楽日記●オジサン、ありがとう

「ココ、空いてますか？」

「あー　ハイ　どうぞどうぞ」




先日、フレッシュオールスターを観戦しに行って来た。


個人的には、トラッキーやスラィリー、ドアラなど西へ遠征しないとお目にかかれない

球団マスコットがウロウロ歩く、とのことだったのでそちらもとても楽しかった。

マーくんも初めて生で見たが、変わったサインの仕方をする。何故かは秘密。


20日は学校の終業式だったために、子供の数が




も　　　の　　　す　　　ご　　　い。




食ったり、飲んだり、走ったり、立ったり、騒いだり、こぼしたり、叱られたり。



試合・・・　　観　　て　　な　　い　　・・・だろ(笑)。楽しいもんね、よかよか。



亭主が後追いで来たのと、ほぼ同時くらいに

オジサンが話しかけて来て、隣に座ったのだった。




もっすごい、しゃべるオジサンであった。持ち込み禁止のペットボトルのお茶を飲む。



「お父さん、ドコのファンなんですか？」

「巨人なんだけどさぁー　もうダメだよ〜　阪神強くって　もうダメだ〜」

「阪神ったって、巨人に負け越したじゃないっすか　やっぱ中日ですよ、中日」

「そうかぁ、そうだよねぇ　ホントに強いもんなぁ」

「あの今打席に立ってる、中日の新井っているでしょ？　広島の新井の弟ですよ」

「ええっ？　そうなの？　よく知ってるねぇー　中日入っちゃったのかぁ」



オジサン　ワタシ　亭主

↑の順番で並んで座っていたので、必然的にワタシとの会話が多くなっていたが。



「旦那さんも奥さんもドコのファンなの？」

「あー・・・阪神なんですよ　スミマセン」

「いいなぁ、阪神さんは　ああ！だからこの縦ジマのぬいぐるみ持って来たんだ」

「いや、コレ　前の日ハムのマスコットなんですよ」

「日ハムぅ？　じゃあ三塁側にいちゃダメじゃない　ハハハ　変わった顔だねぇ」

「お父さんの奥さんも、巨人ファンなの？」

「いやいや〜野球観ないね　もうヒドイよ『落ち目の巨人ね〜！』なんて言うしさ」

「あらま　一緒に来れるといいのにねぇ」

「でもさぁ　息子がさ　イイ席取ってくれるんだよー」

「アラ〜　いい息子さんじゃない　今年観に来たんでしょ？」

「うん　来たんだけどさ・・・阪神に負けちゃって・・・」

「・・・・・・」



ずーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっと、しゃべる。



公式戦の、しかも阪神×巨人の白熱した試合でこの展開になったら

どうしたもんか、非常に悩むところだが『球宴』なので逆にコレが楽しい。



巨人ファン50年のオジサンからは、たくさんの思い出があふれていた。

チケット代がまだとても安く、試合を余裕で観に来られた頃

同じく球場内を走り回って育ち、プロ野球を大好きになっていった、と教えたくれた。



あの金田正一が、僕がペンを借りて来るまで待ってくれてて、サインしてくれたんだ！



そう言ったオジサンの顔は、ファールボールを追いかける子供と同じようだった。




「いやぁー、楽しかった　どうもありがとうね　じゃあね」

またね、オジサン！　私たちもとっても楽しかったです！　どうもありがとう！