ITベンチャー流野球戦略〜楽天を事例に〜


今シーズン4位に入った楽天。
なんといってもこの強さはITベンチャーらしい企業の経営戦略と非常に良く似ているというのが
自分の感想でもある。

ではITベンチャーらしい企業の経営戦略とは何か。
楽天の社員証にはこうかかれているという。
・常に改善、常に前進
・Professionalism の徹底
・仮説をし、実行をし、検証をすること
・顧客満足の最大化
・スピード

このコンセプトを実践したことが楽天の本体事業を成功させた秘訣だとも言われている。
特に仮説をし、実行をし、検証をすることというのは非常に良く出来ているのではないでしょうか。
楽天の発足1年目の戦力・東北という地域・日本のプロ野球に無いものなど、
自分たちの弱点を冷静に分析し、仮説を立て、実行・検証とひとつのフロー(流れ)を実行していることが強みだと思います。

・仮説をし、実行をし、検証をすること
新規参入から3年が経過し、ここが出来ていない球団と楽天の差がはっきりしてきましたね。
キャンプからシーズン終了後の契約更改まで、このフローがしっかりしている球団が楽天であり、
今まで適当にやってきた球団では契約に不満が出たり、良い素材をつぶしてしまったりと生産性の悪すぎることを繰り返しています。
それにまったく気がついていないまま。

正直1年目の戦力を見れば他球団との差は歴然でした。
ですが、そこから這い上がったのにはきちんとした理由がありますよ。
まずはドラフト。一覧は以下のサイトをご覧ください。
http://pospelove.com/draft-goldeneagles.htm
そして補強選手(1年目の無償トレード選手は除く)
鉄平・佐藤宏・富岡

このチームの補強ポイントは大きく分類して「先発投手・センターラインの野手・捕手・大砲」
先発は各人の故障が大きく左右しましたが、既存戦力の岩隈を除けば
田中将・一場・有銘・朝井の4人が成長をしたことが大きいです。

野手面ではセンターでは鉄平。ショートは昨年の西村、今年の渡辺直人の補強が良かったですね。
昔から野村監督はセンターラインの重要性を唱えていた人でしたし、渡辺は守備が荒いものの、
パリーグ防御率No.1の成瀬から4割近い打率をマークしていることが大きいです。
(事実成瀬はこの結果からか楽天戦の防御率は4点台)

そして守りの要であるキャッチャーは嶋の存在も挙げられます。
2年目、肩が弱いカツノリは野村野球を監督以外でよく知る人です。
自分も昨年の楽天戦、何度か見させていただきましたが
藤井のリードよりカツノリのリードのほうがはるかに安定して見られました。
むしろソフトバンクの首脳陣は途中でカツノリから藤井に変えた瞬間に
「リードが上手いけど肩が弱いカツノリからリードが読める藤井に変わって戦いやすくなった」
といわれてしまうほど藤井が信じられないくらいリードがダメ杉というのがありますが。

大砲に関してもはフェルナンデスを獲得した昨年に加え内角に来るシュートの打ち方を教わった山崎武と既存の戦力の底上げにも成功しています。
とにかくこういった補強ポイントに対してスカウトが頑張ってくれている証拠だと思いますし、
山崎武の再生にも成功した野村監督のデータと原因・分析をしっかりするという
現場にこういうトップの存在が理想的であり、非常に大きかったと思います。

















































査定に関しても、選手のその後に関しても一部では「シビア」だと言われてはおりますが
ここに関していわゆる「見える」形にしたことがこのような形になるのかもしれません。
特に一年目の田尾監督をあっさり解雇するなど「現有戦力でよくやった。IT企業だから非情だ」なんてマスゴミは叩いておりましたが

来年の考え方や補強の仕方などの考え方に対して明確に出来なかったことや戦略に対して食い違いがあった結果、このままではだめだと判断した結果なのだと私は勝手に分析しています。

<ドラフト>楽天 島田社長「結婚は実力。くじは運」
まぁ今年のドラフトでもまた良い結果になったことで、投手力がさらに強くなり、
来年当たりクライマックスシリーズに登場するのもあながち夢ではないかもしれません。















・顧客満足の最大化〜ファンサービスのあり方〜
騒動という最大の宣伝効果だったことを差し引いても稼働率が70%近い楽天のビジネスモデルは非常に特徴的であると思います。
財政再建団体目前の地元宮城で修理にかけるお金が捻出できず、放置プレーのまま朽ち果てる寸前の宮城球場に指定管理者として入り、すばらしいスタジアムに変えました。

実は知り合いに執行役員の方がいるのでお話を聞けば
「まぁうちの会社らしいことをしているだけですよ。」
とおっしゃられておりました。
・常に改善、常に前進
・Professionalism の徹底
・仮説をし、実行をし、検証をすること
・顧客満足の最大化
・スピード
の5点を常に考えているから成功をしているんでしょう。








HP見てくださいよ。これが数年前までは普通の公園だったなんて考えられますか?
キャンプあり、スタジアムツアーあり、イベントあり、あきさせないコンテンツありと盛りだくさん。
実際問題、宮城球場のキャパシティとしては12球団1小さいのですが、
動員率は高い数字を誇っています。
参考URL:http://geocities.yahoo.co.jp/gl/renee_2000/comment/20071009/1191943408





しかも多くのプロ野球チームにありがちな新聞社などによる無料券はほとんど撒かれません。

過去何度か宮城をシーズン中に訪問しましたが、金券ショップの方に聞いてみても
「見たことありませんねぇ・・・」などと言われる程なので、
無いかもしくは相当限られているかなんだと思います。


無料券をいっぱい撒いているチームの皆さん、これ聞いてどう思いますか?
言い訳していませんか?


恐らく「客単価を増やすにはどうすれば良いか」という課題に対して
「既存の球団が配布している無料券をなくしてもお客様はきてくれる」という仮説を立てて
実証をし、検証をした結果なのでしょう。

ただ既存球団の無料券という存在は「宣伝」という側面もありましたから
合併騒動で誕生した球団が仙台に来たという一種の社会的ムーブメントがあったからこそ成立したかもしれませんが。








ただまぁまだまだ問題が無いわけではありません。
・フルキャストの問題
必要の無いところには徹底したコスト削減としてアウトソーシングをしたわけなのですが、フルキャストの問題以降、来年のスタジアムスタッフはどうなるのか心配です。
大元は利ざやを多くむしりとってたりしたとして処分を受けるのは構わないのですが、いわゆる一番立場の低いアルバイトや派遣のスタッフといった悪くない人が斬られるということだけは避けて欲しいです。

あとはこのビジネスモデルが果たしてほかの球団で通用するのか。
保守的な組織だけにこのビジネスモデルを成功させて日本のプロスポーツ界全体がレベル上がることこそ、今あるべき形なのではないでしょうかね。















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