全国高校サッカー選手権大会・東京都予選 決勝
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hope
2006年11月21日 21:45 visibility1732
全国高校サッカー都道府県予選で、東京都からは毎年2校出場できる。(東京都A代表、B代表)
今年は新勢力の成立学園が1回戦で敗退したり、名門の帝京高校が準決勝で惜しくも涙を呑んだ。
そんな中Bブロックでは、唯一の都立勢として名門である帝京を破り決勝に駒を進めたのが、なんと都立の古豪である久留米高校。
来年から学校名が変わってしまうため、今年が学校としては最後の高校サッカーの舞台である。
決勝は18日に行われた。
僕は準決勝に引き続き裏方のアルバイトとして高校サッカーに関わることができた。
その日は試合開始1時間前以上前から当日券を求める人の数と入場待ちの人で、入り口付近が込み合っていた。
2700人程の人々が見守った第一試合のAブロック決勝では、前回の覇者であり、本命とみなされていた修徳高校がPK戦の末、暁星高校に敗れた…。
そして第二試合が始まる頃には観客数が7500人程になったいた。
そしてキックオフ…、両校とも必死の攻防が続く。
久留米の名前が残る最後の年…、だから3年生のみで構成された選手たち。
何度も決勝で涙を呑んだからこそ、今年こそはと意気込む東海大菅生高校。
絶対に負けられないという思いを胸に、厳しい練習を一緒に乗り越えてきた仲間を信じ、スタンドで応援してくれる学校関係者や控え部員の思いを感じながらピッチに立つ権利を勝ち取った、選ばれた選手たち。
様々な人の思いを胸に、試合開始のホイッスルが鳴り響いた。
前後半とも必死の攻防が続いていった。
そして、迎えた後半ロスタイムについに均衡が破られた。
左サイドから崩し、中に折り返す。
そこには選手が走りこんでいて、丁寧にインサイドでゴール右隅に流し込んだ。
後半ロスタイムに先制された東海大菅生イレブンには、反撃する力はもう…残っていなかったのだろう。
試合終了のホイッスルと同時にピッチに倒れこむ菅生の選手たち。
なかには泣き崩れて立てない選手もいた…。
3年間の思いが全て形になってこみ上げてきたのだろう。
勝った久留米の選手たちが一斉に歓喜の声を上げ、抱き合っている姿の横で、立ち上がれない菅生の選手たち。
まるで天国と地獄を見ているかのような光景であった。
全国というたった1枚の切符を惜しくも逃してしまった選手たちは、立ち上がる気力、体力はもう残っていなかったのであろう。
しばらくして、選手たちが立ち上がり応援団席に向かって駆け出した。
そして全員で、「応援ありがとうございました。」と深々と頭を下げ挨拶をしていた。
選手たちが来るまで、誰一人として帰ろうとする応援団はいなかったのを覚えている。
何故だろう、高校サッカーで試合終了のホイッスルが吹かれた瞬間の光景が、いつも目に焼きついて離れないでいる。
あの光景は、何か自分に忘れかけていたものをいつも思い出させてくれるもの。
それは、すごく懐かしいもの…。
高校生が流す涙は、一点の曇りもなく澄み渡った青空のように感じられた。表彰式が終了し、お客さんが全て出たので、僕らの業務も無事終了した。
高校サッカーは同じサッカーでも、Jリーグなどのプロリーグとは全く別の競技のように思える。
それは、プロ野球と高校野球にも同じことが言える。
競技場の外では修徳高校の監督、選手たちによる最後のミーティングが行われていた。
悔いが残らなかったといえば嘘になる、でも精一杯プレーした。
同じ思いの仲間と過ごした3年間に悔いはないのではないか。
高校3年間の集大成である最後の試合、絶対に悔いは残さないと決めた最後の試合。
選手、監督にまた一つ忘れられない思い出が刻まれたのだろう。
そして来年からまた一つ、全国というたった1枚の切符を懸けて、選手たちの涙がピッチへと刻まれてゆく…。
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