2017:YBCルヴァンカップ:決勝:中立:セレッソ大阪vs川崎フロンターレ「川崎は最初のミスが最後まで響き力及ばず。C大阪は逃げ切り初優勝」
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杉野雅昭
2017年11月04日 20:43 visibility305
C大阪vs川崎:2-0
得点者:杉本 健勇(8柿谷 曜一朗)、6エリアス・バルボサ・デ・ソウザ(16水沼 宏太)
観客数:53,452人
1、チーム情報&評点
評価基準
良:1~5:悪
審判
主審:西村 雄一:2.5
副審:名木 利幸、五十嵐 泰之:2.5
セレッソ大阪
監督
尹 晶煥(ユン・ジョンファン):2.0
スタメン
8柿谷 曜一朗:2.5、9杉本 健勇:1.5
46清武 弘嗣:2.5、16水沼 宏太:2.5
6エリアス・バルボサ・デ・ソウザ(ソウザ):1.5、10山口 蛍:2.0
14丸橋 祐介:2.0、15木本 恭生:2.0、22マテイ・ヨニッチ:2.0、2松田 陸:2.0
21金 鎭鉉(キム・ジンヒョン):2.0
リザーブ
GK:27丹野 研太
DF:5田中 裕介、23山下 達也
MF:17福満 隆貴、24山村 和也、26秋山 大地
FW:19澤上 竜二
途中交代
8柿谷 曜一朗→24山村 和也:2.5
15木本 恭生→13山下 達也:評価不可
14丸橋 祐介→5田中 裕介:評価不可
川崎
監督
鬼木 達:3.0
スタメン
11小林 悠:3.0
13三好 康児:2.5、14中村 憲剛:2.5、41家長 昭博:2.5
21エドゥアルド・ダ・シルヴァ・ナシメント・ネット(エドゥアルド・ネット):2.5、10大島 僚太:2.5
7車屋 紳太郎:3.5、23カルロス・エドゥアルド・ベンディニ・ジュスティ(エドゥアルド):4.0、5谷口 彰悟:3.0、18エルソン・フェレイラ・デ・ソウザ(エウシーニョ):3.0
1鄭 成龍(チョン・ソンリョン):3.0
リザーブ
GK:30新井 章太
DF:2登里 亨平、28板倉 滉
MF:16長谷川 竜也、19森谷 賢太郎
FW:8阿部 浩之、20知念 慶
途中交代
13三好 康児→16長谷川 竜也:2.5
18エルソン・フェレイラ・デ・ソウザ(エウシーニョ)→20知念 慶:3.0
21エドゥアルド・ダ・シルヴァ・ナシメント・ネット(エドゥアルド・ネット)→8阿部 浩之:3.0
2、得点経過
C大阪:1-0:9杉本 健勇(8柿谷 曜一朗)
C大阪のスローインから8柿谷 曜一朗が頭で後ろへすらします。ここで、もしかすると頭で触った事で、足で触ったのは違った回転がかかったのが、目測を誤った23カルロス・エドゥアルド・ベンディニ・ジュスティ(エドゥアルド)が触れず、その先にいた9杉本 健勇へ通ります。その結果、9杉本 健勇とGKの1鄭 成龍(チョン・ソンリョン)の1対1となり、9杉本 健勇が、この決定機に右隅にきっちりコントロールしたシュート放ち、1鄭 成龍(チョン・ソンリョン)も飛びつきますが届かず、これが決まって、C大阪が先制。
試合開始直後という心と体が温まっていない硬い時間での判断ミスによる失点。この失点で、チームに大きな影響が無いとは嘘になる失点の仕方であったと思います。試合内容を見てもC大阪が、カウンターを狙い守備固めるサッカーを徹底したことで、ボールを持っていても最後まで崩せなかった川崎という構図を考えても痛すぎる失点であったと思います。
C大阪:2-0:6エリアス・バルボサ・デ・ソウザ(16水沼 宏太)
川崎がアディショナルタイムに前掛かりになっていた時にC大阪がクリアの毀れ球を回収し、前線の46清武 弘嗣に預けます。そこから2対3の数的有利のカウンターを仕掛けます。46清武 弘嗣がバイタルエリア付近まで行くと、近くの後方から走ってきた16水沼 宏太へとボールを預けます。16水沼 宏太には川崎の選手が1人マークが付いていましたが、寄せに来た川崎の選手の守備より先に、更にその先のフリーの6エリアス・バルボサ・デ・ソウザ(ソウザ)へと素早く回します。川崎のGK1鄭 成龍(チョン・ソンリョン)が前へ出て対応しますが、6エリアス・バルボサ・デ・ソウザ(ソウザ)は、冷静に我慢して倒れた所を見てからGKをかわすと、コースを狙ってパスを出すようなシュートをゴールへ流し込んで、川崎の選手もゴールを防ごうとしますが、それでも防げず、C大阪が、駄目押しの追加点を決めました。
「このシーンが凄かった。」、「この選手が凄かった。」このゴールはそういったゴールでは無くて、90分間粘り強く守備をしてボール奪い、そこからカウンター。これを徹底して続けてきたC大阪のサッカーの信念を貫き通した事で生まれた得点であったと思います。この時は、何故ゴールに繋がったかと言えば、アディショナルタイムで川崎が前掛かりになったいた事で、今まで守れたいたのに守り切るのに必要な人数という余力を後ろに残せていなかったからです。結果的には、冒頭の失点が最後の最後の効いてきてしまった。もし、これが0-0で推移していたらどうなっていたのかとも感じる90分間の激闘であったと思います。
3、戦評
数値評
評価基準
良:A~5:悪
C大阪
攻撃評価:B
守備評価:A
采配評価:A
総合評価:A
川崎
攻撃評価:D
守備評価:D
采配評価:E
総合評価:D
文章評
寸評
この試合は、優勝した方が、初タイトルという試合で、非常に注目の集まった試合でした。ルヴァンカップに関しては、C大阪はベスト8が最高で、川崎は準優勝が最高でした。そういった背景もあり、是が非でも優勝したい。そういった試合であったと思います。しかし、この試合では、その気合が空回りし、開始直後というある意味、難しい時間帯に川崎のミスからC大阪が、9杉本 健勇のゴールで先制しました。このゴールにより、カウンター狙いのC大阪、主導権を握って高いポゼッションで攻める川崎という構図が出来上がりました。川崎が、狭い所をパスを中心に中央左右という色々な所から、仕掛けて行くも最後の所で、C大阪が閉める事で、粘り強く踏ん張り内容の良いシュートを川崎に打たせませんでした。この結果、シュート数程、川崎が攻めているという印象を持たせず、逆にC大阪が、切れ味鋭いカウンターで、ゴールに迫っていた印象を持ちました。試合の方は、最後まで崩し切れなかった川崎が、C大阪のカウンターにアディショナルタイムに沈められてしまいC大阪が守り勝ちました。よって、C大阪が初タイトルを獲得し、歴史に王者として名を刻むことになりました。逆に川崎は、タイトルを目前にするもまたしてもゴールを決める事が出来ず、準優勝に終わりました。
川崎評
前監督の基本方針であった止める蹴るの基礎に裏打ちされたパスワークは、素晴らしかったと思います。狭い所でもしっかり繋いで、隙を探す作業。パスだけではなく、ドリブルやクロスという手段で、ペナルティエリア内に侵入に成功していました。
一方で、良い形でのシュートも少なく、スペースの狭さを打開する明解な手段を最後まで見つける事が出来なかった。具体的には、クロスに関しては、狙うべくGKとDFラインの間のスペースが狭く、クロスが直接GKに渡ってしまったり、フリーでシュートまで行けるシーンも少なかった。浮き球ではなく、グラウンダーのクロスを通したシーンでは、11小林 悠が戻りながらシュートに持ち込むことも出来ていたが、戻りながらなので、強いシュートが打つことが出来なかった。
ただ、全く空中戦でのチャンスが無かった訳ではは無く、セットプレーやクロスから11小林 悠のオーバーヘッドや5谷口 彰悟のヘッディングシュートなどもあったが、何れも枠を捉える事が出来なかった。結局、この試合のC大阪の様な硬い守備を崩す、セットプレーやミドルシュート。こういった部分でなかなか形が出来なかった事も敗戦に繋がりました。
世界的に見ても守備を固めた相手に対して、そこを崩すのはなかなか難しく、この試合でもそれが結果として出てしまった。とはいえ、開始早々の失点のダメージで、バランスを崩しても不思議ではない中、リスクを冒して攻めたアディショナルタイムまで、しっかりリスク管理して、戦いきった事は素晴らしいと思いますし、この敗戦を将来のタイトルへの糧としていつか悲願を達成して欲しいです。
C大阪評
開始早々の相手のミスを見逃さず、先制を決めてから試合終了までの戦い方。これはC大阪の圧勝とは言えないもののC大阪の強さを内外に示す事が出来た素晴らしい試合であったと思います。リードしている事に過度に焦らず、攻め急がず、徹底したリスク管理で、最後まで隙を見せなかった。守備を固めてカウンターを狙って、あわよくば追加点を狙う。これに最後までぶれはありませんでした。守勢に回っている一方で、前線に最低限の攻撃的な選手を残す事で、川崎の攻撃を間接的に抑制出来ていました。実際に日本代表の7車屋 紳太郎に見せ場を作らせなかった事がその証左です。
また、監督の不満がボールを奪った後に落ち着きが足りないという指示であったように思いますが、ここに強い信念がある様で、ボールを奪って、すぐ寄せて囲んでくる川崎のプレスによりパスコースがかなり限定してもそこへ通すパス精度とクリア精度は、素晴らしいと思います。
この試合でのC大阪は、全員がしっかりオーガナイズされており、意思統一がしっかり図られていました。攻守共にサボる選手が少なく、最後までしっかり走り切れていました。個に優れる選手が多い中で、献身的な守備をしっかりこなす。現代サッカーでは当たり前かもしれませんが、ただ走るだけでは勝てませんし、個の技術とフリーランの質の高さが、最大の勝因かと思います。それだけカウンター切れ味は鋭く、攻守のバランスの取り方の巧さが際立った素晴らしい戦い方で、優勝に相応しい内容のサッカーでした。
総評
この試合の最大のポイントは、枠内シュート数がほぼ互角であった事です。川崎が確かに主導権を握って攻めていた様に映りますが、シュートを打った状況に大きな差がありました。C大阪の何れの得点もGKとの1対1であった様に決まる可能性が高かった状況でした。そういった状況を作ってしまったのが、開始早々の川崎の23カルロス・エドゥアルド・ベンディニ・ジュスティ(エドゥアルド)のミスであるのは、間違いありません。しかし、チームとしてカバー出来なかった以上、川崎の総合力が、この試合のC大阪に届かなかっという事です。セットプレー1つをとっても意表を突いたプレーはなく、シンプルなものでした。C大阪が、勝利に向けて、守備に重点を置いたのに対して、川崎は、美学に拘り、そういった勝利への執着心の様な泥臭いシーンは少なかったのは、少なからず勝敗に影響したいのは間違いないと思います。
この試合では、審判のジャッジがややC大阪よりに映ったシーンがあった事もありましたが、勝敗に左右する程のものでもなかったですし、攻めに美学を見出してしっかり崩して行こうというという強い拘りを感じた川崎に対して、守備を固めて守りに徹したC大阪の姿勢に差異がありましたが、この差は、美しいサッカーと強いサッカーの違いであり、両者のサッカー別物でした。しかし、それでも川崎の進む道は、間違いでないと思います。浦和のペトロヴィッチ元監督もタイトル獲得に導くには、時間がかかりましたが、攻撃的な魅せるサッカーの理想を求め続けた事で、タイトルを獲得出来ました。川崎も伝統の攻撃サッカーを追求し、いつかタイトルを獲得できる日を信じて、歩み続けて欲しいです。
C大阪の尹 晶煥(ユン・ジョンファン)監督の志向する現代的な勝てるサッカーと、川崎の日本のサッカーに生きてきた美学とも言える魅せるサッカーの対決という構図の熱戦は、C大阪に軍配が上がりました。そして、サッカーの怖さと魅力の詰まった素晴らしい好ゲームであったと思います。勝てるサッカーか魅せるサッカーか。今後もこういった対決は続いていき、互いに切磋琢磨し、優勝を目指して戦って行く、そういった意味では、優勝したC大阪だけではなく、川崎も歴史に名を刻んで進んでいます。この優勝を今後のJリーグに活かす事ができるか。今後のJリーグにも注目したいです。
最後にまた、来季もJリーグを沸かすニューヒーローの誕生や感動的な試合。そういった大会として続いていって欲しいです。
試合評
Man Of the Match(MOM):9杉本 健勇(C大阪)
Most Impressive Player(MIP):41家長 昭博(川崎)
満足度(10点満点):7点(★★★★☆)
Jリーグから世界へ
To Be Continued
by杉野雅昭
記事の質の向上のために反対意見や間違いの指摘などのコメントも大いに歓迎ですので、気軽にコメント宜しくお願い致します。
また、イイネ数は、記事を書く意欲へと繋がる事に加えて、記事を書く上での参考とさせて頂いてます。
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