ヒーローの姿をもう一度この目に焼き付けよう

  • コーヤ
    2009年10月08日 11:16 visibility86


「あの男の出番はあるのだろうか」
私はそれだけをずっと考えていた。


10/6・千葉ロッテの本拠地最終、対楽天戦は降りしきる雨と底冷えの中、今季限りで退任するボビー・バレンタイン監督に別れを告げるべく続々と観客がつめかけていた。

岩隈、成瀬の両好投手が万全でないものの、攻撃に決め手を欠き2-2でこう着状態のまま終盤へ。
慕ってきたバレンタイン退任とともに自らの現役生活にピリオドを打つ決心をしたその男の出番が、この日必ず用意されているはずである。


リードしたまま9回に登板させ最後の花を持たせるのが最高の舞台だろう。
あるいはリードを許していても登場するはず。
ところがこのまま同点の場合は?
ロッテは後攻だから、サヨナラ勝ちをしてしまうと登板の機会がなくなる。
引退試合でそんなことはなかろうから、やはり9回に出てくるのか…
そんなことをあれこれ考えていた。


私が初めてその男を目撃したのはもう20年以上前になる。
私の入学した高校は1年時に系列大学の野球観戦へ学校行事として出かけていく。
彼はその大学のエースとして君臨し、相手慶應大学の主砲、大森剛とのライバル対決で大いに沸かせていた。

今となっては試合結果も内容もよく覚えていないのだが、伝統の早慶戦の雰囲気に大いに鼓舞された思い出が残っている。
母校の初めてのヒーローとして「小宮山悟」の名が自分の胸に刻まれたのであった。


ずいぶん時が流れた。

私はその後大学に進学し、人より大分長く大学に在籍したような気がするが、それでも卒業したのはもう一昔前のことになる。

大森剛は鳴り物入りで巨人に入団するも、芳しい成績は残せずスカウトに転身。
しかしながら近年の巨人の若手発掘、育成の成功に大いに貢献している。

大学生だった小宮山もすでに44歳。
でもまだ投げている。
プロ入り後のヒーローを私は特別に応援していたわけではないが、折に触れて気になる存在だった。
また、そんな話題をたくさん提供してくれた。
その男がついにユニフォームを脱ぐという。


試合が8回裏に動いた。
楽天抑えの福盛を捕らえた。連続長打で3点の勝ち越し。
大いに沸く球場、私も思わず立ち上がって拍手してしまった。


そして最終回2アウトの場面でついに彼は登場した。

「シコースキーに代わりまして、…、ピッチャー、…、小宮山!!」
明らかに調子の違うアナウンスと大歓声に迎えられ、20年ぶりにあの男が私の目の前に現れた。
彼は今でも間違いなくヒーローだったのだ。


代打セギノールに最後の一球を投じる。
往年の力は望むべくもなかろう。
本当に1球だけ。
初球を叩いた大飛球がライトサブローのグラブに収まりゲームセット。
やまない雨の中、マウンドの中央で喝采に応えるように彼は大きく手をあげる。
なんて絵になる男だろうか。


「いつかこのユニフォームを着てここに戻ってくる…」
そんな言葉を残してヒーローは去っていった。


ありがとう小宮山悟、またいつの日にか。








































































ボビーもお疲れ様。










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