レビュー:2018:J2:第5節:A:vs京都サンガF.C.「この試合でもチームとして完成度の高さを見せて辛抱強く勝利を掴む」
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杉野雅昭
2018年03月25日 01:17 visibility174
京都vs岡山:0-1
得点者:4濱田 水輝(8塚川 孝輝)
観客数:3,639人
1、チーム情報&評点
評価基準
良:1~5:悪
審判
主審:三上 正一郎:2.5
副審:武部 陽介、赤阪 修:2.5
第4の審判員:須谷 雄三
A:岡山
監督
長澤 徹:2.0
スタメン
9李 勇載(イ・ヨンジェ):2.0
19仲間 隼斗:2.0、18齊藤 和樹:2.5
11三村 真:2.5、15末吉 隼也:2.5、8塚川 孝輝:2.0、21椋原 健太:2.5
6喜山 康平:2.5、4濱田 水輝:2.0、3後藤 圭太:2.5
22一森 純:2.0
リザーブ
GK:13金山 隼樹
DF:31下口 稚葉
MF:14上田 康太、7伊藤 大介、17関戸 健二
FW:32福元 友哉、24赤嶺 真吾
途中交代
9李 勇載(イ・ヨンジェ)→24赤嶺 真吾:2.5
18齊藤 和樹→17関戸 健二:2.5
19仲間 隼斗→32福元 友哉:評価不可
H:京都
監督
布部 陽功:3.0
スタメン
9レンゾ・ロペス・パトロン(レンゾ・ロペス):3.0
13岩崎 悠人:2.5、11湯澤 洋介:3.0、14仙頭 啓矢;2.5、22小松屋 知哉:3.0
3宮城 雅史:3.0
6本多 勇喜:2.5、4田中 マルクス闘莉王:2.0、15染谷 悠太:2.5、30石櫃 洋祐:2.5
21清水 圭介:2.5
リザーブ
GK:金 喆鎬(キム・チョルホ)
DF:2磐瀬 剛、26下畠 翔吾
MF:7田村 亮介、16沼 大希、18望月 嶺臣
FW:19大野 耀平
途中交代
11湯澤 洋介→16沼 大希:評価不可
9レンゾ・ロペス・パトロン(レンゾ・ロペス)→19大野 耀平:評価不可
2、得点経過
A:岡山:0-1:4濱田 水輝(8塚川 孝輝)
経過
右サイドのパス交換での崩しで、CKを岡山が獲得。キッカーは、15末吉 隼也。15末吉 隼也の蹴ったボールは、4田中 マルクス闘莉王に頭でクリアされます。しかし、毀れ球の先に居た8塚川 孝輝が、右足でダイレクトでのクロスを入れます。その先に居た4濱田 水輝が高い打点のヘッドで、GKの21清水 圭介より先に触って、押し込み岡山が先制。
コメント
京都が、ゾーンで守っているので、一番得点し易い危険なゾーンに的確に選手を配置されているので、岡山としては、その間を狙いたかったところでした。しかし、一番空中戦の強い4田中 マルクス闘莉王に所に行ったので、クリアされてしまいました。それでも幸運なことに、岡山の選手の下へセカンドボールが行った事で、岡山は、2次攻撃を仕掛ける事が出来ました。そのセカンドボールの落下点に居た8塚川 孝輝が、トラップせずにダイレクトで高めのボールを入れた事で、ラインを上げて状況を落ち着かせようとしていた京都でしたが、守備態勢の再構築が間に合わなかった。その結果、ゴール前に入れる事に成功し、ほぼフリーになっていて高身長で空中戦に強い4濱田 水輝のヘディングシュートでの得点に成功しました。
また、岡山は、このシーン以外のセットプレーでもショートコーナーや2次攻撃で、京都のゴールに迫っていました。得点出来たのはこのシーンだけでしたが、得点の匂いがする可能性があるプレーが多く、非常に有効であったことは間違いないと思います。
京都のゾーンディフェンスは、普通に行けば4田中 マルクス闘莉王と9レンゾ・ロペス・パトロン(レンゾ・ロペス)の2人を中心とした空中戦には強いチームであると思います。しかし、そのバランスが崩れた所を狙えば、隙が生まれる事は、恐らくリサーチ済みだった筈です。今季の強みであるシンプルな精度で勝負するのではなく、ショートコーナーなど変化をつけた事が、功を奏した得点とも言える。
3、注目ポイント
Q.1「連戦という事で、どれだけ出場機会が少なかった選手がでるか。また、もし初出場選手がいたら、その選手の出来はどうだったか。」
A.「まず、初出場の選手として、4濱田 水輝。プレー詳細は、Q.5で触れたいと思います。後は、初スタメンの選手として18斎藤 和樹、19仲間 隼斗、15末吉 隼也。
18齊藤 和樹は、途中出場よりは、得点の匂いがしました。24赤嶺 真吾程のチャンスメーク力は高くはなかったですが、一定のポストプレーとクロスボールへの反応やゴール前で動きは、得点の匂いがする所へ顔を出していたと思います。19仲間 隼斗のミドルシュートにしっかり詰めていたシーンは、残念ながらボールがGKの方へ行ってしまいましたが、こういったプレーが出来ていた事を考えると、周りがしっかり攻めようという意識が高ければ、一定の仕事が出来る選手であると感じました。ただ、やはり単独の仕掛ける力というのは、やはり少し物足りないのも事実で、チームとして、その辺りをどう考えて起用していくかというのは、1つのポイントになると思います。
19仲間 隼斗に関しては、ドリブルでの仕掛けにキレがあり見ていて期待感を感じました。また、シュートを打てる場所に顔を出せるだけではなく、シュートテクニックのある選手で、1トラップからのボレーシュートも僅かに右にそれましたが、奇麗で惜しいボレーシュートでした。こういった事を考えると、パスを受けて、ドリブルで仕掛けて、シュートを決めるという自己完結して得点を決めることが出来る選手であると思います。近い内に得点を決める事が出来る可能性を秘めた選手であること間違いなく、これからの活躍が楽しみです。
15末吉 隼也は、14上田 康太に比べてミスパスが多いのが少し気になりましたが、時々魅せる丁寧なパスというのは、大きな魅力に感じました。シュートシーンなどで、少し慌ててふかしたシーンもあり、そういったミスキックしてしまうシーンが多く、似たようなシーンでしっかり蹴れる安定感というのが欲しい。ただ、プレースキックが直接では無いものの精度の高さから得点に繋がったと言えると思いますし、キッカーとしてある程度期待できると思いますので、これからの活躍が楽しみです。」
Q.2「メンバーが大きく変わった場合に、チームとしてどれだけ機能していたか。また、ほぼ同じだった場合に、疲労の影響がどれだけあったか。」
A.「5人のメンバーの変更に留めた事で、チームとしての機能具合に関しては、問題なく機能していたと思います。特に守備の部分では、攻守の切り替えの速く、押し込まれても球際の所でも体を張って防ぐ守備が出来ていました。例えば、前線からプレスをかけて奪いきったシーンがありましたし、バイタルエリアで14仙頭 啓矢にシュートフェイントで、対応していた選手が一人剥がされましたが、他の選手がシュートコースにしっかり入った事で、体に当たって枠を超えて行きました。J2レベルに関しては、11人全員がこういった守備をしっかりしていたらなかなか崩す事は難しいと思います。まだ、圧倒的な強さというのは備わっていないので、相手が戦意喪失させてしまう強さこそ無いものの、追いついたり逆転出来そうで出来ない。近そうで遠い強さを持ったここまで戦いぶりであると思います。」
Q.3「連勝が止まった事がこの試合にどう影響しているのかどうか。影響なくしっかり戦えているのか。もしくは、攻守で影響があるのか。」
A.「動揺することなく、しっかり自分たちのサッカーが出来ていた。まず、守備から入り、前線からしっかりプレスをかけて奪う。前から行っているので、押し気味に試合を進めることが出来ていました。
また、前節失点してしまった終盤の守勢に守る時間帯もしっかり守り切り、この試合も完封での勝利。負けたわけではないですし、逆に気が引き締まったと言えると思います。」
Q.4「大分戦と松本戦では、守備が堅くセットプレーと流れからなかなか形を作れなかった。京都に対してはどうか。」
A.「京都の守りがゾーンディフェンスで、全体的な高さ不足している事と、2次攻撃の判断の質がそこまで高くなかった事で、得点に成功した。今季の京都は、セットプレーでの失点が多いらしく、そこを突いてしっかり得点に繋げる事が出来たと言えると思います」
Q.5「33阿部 海人の代役は、誰か。」
A.「4濱田 水輝が代わりにスタメンとなったが、正確に言うと3後藤 圭太がRCBに入った。3後藤 圭太のRCBは、33阿部 海人みたいなスピードとボール奪取力に欠けた分、ファールが少し多くなっていました。ただ、攻撃参加や空中戦の強さという持ち味を出せていたと思います。
また、今季初出場初スタメンとなった4濱田 水輝が、DFリーダーとして無失点に貢献してくれました。空中戦の強さとポジショニングといった良さを見せてくれたと思います。そして、セットプレーの流れから得点を決めるなど、持ち味を発揮し、レギュラー奪取に向けて良いアピールになったと思います。ただ、33阿部 海人の様な地上戦におけるボール奪取するプレーや自由を制限する守備では負けていましたが、4濱田 水輝の特徴である空中戦の強さをどう考えて起用していくのか。監督の今後の決断に注目したいです。」
Q.6「メンバーの大幅変更が予想される中で、課題であった左サイドの人選に進展があったかどうか。」
A.「11三村 真の出来が今まで一番良かったと思います。課題であった守備力や判断力が問われる場面が少なかった事も関係していますが、攻撃時にある程度絡めていました。ただ、満点を出すまでは行かないといのが、正直な感想。しかし、スタメンの最有力候補であるという事に対して、一定の理解を出来る一方で、新人にチャンスを与えないのかというのは、気になる所ではありますが、然るべき時にその辺に着手して欲しいと思います。」
Q.7「選手層の厚みという強みがあるのが今季の岡山だが、それを長澤 徹監督が、活かす事が出来るかどうか。」
A.「ここまでスタメンでも不思議ではない4選手をこの試合のスタメンとして起用。チームとしての攻守のバランスを崩さない範囲で、巧くターンオーバーで、見事勝利に導いた。この点は、素晴らしかったと思います。」
Q.8「相手のエースである9レンゾ・ロペス・パトロン(レンゾ・ロペス)を空中戦及び地上戦で、どれだけ抑える事が出来るか。」
A.「試合内容的に、ほぼパーフェクトと言える出来であったと思います。4濱田 水輝を中心に空中戦の強さと厳しい守備対応で、チームとして巧く抑える事が出来たと思います。危険な位置でのファールもほぼ無かったですし、チームとして冷静さを持ちつつも熱い気持ちの籠った良いプレーが出来ている証拠であると思います。」
Q.9「高い得点力のある4田中 マルクス闘莉王の得点力をチームとして危険を察知し、結果を残させずにしっかり守れるか。」
A.「終盤のパワープレーの時間帯は、4田中 マルクス闘莉王を抑える事は出来ませんでしたが、結果は残させなかった。やはり空中戦の強さは、岡山のCB陣でも勝てないシーンも多く、危ない場面を作られてしまった点は、痛い所でした。しかし、チーム一丸となってゴール前で、起点を作られた後のプレーで、パスを受けた選手に対して、しっかり厳しくフェアーに寄せて行く中で、行動を制限し、シュート打たせない、シュートを通さないそういった守備で、チームとして守れたと思います。
そして、守備時には、パス・クロス・セットプレーで、しっかり形を作って良い攻撃を出来ていたので、4田中 マルクス闘莉王が、守備で目立つというシーンも少なかった事で、セットプレーの流れからではありますが、得点に繋がったと思います。ただ、その得点シーンでは、一度4田中 マルクス闘莉王が競り勝ってクリアされたシーンからでした。しっかりクリアされていましたが、チームとして2次対応する柔軟性が今の京都に無い事は関係していたと思いますので、4田中 マルクス闘莉王の存在は、岡山がなかなか得点出来なかった理由ではある。この試合のプレーを見て改めて良い選手であると感じました。」
Q.10「30石櫃 洋祐のスタメンの可能性が高い右サイドをどれだけ抑える事が出来るか。」
A.「こちらに関してもほぼパーフェクトに抑える事が出来たと思います。というよりは、右サイドからの攻撃自体が少なかった。プレースキックでは危ない場面を演出されたものの対戦時に毎試合オーバーラップから形を作られていましたが、この試合の右サイドの前の22小屋松に収まってなかった事大きく、逆に左サイドの13岩崎 悠人には、そのスピードを活かしたドリブルなどで、形を作られました。基本的には、両SBの攻撃参加をある程度抑える事が出来ていたと思います。」
4、文章評
京都戦と言えば、豪雨というイメージが強いのですが、この試合も雨で、なんと今回は、雹が降ったとか。非常に寒い中の試合でしたが、多くの岡山サポが、京都の地に訪れて、後押ししたことが勝因の1つと言えるでしょう。
試合の方は、終盤こそいつもの如く押し込まれて守勢に回ったものの、前半、前からのプレスで、シュート1本に抑えつつも惜しい形を作ってゴールに迫るという今季の岡山らしいサッカーを展開出来ていました。この試合でも前から奪ってショートカウンター、9李 勇載(イ・ヨンジェ)をターゲットにした攻撃が有効でした。
もうプレスをかけつつ9李 勇載(イ・ヨンジェ)のスピードと高さで、形を作るというのが、定石になっています。このパターンは、ここまで5試合で、嵌っており、攻守で良い効果を生み出しています。
更に今季は、苦し紛れのロングパスを跳ね返す屈強なCB2人と、中盤に8塚川 孝輝がいる。高い制空権を持っており、チームとしてある程度戦えていると理由の1つです。
そういった岡山の良さを発揮し、スタメンを5人入れ替えてもベストメンバーの時に近いサッカーが出来たのは、今季の強さの証であると思います。改めて選手層の厚さを感じた試合で、今後の試合で、更なるニューヒーローの誕生するのがいつかは、楽しみな点です。
そして、この試合の結果、単独首位に立ち最高のスタートダッシュを切れましが、この好調をどこまで維持できるかどうか。そういった楽しみがあります。チームとして完成度が増して来る終盤にどれだけ勝ち点を稼げるか。今季もそういったシーズンになると思いますし、今からその点に着手し、しっかり昇格に向けて、しっかり戦って欲しいと思います。
5、数値評
評価基準
良:A~E:悪
A:岡山
攻撃評価:B
守備評価:A
采配評価:A
総合評価:A
H:京都
攻撃評価:C
守備評価:C
采配評価:C
総合評価:C
6、試合評
Man Of the Match(MOM):4濱田 水輝(岡山)
Most Impressive Player(MIP):4田中 マルクス闘莉王(京都)
満足度:7点(10点満点)
7、今季の成績
勝敗(5/42)
4勝1分0敗(1位:勝ち点13)
得失点
7得点1失点(+6)
ゴール
4濱田 水輝×1(頭1)6喜山 康平×1(頭1)、8塚川 孝輝×2(頭1、右足ミドル1)、14上田 康太×1(FK左足1)、24赤嶺 真吾×1(左足ボレー)、33阿部 海人×1(左足1)
アシスト
8塚川 孝輝×2(頭1、右足1)、14上田 康太×2(FK左足1、クロス左足1)、24赤嶺 真吾×1(パス右足1)、9李 勇載×1(右足1)
得点の形
クロス→左足ボレー×1、FK→頭×1、左足直接FK×1、FK→混戦→左足×1、CK→混戦→頭×1、速攻→ポストプレー→右足ミドル×1、CK→2次クロス→頭×1
失点
CK→ショートコーナー→右足(ミドル)×1
得点時間帯
7得点:前半×5、後半×2
失点時間帯
1失点:後半×1
岡山から世界へ
To Be Continued
by 杉野 雅昭(Masaaki Sugino)
記事の質の向上のために反対意見や間違いの指摘などのコメントも大いに歓迎ですので、気軽にコメント宜しくお願い致します。また、イイネ数は、記事を書く意欲へと繋がる事に加えて、記事を書く上での参考とさせて頂いています。
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