期の紫外線から肌を守る事も出来る。感動です。なんと素晴らしい球場でしょうか。まるで我々レポ屋のために建てられたような球場のようです。   スタンドをふと見渡します。もうかなりのお客さんが入っています。ざっと見た所2000人は軽く超えていそうです。    

    ヤクルトファンもまずまずの人数いるように見えます。しかしながら戸田球場にいるような我々を殺伐とした気分にさせるフーリガン寸前のような狂ったファンはいません。なにかのんびりした雰囲気が球場内を支配しています。 ―今日は楽しく観戦出来そうだな。 なんだか凄くホッとして楽しい気分になりました。バックネット裏席の最上段から2段目を確保し、レポ屋の準備にとりかかります。準備をしながらふと巨人側のベンチを見ると小関コーチが熱心にルーキーの大累に盗塁のアドバイスをしていました。  

   

    

  大累はここまで盗塁1の盗塁死3。プロ入り後はまだ自慢の俊足を発揮できずにいます。代走のスペシャリスト、鈴木尚広でさえプロ入り後はロクに走れなかったくらいですから、プロ相手に盗塁する技術を掴むのは時間がかかるもんなんです。 ―早く大累が小関コーチの期待に応えてバシバシ盗塁決めるのを見れるようになるといいねぇ。 そんな事を考えているうちにまもなくスタメンが発表されました。  

    1番橋本、2番大累、3番脇谷、4番加冶前、5番・・・・・・・・・・・・  ―あれ?中井がいない。 そう、巨人二軍の主軸である中井大介がいないのです。 ―これは怪我したか、1軍昇格だな。舎人親方に報告しよう。  (親方中井がいません。これは怪我か1軍昇格かですね。)  すぐ親方から返信がありました。  ”ああ、そうけーの。中井なら昨日試合中に客席元気の歩いとったけーワイがしっかりやるようにカツいれといたわ。怪我という事はないじゃろう”  ―なるほど、じゃあ1軍昇格濃厚か。降格してすぐにホームラン連発してアピールしてたもんなぁ。チーム事情で今年まったく守ってないに等しいセカンドをやらされそうなのが心配だけど。。。 試合前の吉報に胸が踊りました。試合開始10分前、グラウンドではジャビットが学生スタッフを連れ出してパフォーマンスをはじめました。     

見事な倒立を決めるジャビット。     

もっと見事な倒立を決める野球部員。        

ジャビットキレる。       

違う部員を連れてきて対決。       

見事なジャンプ開脚を見せるジャビット。       

もっと見事な前方宙返りを決めた部員。       

またキレるジャビット。   場内大笑い。ジャビットのパフォーマンスも今日の雰囲気と反応のいい客席に後押しされてか僕が今まで見た中で最高のモノでした。 いよいよ試合開始の時刻です。マウンドでは先発の小山が投球練習をしています。調子はまずまずと言った所でしょうか。 「プレイボール!」主審の声が高らかに響き渡ります。 1回表の先発小山、山田にヒットを許したものの後続を抑え無失点。1回裏ヤクルト先発フェルナンデスがマウンドに上がり投球練習を始めましたが、どうにもコントロールが定まりません。これは初回からチャンスがありそうです。 巨人の先頭打者橋本到が打席に入ります。フェルナンデスは投球練習どおりの投球でコントロールに苦しみ、カウントを3ボール1ストライクとします。そして5球目、橋本のクールなスイングから放たれた打球は快音を残しスタンド一直線。 ―いったか!? 橋本を見たら余裕しゃくしゃくで走っている。手応え抜群だったのだろう。まもなく打球はスタンドイン! ―やったぜイタル! いきなりの先頭打者ホームラン!クールにダイヤモンドを一周する橋本。 ―カッコいい!ホントに都会的な選手だよなぁ。惚れ惚れする。 実は橋本、1軍で打てなかったイメージがあるせいか”不調”みたいなイメージを持たれていますが、調子はいいんです。規定打席には到達していませんが、打率4割超えててOPSも0.9越えているんです。 ―早い所、橋本にもチャンスが来るといいなぁ。。。そう願わずにはいられません。 巨人のチャンスはまだまだ続きます。 コントロールの定まらないフェルナンデスから四球3つで満塁と横川のタイムリー内野安打で2点目、そして打席にはルーキー坂口。5月上旬の絶好調からは少し調子は落ちたものの、いまや少し風格すら感じられる男です。インコース責めをされつつ、カウントはフルカウント。1球前の外角のストレートよりボール2つ分甘くなった球を坂口が叩く。鋭い打球がショートのグラブを弾きレフト前へ転がる。2点タイムリー。 ―さすが坂口!ホント打球が速いねぇ。なかなかお呼びがかからないけど、彼はお調子者だから1軍に抜擢されたら案外すぐ活躍するかもしれない。それにしても初回からいきなりの4得点とは景気がいいねぇ。もう最高。きてよかった。この時ばかりは舎人親方に感謝しました。 先発小山、2回、3回もランナーを背負いながらも粘りの投球で無失点。3回裏、巨人でNO.1のバットコントロールの持ち主、隠善智也がタイムリーで追加点。  ―今日は楽勝だな、あとは丸毛か坂口の一発がみたいね。 しかしそんな楽勝ムードも4回に小山が突如連打をくらい4失点して一気に吹き飛びました。球自体は悪くなかったとは思いますが、どうも球が揃いすぎる嫌いがありました。

その後は序盤が嘘のような展開で両軍無得点が続きます。

”サービスカット”

  そして終盤8回、マウンドにはルーキー公文克彦が登場。初めて見るファンも多いのでしょう、投球練習中の公文の速球を見て「速いな」という声があちらこちらから聞こえてきます。公文は舎人親方を差し置いて処女(レポ屋用語で誰よりも先に撮影してレポする事)を奪った選手なので思い入れがあるのです。だから公文が褒められると茶柱も誇らしげな気分になります。  ―今日は公文と相性が悪い舎人親方もいない事だし、良い投球が見たいな。 期待で胸が踊ります。 その公文、最初の打者を期待どおり速球で空振り三振に討ち取り、次打者も三振、、、、、とおもいきや捕手が後逸し振り逃げ、1塁手の横川が市川の送球を捕球出来ずに出塁を許してしまいます。今日も”茶柱が見ると横川がエラーをする”負の連鎖は続いているようです。 ―この光景何回見たかわからないくらい見てるよね、、、大体公文この後やられるんだよな。。。 毎度毎度の光景に嫌な予感しかしません。が、しかし今日の公文は違ったのです。 ランナーを目と間合いで何度も牽制する公文。。。    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・       少しランナーが飛び出した! すかさず送球!     「アウトォォォォォ!」    ―ナイスだ公文!    先輩のミスを帳消しにする見事な牽制です。場内拍手大喝采。   ―公文が牽制でランナー刺す所なんて初めてみたよ。。。  どうやらルーキー公文、”投げる”以外の部分も少しづつ成長しているようです。 その後試合の方は最後は香月がなんとか抑えてそのまま5対4で逃げ切り勝ちとなりました。   

    ―今日は橋本のホームランと公文の牽制が見れただけで来たかいがあったよ。それにしてもあんなに晴れてたのにいつの間にかこんなに空が曇ってたのか。 

  

  いまにも泣き出しそうな空模様です。 ―雨が降らないうちに急ごう。  駅へと足早に向かいました。    ――帰りの電車内――    携帯でモバイルジャイアンツをチェックした所、やはり予想通りの文字が。   ”2番セカンド中井”   ―セカンドか、、、今年一度もないから心配だけどチャンスだから頑張って欲しいな。。。    中井の幸運を曇り空に祈りながら家路へ急ぐのでした。   ―追伸―今日、中井が代打でスリーランをかっ飛ばした。泣きそうになった。二軍で一番苦しんだ姿を見た選手だから、中井が打ってくれるのが一番嬉しい。これがきっかけになってくれたらいいな。頑張れ中井大介!君こそ我々にとって巨人の星なのだから。 中井大介代打スリーラン!   橋本到先頭打者ホームラン! 公文克彦1回無失点2奪三振&プロ入り初めて牽制で走者を刺す! 坂口真規2点タイムリーヒット含むマルチヒット! 横川史学3安打猛打賞! 丸毛謙一マルチヒット! 隠善智也タイムリーヒット! 市川友也ツーベース!

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