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現実をのせて、夢みたいなことが起こるから、サッカーは美しい。
そう感じた試合だった。

最終節、選手コール。
相手チームの紹介が終わり、電光掲示板に岐阜選手の名前があがったのを、振り向いて確認しようとしたら、
周囲が明るくなった。太陽の照り返しで文字が反射し、読めなくなった。

ピッチ上に目をやると、重暗かった雲の切れ間から、さぁっと光が射し込むのが見えた。
天使の梯子っていうんだよね。
何かの啓示みたいなんて言ったら、出来すぎだけど
その美しさが眩しかった。

自分の応援しているクラブには、美しくあってほしい。
サッカーって、夢見るものじゃないか。
憧れて、夢を託して、泣き笑い。
サッカーって、マッチョに応援する格好良さもあるけれど
オンナコドモも夢見たっていいじゃない。
愛するクラブに、夢をのせて、コブシを握りしめて、胸を高鳴らせるのは、誰もがそう。
誰にも、平等に、光は降る。
だけど哀しいかな、現実は甘くなくて、
霞を食べても腹はいっぱいにならない。お金は大事だという現実。

クラブの経営難から、多くの選手を手放すことになった、FC岐阜。
誰一人、かけがえのない選手たち。
岐阜の歴史をつみあげてきてくれた、4年間。
あなたがいなかったらJFLには上がれなかった、3年間。
救世主みたいに登場してくれた、2年間。
Jリーグの酸いも甘いも教えてくれた、この1年。
ありがとう、しか言えないなんて。
でもありがとう、だけは言いたくて、叫ぶ。

そして迎えた前半43分。
片桐選手のヘディングが、向こう岸のゴールに押し込まれるのが見え、歓喜の渦。
そのわたしたちの上に、キラキラと雪が舞い降りた。
晴れた空から飛来した雪、風花が白く舞った。
出来すぎるくらい美しくて、涙が出た

サッカーは、ロマンチックだ。
サッカーが好きでもなければ、こんなにもしょっちゅう、ドギマギ興奮することがあるだろうか。
後半交替した小島選手の、「ボールコントロールってのは、こう!」って見せつけるかのような
巧妙な足さばきに、胸がしめつけられる。
何の先入観がなくても、素晴らしいプレーには、魅せられるけれど
これだけ思い入れのある試合には、どうしても普段以上に感傷的にならざるを得ない。

この試合を、「先輩たちの置き土産」にはしないで。
東海リーグを駆け上がり、JFLからヒーコラ昇って迎えたJリーグ。
「夢みたいな数年間だった」と思い出にはしたくない。
クラブの歴史における、強烈な一コマには違いない。
逆に言うと、一コマにしか過ぎなくなっていくのかもしれない。
だけど、わたしは「見続ける」。
誇り、愛する選手たちの、これからの活躍を祈り、夢見続ける。
どうか、素晴らしいサッカー人生がこの先待っていますようにと願い、応援し続ける。
願わくは、いつかFC岐阜でまたプレーしてほしい。
戻ってきてほしい。
だからこそ、夢の土台であるべきクラブのあるべき成長を見続けたい。
選手たちが「岐阜でプレーしたい」と思ってくれるようなクラブになってほしいから。
「岐阜に帰ってきて!」とサポーターが胸をはって言えるようなクラブになってほしいから。
だから、「地元にあるこのJのクラブ」をつぶすわけにはいかない。
「次」がある喜びを胸に、これからも支え続けるから。

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