2017:CWC:3位決定戦:UAE:アルジャジーラvsパチューカ「守護神を欠いたアルジャジーラが若い選手が躍動したパチューカのパスサッカーに圧倒された試合」


アルジャジーラvsパチューカ:1-4
得点者:10ホナタン・ウレタビスカヤ(29フランコ・ハラ)、15ハルファン・アルレジ、29フランコ・ハラ(7アンジェロ・サガル)、89ロベルト・デラローザ(98エリック・サンチェス)、7アンジェロ・サガル(PK)

1、チーム情報&評点

評価基準

良:1~5:悪

審判

主審:マラン・ディエディウ:2.5
副審:ジブリル・カマラ、エル・ハッジ・サンバ:2.5
第4審:マット・コンジャー

H:アルジャジーラ

監督

ヘンク・テンカーテ:3.0

スタメン

7アリ・マブフート:3.5
31ロマリーニョ:2.5、10ムバラク・ブスファ:3.0、15ハルファン・アルレジ:2.5
21ヤコブ・アルホサニ:3.0、40モハマド・アルアッタス:3.0
5ムサレム・ファエズ:3.5、44ファレス・ジュマ:3.5、6サイフ・ハルファン:3.5、12サリム・ラシト:3.5
36ハレド・アルセナーニ:3.5

リザーブ

GK:1アリ・ハセイフ、56 アブドゥルラフマン・アルアメリ
DF:3サレム・アルエーディ、14エイサ・モハメド、27サレム・アブダラ、51ハリファ・ムバラク、80サリム・アリ
MF:9サルドル・ラシドフ、35アブダラ・ラマダン
FW:45アハメド・ラビア、70アハメド・アルハシミ

途中交代

40モハマド・アルアッタス→80サリム・アリ:3.0
21ヤコブ・アルホサニ→35アブダラ・ラマダン:3.0
15ハルファン・アルレジ→45アハメド・ラビア:3.0

 

A:パチューカ

監督

ディエゴ・アロンソ:2.0

スタメン

7アンジェロ・サガル:2.0、29フランコ・ハラ:2.0、10ホナタン・ウレタビスカヤ:2.5
98エリック・サンチェス:2.5、14エリック・アギーレ:2.5
16ホルヘ・エルナンデス:2.5
12エマヌエル・ガルシア:2.5、23オスカル・ムリージョ:2.5、4オマール・ゴンザレス:2.5、6ラウール・ロペス:2.5
13アルフォンソ・ブランコ:2.5

リザーブ

GK:21オスカル・ペレス、22アブラハム・ロメロ
DF:18ホアキン・マルティネス、25アレクシス・ペーニャ、26ロベルト・エレーラ
MF:2本田 圭佑、15エリック・グティエレス、19トニー・フィゲロア、24パブロ・ロペス
FW:9ヘルマン・カノ、89ロベルト・デラローザ

途中交代

29フランコ・ハラ→89ロベルト・デラローザ:2.0
16ホルヘ・エルナンデス→24パブロ・ロペス:評価不可
10ホナタン・ウレタビスカヤ→19トニー・フィゲロア:評価不可

2、得点経過

A:パチューカ:0-1:10ホナタン・ウレタビスカヤ(29フランコ・ハラ)

経過

 パチューカの選手が、クリアしたボールをアルジャジーラの選手が、胸トラップしてマイボールをしようとしたボールをパチューカの選手が、素早く奪って前線につけます。6サイフ・ハルファンが触れそうで触れず、29フランコ・ハラに通ります。29フランコ・ハラは、1テンポ置いてスルーパスを出します。そのスルーパスを止めようと、44ファレス・ジュマも懸命に足を伸ばしますが届かず、10ホナタン・ウレタビスカヤとGK36ハレド・アルセナーニとの1対1になります。10ホナタン・ウレタビスカヤは、冷静にGKの動きを見極めて、股の間を流すように難しいタッチのシュートを放ち、これが狙い通り決まって、パチューカが、先制に成功したというゴールシーンでした。

コメント

 奪えそうで奪えない。そして、そこを通して来るパス。そして、決めきるシュート。どれも素晴らしいゴールであったと思います。
 アルジャジーラとしては、スピードに乗ってきたパチューカの選手への対応が非常に難しい状況だったので、失点こそしましたが懸命に頑張っていたと思います。どちらかと言えば、こういった状況を作らない様なサッカーをしないといけなかったと思います。特に、攻めた後で前がかりになっていたので、ボールを大事にすべき場面で、胸トラップ後に奪われたのは、痛かった。

H:アルジャジーラ:1-1:15ハルファン・アルレジ

経過

 アルジャジーラのスローインから10ムバラク・ブスファが近くにいた31ロマリーニョへ落とします。少しパスがずれますが、31ロマリーニョが、巧く足を伸ばしてマイボールにすると、パチューカDFの間の狭い所を突破して、至近距離でのGK13アルフォンソ・ブランコと1対1になりシュートまで行きますが、一度GKの13アルフォンソ・ブランコがセーブします。その毀れ球に反応した10ムバラク・ブスファがダイレクトシュート放ちます。これもGK13アルフォンソ・ブランコがセーブしますが、誰かが触らなければそのままゴールになってしまう後方に飛びます。それでもその後方へ飛んだボールは、12エマヌエル・ガルシアがブロックして跳ね返します。しかし、再びアルジャジーラの選手へと渡ってしまい今度は、15ハルファン・アルレジが、GK13アルフォンソ・ブランコと12エマヌエル・ガルシアの間へとしっかり力抜いてコントロールしたシュートを突きさして、アルジャジーラが追いつくというシーンでした。

コメント

 31ロマリーニョの個の仕掛けが、最終的には泥臭い流れではありましたが、ゴールに繋がったシーンであったと思います。パチューカの選手が少し棒立ちになっていたのは、少し気になりましたが、それだけ狭い所での仕掛けでした。
そして、ゴール前のパチューカの選手の守備人数が、ゴール前を固めるには、少し足りなかったのも痛かったと思います。スローインの流れからだったので、そうなりますが、セットプレーの時に良くある波状攻撃を防ぐというよりは、守り切る難易度が高かったと思います。ゴール前に構えるだけで、寄せに行けてなかったですし、その点は、間違いなく大きかったと思います。

A:パチューカ:2-1:29フランコ・ハラ(7アンジェロ・サガル)

経過

アルジャジーラが攻めますがシュートまで行けず、逆にパチューカの選手のサイドのスペースへの一本のロングパスが通ってしまいます。7アンジェロ・サガルがそのロングパスを受けると一気にアルジャジーラ陣地深くに侵入し、DFとGKの間へとグラウンダーピンポイントの絶妙なクロスを入れます。これが、29フランコ・ハラへと通り、GKに近いペナルティエリア内で、しっかりそのボールに合わしてミートしたシュートを放ち、これに36ハレド・アルセナーニが飛びつきますが届かず、これが決まってパチューカが勝ち越しゴールを決めたというシーンでした。

コメント

 攻撃をシュートで終える事の重要性を感じた得点シーンであったと思います。少ない人数で素早く攻めた電光石火の素晴らしい得点までの流れであったと思います。
パスを呼び込む動きは勿論、ロングパス精度、クロス精度、シュート技術。どれも素晴らしかった素晴らしいカウンターでした。

A:パチューカ:3-1:89ロベルト・デラローザ(98エリック・サンチェス)

経過

 中盤でのボールの主導権の奪い合いで、最終的に勝ち取ったパチューカの選手が細かいパス交換から98エリック・サンチェスが前を向いてプレーできる状況を作ります。98エリック・サンチェスが、そのまま進んでいきスルーパスを出します。この時、オフサイドポジションにいた10ホナタン・ウレタビスカヤがボールに関与していませんが、少し囮の様な役割となり、後ろから抜け出した89ロベルト・デラローザへスルーパスが通ります。そして、89ロベルト・デラローザがGKの36ハレド・アルセナーニとの1対1でしたが、GKの36ハレド・アルセナーニが倒れながらコースを消そうとしている動きに対して、その上を越えていくシュートを冷静に打って、ゴールを決めます。

コメント

 ボールを高い位置で奪い合う中で、奪いきれればこういったチャンスを作ることが出来る。そういった得点シーンでもありましたが、アルジャジーラも人数もしっかりいたので、スルーパスの出所である98エリック・アギーレをよせて、スルーパスを防ぐ必要があったと思います。
 また、アルジャジーラとしては、パチューカの10ホナタン・ウレタビスカヤに気を取られて、DFラインの足が止まったのも痛かったです。

A:パチューカ:4-1:7アンジェロ・サガル(PK)

経過

 サイドから組み立てて、14エリック・アギーレが、追い越してサイドのスペースへ走っていく16ホルヘ・エルナンデスがパスを受けて、クロスを入れます。その先にいた98エリック・サンチェスが倒して、パチューカがPKを獲得しました。
 このPKを7アンジェロ・サガルが蹴ります。7アンジェロ・サガルは、左に蹴り、GKの36ハレド・アルセナーニが同じ方向に飛びますが、速いボールだったので、間に合わず、これが決まってパチューカが、ダメ押しの追加点を奪います。

コメント

 このシーンでも守備の対応が緩く、簡単にクロスを入れさせています。デュエルの部分での厳しさがやはりもっと徹底していかないとこういった試合になってしまう。そう感じるダメ押し点でした。

3、戦評

数値評

評価基準

良:A~E:悪

H:アルジャジーラ

攻撃評価:D
守備評価:E
采配評価:D
総合評価:D

A:パチューカ

攻撃評価:A
守備評価:C
采配評価:A
総合評価:B

文章評

寸評

 開催国王者として、1つでも上の順位で終えたいアルジャジーラ。対するパチューカは、レアルマドリード対戦が実現しなかったですが、勝利で終えて、パチューカが出場した中で、過去最高の順位で終えたいという1戦でした。

 試合の方は、主導権を握ったのは、パチューカが、パスサッカーで、アルジャジーラを圧倒していました。先制点をパチューカが決めて、前半を折り返します。
 このままパチューカが勝っていくのはないかいかという内容でしたが、アルジャジーラも個の力で、同点ゴールを奪い一度は、同点に追いつきます。しかし、パチューカが、勝ち越し点を奪うと若手を積極起用し、その選手達が、活躍して、最終的には、1-4で、パチューカが、3位という過去の最高の成績で、クラブワールドカップを終えました。

アルジャジーラ評

 今大会を見ていて、アルジャジーラは、不思議なチームで、開幕戦と準々決勝でも劣勢という試合内容でした。しかし、一瞬のカウンターで、得点を奪って勝ち切る。そういった鋭い攻撃力を持ったチームです。でも、守備がしっかり整備されているという訳ではなく、むしろ、今大会でも一番守備が脆いチームであったと思います。こういった強さの秘訣は、1アリ・ハセイフの存在で間違いないと思います。ファインセーブで、レアルマドリードを食ってしまうのはではないかという展開でした。結果的には、1アリ・ハセイフの負傷交代で、レアルマドリードにも敗れ、3位決定戦でも4失点。1アリ・ハセイフのチームと言える事は間違いなく、素晴らしいGKを要するチームであったと思います。
 勿論、攻撃も少ない人数でも個の力で得点を奪える鋭いカウンターを持っている怖いチームでした。自分に向かってくる相手に対して、一撃必殺で仕留める。そういった特殊なチームであったと思います。
 今大会では1アリ・ハセイフの怪我がどうなっていたか気になる所ですが、準決勝ではレアルマドリードの個の力、3位決定戦は、連動したサッカーと総合力の前に屈しましたが、面白い好チームであったと思います。

パチューカ評

 2本田 圭佑が、在籍していたチームという事で、日本では大きな注目を集めたチームでした。2本田 圭佑が、そうした日本のサポーターが、期待していた以上の活躍で、大きな存在感を放っていました。ロシアワールドカップに向けて、大きなアピールが出来た事は間違いないと思います。来季の所属先を含め、どうなるか分かりませんが、もし、メンバーに選出されたのではあれば、この試合のパフォーマンスで影響があったのではないかと感じるぐらいでした。
 さて、チームとしては、非常に柔らかさを感じる技術の高いチームであったと思います。また、パスサッカーの連動性は、今大会屈指のチームであったと思います。ピッチを広く、時には狭く使って、多彩な攻撃パターンを持っていました。手詰まりになるというシーンも少なく、スルーパスを連発して、好機を作る事が出来る連動性とまとまりの取れたチームであったと思います。
 一方で、守備の部分では軽く、少し甘さが目立つチームであったと思います。軽い対応で、危ない場面を作られる事も何度かありました。それでも組織的な守備に近い人数で対応して、バランスよくスペースを消す。こういった部分がしっかり出来ていたと思います。そういった事もあり、ここまで1失点に抑えて事も示す通り、攻守でバランス取れた良いチームでした。
 また、この大会に出てくることは、十分あると思います。その時にどういったサッカーを見せて、どういった結果を残してくれるのか、楽しみです。

試合評

Man Of the Match(MOM):9フランコ・ハラ(パチューカ)
Most Impressive Player(MIP):89ロベルト・デラローザ(パチューカ)
満足度(10点満点):7点(★★★★☆)

世界の頂きへ
To Be Continued

by 杉野 雅昭(Masaaki Sugino)

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