今年最後の試合(長文です)

  • よし
    2009年12月28日 12:11 visibility70

 日曜日の夕方に、所属するテニススクール主催のシングルス大会に参戦してきた。月例のオープン大会ではなく、隔月でおこなわれる「上級クラス以下もしくは50歳以上」という参加条件で行なわれる大会である。このテニススクールには上級クラスの上に超上級クラス、最上級クラスというランクがあるのだけれど、「50歳未満でそういう鬼のようなランクに位置づけられる人は出てはいけませんよ」という大会だ。



 今回の参加者の顔ぶれを見ると、優勝候補は超上級クラスに所属するが50歳以上という条件で参加してきている忍者I田さん(テニスウェアを嫌い、肉体のラインがそのまま出るピッチピチの黒ずくめのファッションを好み、さらには黒い手袋までしているので、忍者と呼ばれている)であろう。
 そして、その対抗馬が、強烈に曲がってくるサウスポーサーブと、そのサーブから瞬時にネットに詰めてくるプレイを武器とするW辺さんであろう。



 僕の初戦の相手は忍者I田さんだ。
 前回の大会ではどういうわけか僕が一方的に押して6−2で勝っているのだけれど、それ以前に勝ったことは一度もない。というか、試合らしい試合になったことすらなかった。僕にとっては、大きな大きな壁なのである。
 そして、今回も一方的に押されて2−6で負けてしまう。
 途中、サーブがやたらと調子よくなって、サーブだけでゲームをキープした瞬間もあったのだけれど、それ以外はぜんぜんいいとこなし。
 短いボールを叩き込もうとするたびにネットにかけてしまうというミスがやたらと多かった。
 調子が悪い。
 日中に大掃除で張り切りすぎてしまったのがよくなかったのだろうか。
 実は、車を洗った時に、フロントグラスの水垢取りで右手をやたらと酷使してしまっていたのだ。
 今後のための大いなる教訓としよう。
「試合のある日にフロントグラスの水垢取りをしてはやめよう!」
 いえ、ただ単に負けた言い訳をとりつくろっているだけなんですけど。



 連チャンでY中さんと試合。
 Y中さんは最近になって積極的に試合に参加するようになった人で、シングルスは今日が初めて。しかし、やたらと反射神経がいい。W辺さんを相手にした初戦を1−6で落としてはいるものの、何度もデュースまでもつれこんでおり、油断はできないのだ。
 が、やはりシングルスに関してはこちらに一日の長があり、6−2で勝ち。



 このあと、休みが2試合分はさまる。
 Y中さん対忍者I田さんは当然のようにI田さんの勝ち。
 W辺さん対忍者I田さんは、I田さんが勝つものと予想していたのだけれど、W辺さんのサービスが絶好調となり、6−3でW辺さんの勝ち。
 サービスの調子がいい時のW辺さんは、どうにも対処のしようがないのだ。



 で、そのサービス絶好調のW辺さんと対戦することになる。
 最初のサービスゲームをあっさり落として、W辺さんのサービス。
 これが実に凄かった。
 サウスポーからの曲がってくるサービスは、よこちゃんを相手にさんざん練習をして慣れているのに、それでも対応に苦慮させられてしまう。よこちゃんのサービスのスピードと曲がる角度をともに5割増しにしたようなサービスなのだ。
 曲がることを想定した場所に立っているというのに、それでも胸元にはねあがってきて、どうしてもジャストミートすることができない。かろうじてラケットを合わせてヘロヘロと返球しても、ネットに詰めていたW辺さんにあっさりとボレーを決められてしまう。
 あっという間に0−2。
 次のサービスをキープして1−2。
 そしてまたしてもグインと曲がってくるサウスポーサーブ。だけど、こちらの当たり損ないのリターンが、たまたまコーナーに入るロブになったり、前に詰めてきたW辺さんのストレートを抜くコースに入ったりして、ラッキーの積み重ねだけでブレークして2−2。
 そしてこのあと、似たような展開が繰り返されることとなる。
 クロスにリターンを返そうとして当たり損ないがストレートを抜いたり、ストレートを抜こうとしたリターンがなぜかクロスのロブになってポイントを稼いだり、ぜんぜん狙いと違うところに返っていったボールが点をとってしまうのである。
 完全にW辺さんのサービスが押しているというのに、点が入るのはどちらかというとこちらなのである。
 なんなの、この展開?
 W辺さんのサービスを一度たりともまともに打ち返していないというのに、ポイントだけを見ると、見事なまでの接戦なのだ。
 そして、4−4からサービスキープで5−4とリードして、続くゲームもラッキーの積み重ねだけでゲットして6−4で勝ち。
 ついに、最後の最後まで、あの曲がってくるサービスにラケットをまともにあわすことができなかった。なのに、試合はこっちの勝ち。
 なんで勝てたのだろう?



「おれ、よしさんが苦手なんですよ」
 試合が終わったあとで、なすすべなしと言わんばかりに、W辺さんが言う。
 うん、気持ちはよく分かるぞ。
 僕だって、こんな負け方をしたら、泣きたくなるもんな(笑)



 かくして、予選は終了。結果はというと、忍者I田さんが2勝1敗、サウスポーW辺さんが2勝1敗、僕が2勝1敗、シングルス初挑戦のY中さんが3敗。うわっ、3人並んじゃったよ。
 得失点差により、1位通過がサウスポーW辺さん、2位通過が忍者I田さんとなり、この2人が決勝トーナメントに進出することとなり、僕とY中さんはコンソレトーナメントへ進出となった。
 ちなみに隣のブロックはというと、よこちゃんが2勝1敗、K藤さんが2勝1敗、中学2年のS澤くんが2勝1敗、Y中さんの相棒でやはりシングルス初挑戦のS野さんが3敗とまったく同じ展開で、得失点差によりよこちゃんとK藤さんが決勝トーナメントへと駒を進めていた。なんだ、またよこちゃんとは試合ができないのか。



 コンソレ1回戦の相手はシングルス初挑戦のS野さん。僕とほぼ同時期にテニスを始めているのだけれど、その時の年齢が52才で、現在が57才。僕より6才歳上だ。それにしては元気だし、けっこういいボールを打ってくる。
 が、シングルスの試合に慣れていないので、ここはひとつ余裕で楽な試合をさせてもらうことにする。3試合を終えたところで、多少、足がしんどくなってきていたのだ。
 サービスはすべてセンター狙いのフラットサービス。力を抜いて、確実に入れていく。
 スピードの乗ったリターンが返ってくるが、実は僕はそういうボールでの打ち合いが大好きなのだ。スピードのない山なりのボールなんかだと、けっこう攻撃に出てミスったりするのだけれど、ガンガン打ち合うようなやりとりには自信がある。
 ただし、これもパワーを抑えて、確実に返していく。
 そして、やたらとネットに詰めたりせずに、後ろから打ち合う。
 次の決勝戦のために体力を温存しなければ。
 そして、無理をしないままに6−0でストレート勝ち。
 S野さんにしてもY中さんにしても、もう少しシングルスに慣れてきたらこんな楽な試合はさせてもらえないだろうけれど、現段階ではまだまだ負けませんです。



 続いて行なわれたのは、Y中さん対中学生S澤くんの試合。
 Y中さんも善戦したのだけれど、中学生の元気なパワーに一方的に押されて2−6で負け。
 驚いたのはS澤くんの足の速さ。ネット前にポトンと落とされた見事なタイミングのドロップショットに、後ろから走っていって追いついてしまうのである。
 なんとS澤くん、陸上部なのであった。
 このS澤くんとコンソレ決勝戦を戦うことになったわけだが、とりあえず走らせるという選択肢は捨てる。左右に振ったところであっさり追いつかれることは目に見えているし、逆に左右を狙うことでアウトする危険が増えるだけですから。
 テーマは真っ正面からパワー勝負。これで行こう。
 中学生を相手に真っ正面からパワー勝負で勝てるのか?という疑問がないでもないのだけれど、なまじ小手先のテクニックに頼って自滅する危険だけはおかしたくない。
 が、パワー勝負を始める前に、若者の体力に対抗するには大人の財力とばかりにS澤くんに提案をしてみる。
「何か欲しいものがあったらおじさんが買ってあげようか。もうすぐ正月だから、お年玉をあげてもいいんだよ」
「こええよお。大人はこええよお」
 ちっ、逃げられたか。



 コンソレ決勝戦がスタート。
 まずは僕のサービスゲームから。
 とりあえず、しょっぱなのサービスは渾身のフラットサービスを打ち込んでみる。
 これが実にきれいに決まり、打ち返そうとしたS澤くんのラケットを宙にはじきとばす。
 腕からもぎとられたラケットがグルグルと回転しながら空中を飛んでいったのには、さすがに自分でも驚いた。
「うわーっ、こええよお!」
 びびるS澤くん。
「ふっふっふ、どうだあ中学生!」
 たまたまきれいなフラットサービスが決まっただけなのに、ここぞとばかりに威張ってみせる大人げないおいら(笑)
「うわーっ、手首が痛えよお!」
「おっ、そりゃいかん。手首が折れているかもしれない。そこはおとなしくリタイアしなさい」
 ボロが出ないうちに試合を終わらせようと画策するが、そこでうんとうなづくわけがない。
 で、その次にダブルフォールトですよ。速攻でボロが出てます。
 さらには、左右に走らされたりして、あっという間にヘロヘロにされてしまう。や、やるなあ、中学生。
 しかし、真っ正面から力で押すテニスが正解だったようで、それに力で対抗しようとするS澤くんのミスを誘発して、ほぼ優勢に試合を進めて6−2で勝ちをおさめる。
 試合が終わるなりS澤くんはコートにひっくり返って、起き上がってこない。
「わっはっは、どうだあ中学生、大人の恐ろしさ、思い知ったかあ!」
 高らかに笑って追い打ちをかける。大人げないぞ。あまりにも大人げないぞ(笑)



 というわけで、4勝1敗というまずまずの成績で1年最後の大会を終わらせることができたのでした。めでたし、めでたし。
 ちなみに、優勝したのはサウスポーサーブのW辺さん。ううっ、そのW辺さんには勝っているのに(涙)

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