広島戦での巨人-原監督の采配を検証:スモールボールが自己目的化していないか?
-
元大阪爺
2015年07月27日 21:22 visibility472
全く当たり前の事だが、スモールボール(機動力やバント等の小技を重視する戦法:高校野球でよく使われる戦法)をするのは、それをしない時より(その打者に普通に打たせるより)得点の確率を上げるためである。他方、負ければ次がない高校野球と違って、プロ野球リーグ戦は143試合トータルで考える必要があるので、目前の1試合に勝つ確率を高めても、残り多数の試合の勝率を低くする采配はしてはいけないのである(簡単な悪例は、先発ローテーションに入っている投手を1試合に次々と投入する事)。
今回の広島戦の第2戦、第3戦で見られた巨人の3つのケースについて考えて見よう。
ケース1
第2戦の2ー0でリードしている4回表で一死満塁のチャンス。打者は投手の高木、3塁ランナー阿部でスクイズをやって高木が小フライを打ち上げて併殺。
普通に高木に打たせても点が入りにくいケース。だから、スクイズをしたくなる気持ちは分かる。3塁ランナーが阿部という事で、バッテリーも無警戒だった。他方、高木にかかるプレッシャー(良いバントをしないと転がしても併殺になる事)や下半身に故障を抱えてまともに走れない阿部への配慮があったとは思えない。実際、フライが上がった時の阿部は戻ろうというそぶりを一切見せなかった。足腰への不安を抱えているからだと思う。率直にいって、バントが転がってクロスプレーになって阿部がケガをするより、小フライで併殺になって良かったかもしれない。
評価
この場面で点をとる事だけなら理解できる。ただ、もう少し長い目でみれば良い作戦とは思えない。
ケース2
第2戦の5回表。4回裏に1点取られて、5回表に1点取り返し3-1として、なお2死1、3塁のチャンスで打者阿部、3塁ランナー坂本。ダブルスチールをさせて坂本が本塁クロスプレーでアウト。
阿部が打つ確率より、ダブルスチールの方が得点の確率が高いと監督が思っている事を示した采配。阿部のプライドや本塁クロスプレーで坂本がケガをする可能性を無視した采配。実際、坂本は、しばらく足を引きずるそぶりをみせた。ケガと紙一重だった。
評価
阿部の打撃が不調であることを考慮すれば、この場面で点をとる事だけなら理解できない事はない。ただ、ケース1以上に視点が短期的である。リードしていて、ゲーム中盤でやる采配だろうか?また、ペナント全体でみると、夏場に入ったばかりで阿部のモチベーションを下げ、坂本の故障のリスクを上げてまでやるべき采配だろうか?
ケース3
第3戦の6回表。0-0で無死1・2塁のチャンス。相手先発は左投手のジョンソン。3番坂本にバントさせたら空振りで2塁ランナーが飛び出して牽制アウト。坂本・亀井も凡退して無得点。
その前の5試合で16打数6安打(打率375)、前日の試合では先制本塁打を打っており、左投手への打率301(右投手には265)の坂本にバントをさせて、過去5試合18打数2安打(打率111)で対左投手の打率が205の亀井に何を期待していたのか不明。亀井の後ろの長野も過去5試合17打数4安打(打率235)である。クリーンアップで一番可能性のある打者にバントさせ、当たっていない打者に回すという謎采配。
評価
理解できない采配。スモールボールそのものが自己目的化しているという印象を受けた。
ケース1よりケース2、ケース2よりケース3とどんどん采配が悪化している。ケース1も2もリードした状況で序盤~中盤であり、ケース3は同点の中盤とはいえ、3連戦で2連勝した3試合目であり焦る状況ではない。総じて采配が近視眼的で後のことを考えていない。選手のプライドやモチベーションや体調(故障の状況)を考慮しているようにも思えない。夏場には入ったばかりであり、今からこんな余裕のない采配をしていて大丈夫だろうか?
sell首脳陣・フロントについて
-
navigate_before 前の記事
巨人の捕手・野手年齢分布と2015年オフの戦力外予想(7月26日版)
2015年7月26日 -
次の記事 navigate_next
巨人5-3DeNA 亀井のツーランでサヨナラ勝ち!
2015年7月30日
- 事務局に通報しました。
chat コメント 件