2017:A代表:東アジアE-1選手権:第3戦:H:vs韓国「若い選手の育成をしっかり足元から見つめ直す必要性を感じた試合」

日本vs韓国:1-4
得点者:11小林 悠(PK)、9キム・シヌク(3キム・ジンス)、16チョン・ウヨン(FK)、9キム・シヌク(17イ・ジェソン)、19ヨム・ギフン

1、チーム情報&評点

評価基準

良:1~5:悪

審判

主審:クリストファー・ピース:2.5
副審:ポール・アダム・セトランゴロ、バリサ・ヘマトィンガ:2.5
4審:ハミス・モハメド・アルマリ

H:日本

監督

ヴァヒド・ハリルホジッチ

スタメン

13土居 聖真:3.0、11小林 悠:4.0、14伊東 純也:3.0
7倉田 秋:3.0、2井手口 陽介:3.0
17今野 泰幸:3.5
5車屋 紳太郎:4.5、3昌子 源:4.0、6三浦 弦太:4.0、22植田 直通:5.0
12中村 航輔:3.5

リザーブ

GK:1東口 順昭、23権田 修一
DF:4谷口 彰悟、19初瀬 亮、20室屋 成、21山本 脩斗
MF:16三竿 健斗、8高萩 洋次郎
FW:18阿部 浩之、15金崎 夢生、9川又 堅碁

途中交代

2井手口 陽介→16三竿 健斗:2.5
14伊東 純也→9川又 堅碁;2.5
7倉田 秋→18阿部 浩之:2.5

 

A:韓国

監督

シン・テヨン:2.0

スタメン

9キム・シヌク:1.5、11イ・グノ:2.5
12キム・ミヌ:2.5、17イ・ジェソン:2.5
13チュ・セジョン:2.0、16チョン・ウヨン:1.5
3キム・ジンス:2.5、6ユン・ヨンソン:2.5、20チャン・ヒョンス:2.5、14コ・ヨハン:2.5
21チョ・ヒョヌ:2.5

リザーブ

GK:1キム・ジンヒョン、23キム・ドンジュン
DF:2チェ・チョルスン、4チョン・スンヒョン、5クォン・ギョンウォン
MF:7ユン・イルロク、8イ・ミョンジュ、15イ・チャンミョン、19ヨム・ギフン、22キム・ソンジュン
FW:10イ・ジョンヒョプ、18チン・ソンウク

途中交代

11イ・グノ→19ヨム・ギフン:2.0
17イ・ジェソン→4チョン・スンヒョン:2.5
9キム・シヌク→18チン・ソンウク:評価不可

2、得点経過

H:日本:1-0:11小林 悠(PK)

経過

 日本のスローインが11小林 悠の頭を越えて行って通り、13土居 聖真のところへ行きます。13土居 聖真は、1タッチで、裏へ落とすと14伊東 純也が裏へ抜け出します。すると、14伊東 純也が、20チャン・ヒョンスに倒されて日本がPKを獲得。
 PKキッカーは、11小林 悠で、左に蹴り、21チョ・ヒョヌも一度逆に動いてからのフェイントから飛びつきますが触れず、日本が先制。

コメント

 14伊東 純也のスピードが活きた素晴らしいPKの獲得であったと思います。このゴールの様にシンプルな攻撃での崩しを持ってできればと感じる試合が終わってみての先制点までの流れでした。

A;韓国:1-1:9キム・シヌク(3キム・ジンス)

経過

 スローインの流れからサイド深くに侵入した3キム・ジンスのクロスに9キム・シヌクの高い打点のヘッドで、12中村 航輔も動けず、同点ゴールを韓国に許します。

コメント

 シンプルに高さにやられたという失点パターンでした。やはりアジアで勝っていた時は、中澤 佑二や田中 マルクス闘莉王という空中戦に強い選手がいました。しかし、今回呼ばれている選手では、一定の強さがあってもある程度高い選手に対して、制空権で負けてしまう。そういった現状であると思います。それがこういった失点に出てしまったと思います。
 確かに守り方に問題があった部分はあったと思いますし、繰り返しになりますが、高さに弱いJリーグの選手の弱点が、そのまま失点繋がったという事実を認めて、しっかり強化していかなければならないと思います。

A:韓国:1-2:16チョン・ウヨン(FK)

経過

 韓国のサイドへのスペースへのロングパスの対応で、日本が巧く処理して、5車屋 紳太郎に通して、そこからカウンターに移ろうというシーン。しかし、5車屋 紳太郎のボールコントロールが大きくなるというミスで、韓国の選手に奪われて、5車屋 紳太郎がアフターに行った事で、イエローカードを貰うファールを犯してしまいます。
 このFKを16チョン・ウヨンが蹴り、右隅にしっかりコントロールされたボールで、12中村 航輔は、ノーチャンスで、決められてしまい韓国に逆転を許します。

コメント

 5車屋 紳太郎のミスが酷かったです。
 GKの12中村 航輔の駆け引きの部分で、何も出来なかったことを痛かった。

A:韓国:1-3:9キム・シヌク(17イ・ジェソン)

経過

 縦にパスが入った所で、17イ・ジェソンの力強いボールキープでサイドから中央に侵入すると、5車屋 紳太郎が体をぶつけてボールを奪うとするもバランスさえも崩せず、9キム・シヌクのラストパスを許してしまいます。ラストパスを受けた9キム・シヌクと12中村 航輔の1対1となり、シュートを迷わずうち、12中村 航輔も体を倒してコースを防ごうとしますが左足の上を越えていき、これが決まって韓国が前半の内に大きな追加点を決めて、韓国が3点目。

コメント

 5車屋 紳太郎の所で、カードを貰っていた事もありますし、プレースキックが怖いという事で、厳しく行けなかった事で、ラストパスを許してしまった。数もいましたし、こういった守備の所で、しっかりラストパスを許さないという厳しい対応をして欲しかったですし、チームとして連動した守備もして欲しかった。
 守備の個の力でも組織力の部分でも甘さが出た対応であったと思います。
 12中村 航輔もここでしっかり止めて、流れを変える様なセーブを期待していましたが、9キム・シヌクが一枚上手でした。

A:韓国:1-4:19ヨム・ギフン(FK)

経過

 韓国の右サイドのFKで、キッカーの位置に2人立って、19ヨム・ギフンと13チュ・セジョンの2人が立っていましたが、蹴ったのは19ヨム・ギフン。19ヨム・ギフンの蹴ったボールは、ニアサイドの11小林 悠が触りますが、クリアできずに後方に飛びます。触る前の軌道上に居た12中村 航輔は、目の前で、軌道が変わってしまったために反応するも触れず、ゴールネット揺らして、韓国が駄目押しの4点目を決めます。

コメント

 11小林 悠が触っていなければ、防げたかもしれない失点ですが、こういった混戦ですし
この試合直接FKを決められていますし、高さもあるチームに対して、こういった危険な位置で、FKを与えてしまえば、こうなってしまう。そういった失点シーンだと思います。日本にも精度の高いボールを蹴ることが出来る選手が居ればと改めて感じる失点シーンでもあったと思います。

3、戦評

数値評

評価基準

良:A~E:悪

H:日本

攻撃評価:E
守備評価:E
采配評価:E
総合評価:E

A:韓国

攻撃評価:A
守備評価:A
采配評価:A
総合評価:A

文章評

寸評

 勝てば今大会の優勝が決まるという熱いシチュエーションの試合であったと思います。
日本がこの試合で、引き分け以上という結果で終える事が出来れば、優勝という有利な条件でしたし、2大会ぶりの優勝とロシアワールドカップに向けて、アピールしたい選手も高いモチベーションであったと思います。
 韓国も勿論、勝てば優勝できますし、日韓戦という特別な試合という事もあり、韓国も高いモチベーションを持って、この試合に臨んで来たと思います。

 試合の方は、日本が、開始早々にPKで先制して、幸先の良いスタートこそ切れましたが、時間が経つにつれて、フィジカルで劣る日本が局面局面で劣勢に立ちました。その結果、時間が経過する中で、フィジカルの差とプレースキック精度の高さの前に失点重ねていき、気が付けば、4失点で、そのまま負けてしまうという苦い試合となってしまいました。

韓国評

 デュエルの勝率を重視するハリルジャパンが、そのデュエルで劣勢に立った試合展開でしたが、韓国の持ち味は、そのデュエルの強さで生きるサッカー。高さと当たりの強さは、韓国のお家芸。この試合でもそれを発揮し、試合を有利に進める事が出来ていました。特に最初の得点は、高さで完全に勝っての得点であったと思います。
 また、日本のプレスが緩かった事もあり、余裕を持ってパスやクロスを出すことが出来たのも大きかったと思います。日本の格上としての歴史が長く、そういった強さと技術を持った選手を多数抱えて来て、強化をしっかり出来ている韓国育成。国内組においては、韓国が日本を大きく上回っていることは、この韓国の快勝で、認めざる得ないと思います。

日本評

 最初に言いたいのは、この敗戦は、ヴァヒド・ハリルホジッチ監督だけの責任ではないという事です。
まず、組織的プレスがかからない問題。これは、ヴァヒド・ハリルホジッチ監督が指示していないのはなく、Jリーグで、出来ていないから出来ない。出来てない事を監督の責任にするのはどうか。
そして、縦に素早くつけるサッカー。これは世界的に当然で、シュートまでかかる時間は、スペインが世界大会で、結果を残してた時期とは違いかなり速くなっています。
これに固執するのもどうかという指摘は、確かにありますが、球際を重視し、縦に速く。この方針は間違ってないと思います。日本らしいサッカーという理想的なサッカーを言葉だけではなく、現実的な方法で目指していく必要があると思います。
この方針の1つで、間違っていないと感じるのは、韓国の3得点目です。中央にドリブルで、侵入して、強引にラストパスを出してチャンスメークしたシーン。日本ではこの過程でパスを挟む選手が多く、ドリブルで突破するのが難しくなっています。パスを狭い所を通す事は確かに可能でしょうけど、準備期間の短いチームではなかなか難しいと思います。近年、ACLでも日本勢が負ける事が多かった現状を考えても、デュエルの強化、縦に速いサッカー、ハイプレス。この3つをJリーグの重要なサッカーの1つとして、多くのチームが採用して、実戦出来る状態を作って行く必要が喫緊の課題としてあると思います。
 こういった課題をクリアした上で、日本の持ち味である献身性や真面目さをどう発揮していくか。そういった段階へ入れると思います。少なくとも組織的なサッカーが日本は、育成の時から、こういった方針を指導出来ていない事もあり、組織力が、サッカー先進国と比べると後退している事実と向き合ったうえで、しっかり評価して欲しいと思います。

 上記の点は、最低限置いておいたとして、この試合のポイントは、11小林 悠の1トップでは、ターゲットとしてポストプレーがなかなか巧く出来なかった点。9川又 堅碁を1トップに置いて11小林 悠をトップ下やサイドで起用した方が、ボールが無い所での動き出しのフリーランや1タッチでのパス、そして、高いシュート技術を活かせたと思います。この辺り監督のプランとしては、9川又 堅碁を投入した時にそこで勝負したかった部分があったと思いますが、その前に勝負がほぼ決してしまったのは、痛かったと思います。
 また、22植田 直通のSB起用もこの試合では、予想以上にパスを繋いできたので、空中戦という場面も少なく、攻撃でもポジショニングなどが、本職ではないのでまずくて、攻守で、悪い所が目立ったと思います。これに関しては、失策ではあると思います。G大阪でもSBをやっている6三浦 弦太と逆でも良かったと思います。

 最後にこの3試合で、アピールできたのは、9川又 堅碁、30伊東 純也辺りかなと思います。海外組が主体とのチームと、組織力の部分で別チームになってしまう関係で、なかなか本大会のメンバーに食い込むのは、難しいかと思いますので、ここから選手がどれだけ調子を上げて、アピールできるか。この試合の内容と結果を受けて、難しくなった選手も多かったと思いますが、どういった選手が選ばれるか、見守っていきたい。

試合評

Man Of the Match(MOM):9キム・シヌク(韓国)
Most Impressive Player(MIP):9川又 堅碁(日本)
満足度(10点満点):0点(☆無し)

日本から世界へ
To Be Continued

by 杉野 雅昭(Masaaki Sugino)

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