レビュー:2018:J2:第2節:H:vs栃木SC「セットプレー無双」

岡山vs栃木:3-0
得点者:14上田 康太(FK)、33阿部 海人(24赤嶺 真吾)、6喜山 康平(8塚川 孝輝)
観客数:9,291人

1、チーム情報&評点

評価基準

良:1~5:悪

審判

主審:谷本 涼:2.5
副審:松井 健太郎、金次 雄之介:2.5
第4の審判員:松本 大

H:岡山

監督

長澤 徹:2.5

スタメン

24赤嶺 真吾:2.0、9李 勇載(イ・ヨンジェ):2.5
11三村 真:2.5、7伊藤 大介:2.5、8塚川 孝輝:2.5、21椋原 健太:2.0
14上田 康太:2.0
6喜山 康平:2.5、3後藤 圭太:2.5、33阿部 海人:2.0
22一森 純:2.5

リザーブ

GK:13金山 隼樹
DF:4濱田 水輝、27チェ・ジョンウォン
MF:15末吉 隼也、17関戸 健二
FW:18齊藤 和樹、32福元 友哉

途中交代

9李 勇載(イ・ヨンジェ)→18齊藤 和樹:3.0
14上田 康太→15末吉 隼也:評価不可
24赤嶺 真吾→32福元 友哉:評価不可

 

A:栃木

監督

横山 雄次:3.0

スタメン

9大黒 将志:3.0、25ネイツ・ペチュニク:3.0
14西谷 和希:2.5、21牛ノ濱 拓:3.0
5ヘニキ・ルイス・アンドラーデ(ヘニキ):3.0、24和田 達也:3.0
7官 和範:3.5、19服部 康平:3.5、3西河 翔吾:3.5、17福岡 将太:3.5
15ジョニー・レオーニ:3.0

リザーブ

GK:33石川 慧
DF:28温井 駿斗、30田代 雅也
MF:11岡崎 達哉、37浜下 瑛、38宮崎 泰右
FW:16榊 翔太

途中交代

21牛ノ濱 拓→37浜下 瑛:2.5
24和田 達也→11岡崎 健哉:2.5
25ネイツ・ペチュニク→16榊 翔太:評価不可

2、得点経過

H:岡山:1-0:14上田 康太(FK)

経過

6喜山 康平のロングパスを受けた9李 勇載(イ・ヨンジェ)が競る際にファールを貰いFK獲得。ペナルティエリアから少し離れた左より位置でのFK。位置的に巻いて蹴り易い7伊藤 大介が蹴ると思われたが、蹴ったのはなんと左利きの14上田 康太で、高い壁の頭を越えて速くて落ちてくるボールを蹴ります。解説者曰くタイミングをずらした事で、GKの15ジョニー・レオーニの反応が遅れ、飛びついて触るも弾き切れずこれが決まってゴールイン。岡山が、早い時間帯に先制に成功しました。

コメント

 位置的に左足の14上田 康太としては、難しいFKであったと思います。それをしっかり決めきる訳では、高い技術を持っていることを感じさせる素晴らしいゴールであったと思います。また、同じような位置でも14上田 康太が蹴って、今度は右を狙っていましたが、今度はセーブされて、防がれました。このことを考えても左側でも十分狙えるという事をJ2で、改めて示せたことは大きいと思います。また、右利きで、同じくプレースキックの得意な7伊藤 大介や15末吉 隼也が絡んで来れば、より破壊力が増すと思います。これからも1回1回を大事にしていけば、貴重な得点源になる事は間違いない。

H:岡山:2-0:33阿部 海人(24赤嶺 真吾)

経過

 7伊藤 大介が距離のあるFKを蹴り、9李 勇載(イ・ヨンジェ)が頭で、後方にそらします。これは、15ジョニー・レオーニがパンチングしますが、岡山の選手が拾って組み立て直します。9李 勇載(イ・ヨンジェ)まで渡ってもういちどサイドから中に入れて、混戦となり、最終的に24赤嶺 真吾の所に転がってくると、冷静に状況を把握し、右の方にフリーでいた33阿部 海人を認識し、そこへお洒落で、優しいパスを出します。これを慌てず33阿部 海人は、冷静に左足で、押し込んで、岡山が追加点を決めます。また、これが、岡山のJ2通算400ゴールかつ、33阿部 海人のプロ初ゴールという事になり、持っている男というのを内外に示すメモリアルゴールとなりました。

コメント

 この得点もセットプレーの流れからの得点でした。この得点の流れからもわかる通り、今季の岡山のセットプレーは、高さがある選手が多数いる事で、マークが分散し、なかなかクリアし辛い状況を作る事が出来ています。つまり、高い選手に高い選手が付いて、自由が制限されることが昨季までは多かったですが、今季は、背が高い選手にそこまで高くない選手が付くケースが増えて、ミスマッチを突くことが出来る様になっています。その結果、守備側は、なかなかセットプレーの流れを断ち切る事ができず、昨季の岡山がセットプレーで、苦しんだ様に、持続的なセットプレーでの攻撃が出来ていると感じる事が出来た得点でした。

H:岡山:3-0:6喜山 康平(8塚川 孝輝)

経過

 14上田 康太が、左CKを左足で蹴ります。その先に居たのは、またしても8塚川 孝輝。8塚川 孝輝の頭で合わせて叩きつけます。その先にいた6喜山 康平に当たってコースが変わるもクロスバーに当たる。これが再び6喜山 康平の下へと行き、再び頭で押し込んで
、岡山が駄目押し点。

コメント

 14上田 康太と8塚川 孝輝のラインは既にホットラインとも言えるパターンになりつつある。背が高い選手が多い事で、8塚川 孝輝へのマークが甘くなっていることが要因と言えそうですが、マークが変われば、別の選択肢を持てるようになりますし、そこを狙える精度を持ったプレースキッカーがいるので、今季の岡山の武器になる事は間違いないと、繰り返しになりますが、結果が示しています。

3、注目ポイント

Q.1「この試合も完封できる様な堅い守備を出来るかどうか。」

A.「危ないシーンはそこまで多くなく、22一森 純を中心に集中して寄せて厳しく対応出来ていた。ただ、結果的に完封こそ出来たが、部分的にGKと1対1になったシーンやセットプレーで、フリーで打たれてしまったシーンやシュートがポストバーに当たって外れるという危ないシーンもあった。そういった回数を少なくするためにもそういったシーンが多かった終盤の攻守のバランスは、改善の余地がある。決定機にこそ繋がらなかったが、更に、終盤には悪いボールの失い方からカウンターを受けるシーンが何度かあったので、その時間帯のリスク管理もしっかり修正していく必要がある。」

Q.2「更なる新戦力の出場があるかどうか。」

A.「高卒ルーキーの32福元 友哉が10分程度途中交代で出場した。持ち味のタッチの柔らかさであったり、高さという武器を発揮し辛い状況であったが、サイド奥深くで、しっかりキープするなど、自分のすべき仕事しっかり理解出来ていた。後は、空中戦の勝率がもっと高める事が出来るかどうか。そして、ポストプレーなども同じく途中出場の18斎藤 和樹などを活かす事が出来ていればもっと良かった。」

Q.3「左CBは、誰が任されるのか。」

A.「キャンプ後にチームに合流した6喜山 康平が、スタメン出場した。その左足からサイドチェンジやビルトアップ、ロングパスなどで、攻撃での貢献は大きかった。また、セットプレーの混戦の中で、押し込みダメ押し点を決めるなど、勝利に貢献した。全体を通して安定感もあり、次節もスタメンの可能性は高そう。」

Q.4「19仲間 隼斗の代わりに誰がリザーブ入りするのか。」

A.「32福元 友哉がリザーブ入りした。また25武田 将平に代わって17関戸 健二がリザーブ入りして、31下口 稚葉を押し出して27チェ・ジョンウォンがスタメン落ちした関係で、リザーブ入りした。この辺り、4バックを意識したリザーブ構成になっており、WBの選手の代役の選手が不在でした。」

Q.5「流れからの得点を決める事が出来るかどうか。」

A.「この試合でも得点することが出来なかった。しかし、一度しっかりパスを1タッチを絡めて素早くパスを繋ぎ良い形を作って、最後11三村 真がミドルシュートが外れたシーンが一番惜しかった。また、クロスの流れから24赤嶺 真吾が空振りしたシーンは、勿体なかった。」

Q.6「低パフォーマンスに終わったLWBに手を加えるかどうか。」

A.「11三村 真が、引き続きスタメンで出場。この試合では持ち味のスピードを活かす仕掛けやミドルシュートなど惜しいシーンを作った。ただ、RWBの21椋原 健太と比べて、絶対的なパフォーマンスかと問われればそうとも言えず、シーズンを重ねて行く中で、LWBの序列が変わる事も十分考えられる。」

Q.7「前節有効であったハイプレスはこの試合でも機能するかどうか。」

A.「前節の様に前線の高い位置で、奪いきってショートカウンターという事は出来なかった。しかし、前線から失敗してもしっかり回数をこなした事で、簡単にクロスを入れさせず、25ネイツ・ペチュニクの高さと9大黒 将志の動き出しを封じる事が出来た点は、大きかった。」

Q.8「効果的であった右サイドからの崩しとセットプレー以外の攻撃パターンを作る事が出来るかどうか。」

A.「この試合でもセットプレーの流れから3得点。流れからも得点こそ出来なかったが、やはり右サイドでのパス交換やスペースを使ってクロスから形を作った。6喜山 康平がスタメンに戻ってきた事で、多少良い形で左サイドで11三村 真が受ける事で出来、距離感も多少改善した。ただ、21椋原 健太を中心とした右サイドの攻撃と比べて、手を加える必要はやはりある。また、14上田 康太から裏へのスルーパスというシーンも何度かあり、開幕戦よりは内容が良かった。攻撃パターンを増やすことは依然として重要度の高い課題ではあるが、着実に前進出来ている。」

Q.9「強力な栃木の2トップを抑える事が出来るかどうか。」

A.「前述で少し述べたが、ハイプレスが有効で、被クロス回数を抑える事が出来た事で、仕事をさせなかった。ただ、やはり25ネイツ・ペチュニクの技術に裏打ちされたキープ力であったり、数少ない栃木のサイド攻撃時の9大黒 将志の動き出しにスピード感があり、嵌ればやられるという怖さがあった。次の対戦時には、J2標準の組織的守備で安定感が出て、攻撃回数が増えてくれば、この2トップは、脅威になると感じた。そういった意味で、まだ開幕して2戦目であるが、無失点に抑えられた点は、一定の期待度を持つことが出来る内容であったと思います。」

Q.10「攻撃の貢献度の高い攻撃的MFに対してどれだけ有効な守備が出来るかどうか」

A.「ドリブルで仕掛けられてバランスを崩されたシーンもあった。またポストバーに当たる強烈なシュートも打たれた。バイタルエリアのケアと個の仕掛けに対する守備の対応は、改善の余地がある。ただ、基本的には選択肢を狭めて、自由を大きく制限出来る守備により、完封に繋げることができた。」

4、文章評

 久々のJ2での対戦となった栃木とのホーム開幕戦。同期昇格のライバルであり、負けたくない相手。そして、社長の退任が発表されて、複雑な心境のサポーターも多い中、安心して送り出すためにも退任まで、しっかり強い岡山を見せて、そのままJ1昇格から定着へと繋げるためにも大事な1戦。
 岡山は、2季前に採用していた矢島システムの様に14上田 康太をアンカーに置いて、攻撃を一任するサッカーを選択。最終ラインに6喜山 康平も加わった事で、ビルトアップの質の高さが増し、それが間接的な勝因となった。実際に、しっかり前に運ぶことが出来ており、更に前線に収まる9李 勇載(イ・ヨンジェ)と24赤嶺 真吾がいる事で、前線でのファールを貰う回数やCKが増えて、セットプレーの機会増からの得点増に繋がっている。特に、今季は、身長が高い選手が多く、セットプレー時のマークが分散している点も大きい。キッカーも昨季の精度の維持が出来ており、単純に考えて破壊力は大きく増している。
 また、右サイドから有効な攻撃が出来ている点も今季の岡山の強みと言えそう。そのサイド攻撃の軸を担っているRWBの21椋原 健太のクロスまでの形が非常にスムーズな上に精度も高く、待望のJ1クラスのサイドのスペシャリストである事は間違いない。右サイドからの攻撃は貴重な得点源になる事は間違いなく、ターゲットも9李 勇載(イ・ヨンジェ)と24赤嶺 真吾と高身長の選手が、2人に増えており、流れから得点出来るならまずは、ここではないかという期待感があります。
 そして、この試合では、ルーキーの33阿部 海人がプロ初ゴールを決めて、しかもそれが、ファジアーノ岡山のJ2通算400ゴールという事で、持っている選手と感じました。プレーも堂々たるプレーで、デュエルがしっかり出来ている選手で、強くて速くて賢くて非常に頼もしいプレーぶりでした。
 そういった33阿部 海人のメモリアルゴールなどもあり、試合はセットプレーから3得点。3点差開いた事で、チームとして余裕を持つことが出来、ルーキーの32福元 友哉を試すことが出来た。18齊藤 和樹や15末吉 隼也のフィットは、もう少しかかりそうな印象を持ったが、負担のかかる前線の2人を交代できる点は大きく、チームの総合力を上げるために積極的な起用が出来る選手層は、本当にありがたい。
 開幕戦であるアウェーの徳島戦では退場者を出しながら0-1での完封勝利。そして、このホーム開幕戦では、セットプレーで3得点かつ完封で、3-0というスコアでの快勝。一見最高のスタートを切ったと言えそうではあるが、徳島はエースの山崎が欠場、栃木は久々のJ2に戸惑っており、まだまだ状態の悪い2チームとの対戦であったことを考えれば、手放しでは喜べない。確かに昨季難しかった完封での勝利と連勝をいきなり出来たという最高のスタートではあるものの次節から状態の良い大分を含め、J2での昇格候補との対戦が待っており、ここで、どれだけ勝ち点を稼げるかで、序盤の岡山の真の強さが問われる事になる。

5、数値評価

評価基準

良:A~E:悪

H:岡山

攻撃評価:B
守備評価:B
采配評価:B
総合評価:B

A:栃木

攻撃評価:D
守備評価:E
采配評価:D
総合評価:D

6、試合評

Man Of the Match(MOM):14上田 康太(岡山)
Most Impressive Player(MIP):33阿部 海人(岡山)
満足度:7点(10点満点)

7、今季の成績

勝敗(2/42)
2勝0分0敗(2位:勝ち点6)

得失点
4得点0失点(+4)

得点
6喜山 康平×1(頭1)、8塚川 孝輝×1(頭1)、14上田 康太×1(FK左足1)、33阿部 海人×1(左足1)

アシスト
8塚川 孝輝×1(頭1)、14上田 康太×1(FK左足1)、24赤嶺 真吾×1(右足1)


FK→頭×1、直接FK×1、FK→混戦→左足×1、CK→混戦→頭×1

失点
無し

岡山から世界へ 
To Be Continued

by 杉野 雅昭(masaaki sugino)

 記事の質の向上のために反対意見や間違いの指摘などのコメントも大いに歓迎ですので、気軽にコメント宜しくお願い致します。また、イイネ数は、記事を書く意欲へと繋がる事に加えて、記事を書く上での参考とさせて頂いています。

chat コメント 

コメントをもっと見る

通報するとLaBOLA事務局に報告されます。
全ての通報に対応できるとは限りませんので、予めご了承ください。

  • 事務局に通報しました。