2015:全国高校サッカー選手権:決勝:東福岡vs國學院久我山「総合力の高さで夏冬の2冠」その2

3、試合評

3-1:異彩を放つデュエルの強さを持つ東福岡

ベスト4に残ったチームの中で、際立った強さが見られる東福岡。
フィジカルコンタクトで、久我山の選手からノーファールで、奪い取る。
フィジカルコンタクトに強いのに運動量も豊富。
前線からの連動したハイプレス網をくぐって、パスを出した所にしっかり体をぶつけて、自由にさせないこの基本が出来ている。
ボールコントロールやそこからの展開をし難くした所で、囲い込んで奪う。
この守備が準決勝から良く、その結果、主導権を握れていた。
さらにただ取りに行くだけではなく、スペースを埋める動きを怠らない。
全員守備全員攻撃のモダンなサッカーを展開している。
更に90分間高いパフォーマンスを維持する高いインテンシティも備えている。
非常に完成度の高い好チームだった。

3-2:サッカーの難しさを痛感した久我山

得意のパスサッカーを展開する事が出来なかった。
パスを繋ぐ段階での中継地点となる選手がデュエルでボールを奪われることが多く、維持出来なかった事が痛い。
パスを繋ぎたいのにパスコースが遮断され、ゴールに近づくスペースも狭い。
そして、ハイプレスを受けた事で、考える余裕も与えられなかった。
自分達のパスサッカーというのが、影を潜めて、ドリブル突破でのチャンスが多くなってしまった。
隙があれば、そこを突くという攻撃も出来ていたが、東福岡に比べ、その機会数や攻める時間は、明らかに少なかった。
パスサッカーでもフィジカルの強さは必要。
運動量であったり、力強さ。
この部分で、明らかに東福岡に圧倒されていた。

3-3:改めて感じるデュエルの大切さ

近年の流行であった考えて走るサッカーやポゼッションサッカー。
その中で、フィジカル軽視という時期があり、今大会を見ても東福岡の様に局面局面のデュエルの力強さを持つチームは少ない。
勿論、それだけにならずしっかりパスを繋いで攻める事が出来る。
非常に先進的なサッカーが出来ていたチームと言える。
J2アビスパ福岡がJ1に昇格したり、J1の清水エスパルスが降格した通り、チームのインテンシティの重要性と言うのが、改めて示されたこの決勝戦と言える。
球際で、負けない強さが無いと攻守で、主導権を握る事が出来ない。
代表の方向性を含め、東福岡というインテリジェンスも献身性も高い総合力の高いチームというのが、夏冬の2冠というのは、必然と言えるし、良い傾向である。

4、試合後記

MOM

「10中村 健人」

高い技術を発揮して、2得点1アシストの活躍。
FKは、トリックプレーではあったが、1チャンスをしっかり決めた精神力の高さも流石。
2得点目も巧くコースを狙った技術の高いゴールだった。
チーム3点目のアシストも絶妙な精度の素晴らしいロングスルーパスだった。

MIP

「14名倉 巧」

囲い込んで来る東福岡の守備に対して、局面を打開する高い個人技を見せた。
強さも兼ねており、積極的に仕掛ける姿勢も好感が持てた。

満足度

8点(10点満点)

準決勝を流し目に見て、東福岡がかなり強いのが分かっていた。
個人的には、強いチームがしっかり勝つというのに惹かれる。
ここで言う強いチームはスター選手の集まりというよりは、色んな要素を総合的に考えて良いサッカーをしているチーム。
久我山も確かに魅力的なサッカーをしていたが、守備に課題があったので、今回は、東福岡を応援していた。
東福岡の様にメンタルの強さ、テクニックの高さ、フィジカルの強さ。
心技体の揃った隙の無いチーム。
こういった総合力高いチームが増えて入って欲しいので、この結果に満足している。
久々に多くの観客が入った今大会を経て、東福岡のサッカーに感化して総合力の高いチームが増えて欲しい。

高校から世界へ 
To Be Continued

by 杉野 雅昭(masaaki sugino)

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