追悼〜Ｉ氏を偲んで〜

Ｉ氏は、銀座の BAR で飲む飲み手のお手本のような人だった。決して乱れず品良く静かに飲んでいた。周りの客への気遣いも行き届き、面倒見が良く、いろいろな人を飲みに連れて歩いていた。私はそんなＩ氏にダンディズムさえ感じていた。



私はＩ氏と今はもうない Bar Style で知り合った。



当時、Ｉ氏はよく Style に顔を出していて、私もちょくちょく飲みに行っていた。Ｉ氏はその昔、小学校の教員をしていたこともあり、それが縁となったのか、私も自然と話すようになった。そして、一緒に草野球をやったり、日韓同時開催のＷ杯に熱狂したり、ディスコに行ったりもした。



私が、Style へ行こうと、これもまた今はなき数寄屋橋の旭屋書店の前で信号待ちをしといると、一台のタクシーが止まり、中から颯爽とＩ氏が降りて来る。彼も私に気がつき、「ちょっと、煙草を買って来ます。またあとで・・・・」と言って別れる。その後、Style にやって来てグラスを傾けていた。



そのＩ氏が、昨年の暮れ、８年におよぶ闘病生活の末、亡くなられた。お通夜には参列させていただいたのだが、先日、所縁のある方々とあらためて谷中にあるお墓にお参りさせていただいた。

Ｉ氏がよく飲んでいたジンソーダを墓前に供え献杯した。



その後、Bar Anchor ＆ Rudder に場所を移しＩ氏を偲んだ。実は、ここを仕切っているＨ氏は、当時、これまたＩ氏がよく行かれていたらんぷという BAR を任されていた。そんな繋がりで私もＨ氏を知るようになったのである。Ｉ氏はいろいろな人を繋げてくれたりもしたのである。

写真は、Ｉ氏がこれまた好んで飲んでいたズブミルク〜ズブロッカをミルクで割ったもの〜である。グラスはＩ氏がらんぷで使っていた所有のバカラだそうである。



闘病生活から解放されたＩ氏も、また天国で、いや、Ｈ氏のいる Anchor ＆ Rudder で、毎晩グラスを傾けていてくれるものと思う。



Ｉさん、ゆっくりお飲みください。



献杯・・・・