レビュー:2018:J2:第1節:A:vs徳島ヴォルティス「新戦力躍動!新時代の幕開け!」

徳島vs岡山:0-1
得点者:8塚川 孝輝(14上田 康太)
観客数:8,753人
退場者:19仲間 隼斗

1、チーム情報&評点

評価基準

良:1~5:悪

審判

主審:今村 善朗:2.5
副審:村井 良輔、阿部 将茂:3.0
第4審:堀 格郎

A:岡山

監督

長澤 徹:2.5

スタメン

24赤嶺 真吾:2.5
7伊藤 大介:2.5、9李 勇載(イ・ヨンジェ):2.0
11三村 真:4.0、14上田 康太:2.0、8塚川 孝輝:2.0、21椋原 健太:2.5
27チェ・ジョンウォン:2.5、3後藤 圭太:2.0、33阿部 海人:2.0
22一森 純:2.0

リザーブ

GK:13金山 隼樹
DF:4濱田 水輝、31下口 稚葉
MF:15末吉 隼也、25武田 将平、19仲間 隼斗
FW:18齊藤 和樹

途中交代

9李 勇載(イ・ヨンジェ)→18齊藤 和樹:3.0
24赤嶺 真吾→19仲間 隼斗:5.0
7伊藤 大介→15末吉 隼也:評価不可

 

H:徳島

監督

リカルド・ロドリゲス・スアレス(リカルド・ロドリゲス):3.0

スタメン

10杉本 太郎:3.0、13呉屋 大翔:3.0
6シシーニョ・ゴンサレス・マルティネス(シシーニョ):2.5、23前川 大河:2.5
7内田 裕斗:2.5、8岩尾 憲:2.5、11島屋 八徳:3.0
20金 鐘必(キム・ジョンピル):3.0、3大崎 玲央:2.5、2ウェリントン・ダニエル・ブエノ(ブエノ):3.5
21梶川 裕嗣:2.5

リザーブ

GK:1ダニー・ガブリエル・カルバハル・ロドリゲス(ダニー・カルバハル)
DF:15井筒 陸也、24井澤 春輝
MF:32小西 雄大、33椋原 志龍
FW:18佐藤 晃大、19薗田 卓馬

途中交代

20金 鐘必(キム・ジョンピル)→15井筒 陸也:2.5
7内田 裕斗→33藤原 志龍:2.0

2、得点経過

A:岡山:0-1:8塚川 孝輝(14上田 康太)

経過

 21椋原 健太がパス交換で、裏へ抜け出してクロスを入れようとしますが、徳島の選手がユニフォームを引っ張って、21椋原 健太が倒れます。これで岡山がFKを獲得し、キッカーの位置は14上田 康太と7伊藤 大介の2人。徳島はゾーンディフェンス。14上田 康太が左足でゾーンディフェンスの選手の間のスペースへ少し落ちてくる速いボールを入れます。そこにファーサイドから中に侵入してきた8塚川 孝輝が、頭でしっかり合わせたヘッディングシュートを放ちます。このボールは、徳島の選手の頭とGK21梶川 裕嗣の飛びついた手の先の左隅に決まって岡山が先制。

コメント

 この試合で、岡山が良かった時間に右サイドでの21椋原 健太を軸にパス交換で、徳島の左サイドを崩していました。この得点シーンを含め、徳島にとって崩されていた事が、ハーフタイムの交代の理由と言えそうです。しかし、ここは、岡山が連動したパス交換での崩しなので、20金 鐘必(キム・ジョンピル)だけの責任という訳ではなかったと思います。むしろ、2ウェリントン・ダニエル・ブエノ(ブエノ)の方が、ミスパスが多く、策を打つべきであったと思います。
 この得点シーンは、岡山が巧く右サイドから仕掛けてFKを獲得し、高さで勝る上に、精度の高いプレースキックと、絶妙な動き出しにより、そのゾーンディフェンスを無効化した事によって生まれた得点であったと思います。
 つまりこの失点を防ぐためには、サイドの守備では、寄せた選手に対して連動してスペースを消しつつ、ラストパスを通させない。そういった守備の連動性が必要でした。また、FKのシーンでは、ゾーンディフェンスから判断をしっかり向上させて、8塚川 孝輝の動きを察知し、体を当てる守備が出来るかどうかが生命線であったと思います。つまり、徳島にとって、ここぞという守備の一歩が後手に回った事で、失点に繋がった得点であったと思います。
 岡山としては、そこを的確に突いたインテリジェンスと基礎となる動き出しと技術の生んだシンプルで、良い得点であったと思います。

3、注目ポイントに対する回答

Q.1「3バックか4バックか。」

A.「恐らくメディア情報通り、33阿部 海人と27チェ・ジョンウォンの状態が良く、他のポジションの選手の状態などを総合的に考えた上で、4バックを採用するより、戦えるという判断を長澤 徹監督が下したと思われます。この辺り、17山崎 凌吾の欠場などもあったとはいえ、ボールを持って岡山を攻め立てた徳島に対して、完封出来た事が、この判断が正しかったと言えると思います。

Q.2「新人がどれだけスタメンスタートもしくは、リザーブ入りし、出場機会があるか。」

A.「27チェ・ジョンウォンと33阿部 海人の2人がスタメンでした。特に33阿部 海人は、未確認ですが、話によると岡山の高卒新人では、初の開幕スタメンとの事。」

Q.3「14上田 康太が、どれだけ攻撃の要として機能するかどうか。」

A.「決定機逸機こそあったもののセットプレーのFKで決勝点をアシスト。また、ゲームメークでもパスミスが少なく、チームに落ち着きをもたらした。既に攻撃の要としてフィット度は高い。後は、流れの中で、決定的なスルーパスを出せる様になるように連携を深めていく必要がある。」

Q.4「前線の組み合わがどんな感じか。また、機能するかどうか。」

A.「9李 勇載(イ・ヨンジェ)か24赤嶺 真吾の1トップであったり、2トップを状況に応じて変化させていた。7伊藤 大介は引いた位置に構える形。機能具合は、24赤嶺 真吾の空中戦の強さと9李 勇載(イ・ヨンジェ)の万能性という破壊力があった一方で、この2人が強力過ぎて、7伊藤 大介を経由する事が少なかった。ロングパスのターゲットが2人分散している事で、相手もマークも分散し、そこを突くスペースもあった。クロスにも期待が持て、何か起きそうという期待感は大きかった。
また、3人とも献身的で、前線からハイプレスは、非常に有効であった。特に9李 勇載(イ・ヨンジェ)プレスのオン・オフの合図を出し、ペース配分も良く、効果的であった。その効果は、DHまで波及し、14上田 康太と8塚川 孝輝のインターセプトに繋がった。
 ただ、9李 勇載(イ・ヨンジェ)の怪我が心配され、次節出場できるかどうかの影響は大きい。」

Q.5「チーム完成度は?課題は?」

A.「40%ぐらいではないかと。怪我人が多く、これから状況に応じて、選手も入れ替わる事が考えられる。出場機会の少ない選手を巧く、起用していき、総合力を上げて行く中で、シーズンを通してどれだけ総合力を上げる事が出来るか。研究されてくる中で、終盤に勝てないシーズンが多く、そこを上回れる選択肢の多さによる、戦術的な幅をチームとして持つことができるかが、今後の課題。
 特に長澤 徹監督は、新人軽視、起用に偏りがあった事から、今後どれだけ色んな選手を起用できるかは、重要な要素。
 また、具体的な課題としては、左サイドの選手をどうするか。11三村 真は、この試合では、前がかりになった終盤以外では、持ち味を発揮できず、判断の悪さが際立っていて、ボールを受けに行く、ボールを奪い行くところで、触れずボールロストして、背後のスペース使われるシーンが5回ぐらいあった。しかもシュートまで行かれる危ないシーンもあり、チームとしてウィークポイントになっていた。将来的には、26松本 健太郎、34デューク・カルロスといった新人の積極的な起用や31下口 稚葉、6喜山 康平、2澤口 雅彦、19仲間 隼斗といった選手などの起用も検討していく必要があると思います。」

Q.6「徳島の高い攻撃力の前にしっかり守れたか。」

A.「結果的に守れたが、17山崎 凌吾というポストプレーと決定力のある選手が、欠場していた事もあり、結果的に0点に抑える事が出来たという印象が強い。実際にドリブルとパスでペナルティエリアへの侵入を許し、至近距離のシュートが正面に行ったり、力んで上に外れたりと、徳島の選手のミスキックに助けれている部分が大きい。試合終了間際の徳島の猛攻で、失点していてもおかしくなかったと思います。
 ただ、セットプレーでの空中戦の強さ。プレスが機能していた時の連動性。ゴール前に押し込まれた時のシュートコースを塞ぎ、しっかりシュートブロックが出来ていた事。デュエルの部分でも力強さ。ファールの少なさ。開幕戦としては、高い安定感に繋がっていたと思います。岡山のサッカーの根底にある献身的な守備意識の高さを前面に出して戦えていました。」

Q.7「高いプレースキックの精度と高さを活かしたセットプレーは、どれだけ通用したか。」

A.「貴重な決勝点になった事に加えて、しっかり合わせて形を作ったり、2次攻撃3次攻撃と、徳島に簡単にクリアさせない高さという圧力をかける事が出来た。今季の大きな武器になる事は間違いない。」

Q.8「やはり点の取り合いになるのか。それとも締まった1点を争うゲームになるのか。」

A.「意外にも1点を争う好ゲームとなった。決定機の数はそこそこあったが、両チームともギリギリの所で決めきれなかった。開幕戦というまだチームとしての完成度が低い時期という事も関係していたかもしれない。ただ、次回戦った時はもっと得点が動くのではないかというぐらい攻守の攻防は激しかった。」

Q.9「注目ポジションのスタメンを誰が勝ち取ったか。」

A.「24赤嶺 真吾と7伊藤 大介に加えてもう1人は誰かというのがポイントだったが、9 李 勇載(イ・ヨンジェ)が勝ち取り、実際に高いパフォーマンスをみせた。
 14上田 康太の相方は、攻守で定評のある8塚川 孝輝が勝ち取った。攻撃では決勝点を決めて、守備では、守備の要として的確なポジショニングで、バイタルエリアをしっかりケア出来ていた。
 左WBは、11三村 真だったが、この試合では低調なパフォーマンスであった事から再考の余地がありそう。
 DFラインは、左CBに27チェ・ジョンウォン、右CBに33阿部 海人。2人とも持ち味を存分に発揮し、4濱田 水輝からスタメン争いに勝ったのも納得の出来であった。これからの成長が楽しみ。
 守護神争いは、22一森 純が開幕スタメンを勝ち取った。正確なフィードとシュートへの抜群の反応で、完封に貢献。このパフォーマンスであれば、しばらく正守護神として出場機会を掴みそう。」

Q.10「今季はどういったパターンの選手交代の仕方をするのか。」

A.「9李 勇載(イ・ヨンジェ)は、怪我の可能性を考慮し、大事を取った可能性があるが、長い時間プレーすることが多かった24赤嶺 真吾を早い時間帯に交代するなど、状況に応じて思い切って交代していく方針である様だ。怪我人がもっと増えてしまうと分からないが、全体的に新人を含め、実力差が小さい事からパターンも多彩そうで、シーズンが終わった時には、全く違った交代パターンになる事もありそう。昨季の様に交代が読み易い部分は多少残っているが、色々なパターンの交代策が見えれそう。」

4、文章評

 昨季と違って守り切る強さがある事を証明出来た。昨季であれば、1人少なくなってから受けた徳島の猛攻の前に、同点から逆転を許していた可能性があった。昨季の課題であった終盤のパワープレーやゴール前への圧力をかけてきた時の脆さは、ある程度改善出来ていた。
 ただ、徳島の前線に高さがあまりなかった事を考えれば、手放しでは喜べない。ただ、セットプレーの守備やロングパスに対して、この試合では、危なげなかった。ファールも少なく、1対1でのボール奪取力は高かった。
 攻撃面では、まだまだ出番のない選手が居ますし、色々と試行錯誤しつつもっと得点力を上げて行き、楽な試合展開に出来るかが、今後の課題となりそう。
 また、19仲間 隼斗のレッドカードでの退場繋がったプレーは、プレーに関係ない動作であることから明らかに故意で、非常に残念なプレーであった。開幕戦という特殊な状況であたとはいえ、次回からは、慎重にプレーして欲しい。

5、数値評

評価基準

良:A~E:悪

A:岡山

攻撃評価:B
守備評価:B
采配評価:B
総合評価:B

A:徳島

攻撃評価:D
守備評価:C
采配評価:C
総合評価:C

6、試合評

Man Of the Match(MOM):8塚川 孝輝(岡山)
Most Impressive Player(MIP):33藤原 志龍(徳島)
満足度:7点(10点満点)

岡山から世界へ
To Be Continued

by 杉野 雅昭(Masaaki Sugino)

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岡山から世界へ 
To Be Continued

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