甲府、名古屋の現実主義の前に散る。

  • アオ
    2007年03月10日 19:31 visibility101

良い天気に恵まれたVFKホーム開幕戦でしたが、残念ながら名古屋と強風に完敗でした。


ホーム開幕戦で、いつものように前からの守備と高い位置でのボール回しを狙っていた甲府に対し、前半風上に立った名古屋はボールを中盤で一切回さずに、徹底して甲府のディフェンスラインの裏にロングボールを蹴り込んできました。

昨年までの水戸がよくやっていた作戦ですが、それ以上の徹底度で、ほぼ100%ロングボール。確かにつまらないサッカーかもしれませんが、強風によってボールの処理が難しいことに加えて、甲府の良さを消した上で名古屋の個々の選手たちの能力を生かすという意味では非常に効果的でした。裏に飛び出すスピードがある杉本、前線のヨンセン、危険なパスが出せる中村直志の3人が活かされるだけでなく、2列目3列目から本田やキムジョンユが飛び込んでくることで、高確率で決定機を作り出しました。

甲府はキックオフ直後の最初のロングボール攻撃でシュートを打たれて以降、ほぼ3分おきに、前半20分までに6本か7本も打たれました。阿部の頑張りもあって何とか防ぎましたが、この時間帯でかなりの体力を消耗したのは間違いありません。攻撃に出て押し込んで行ったところから、いきなりロングボールで返されて、しかもそれをシュートにまで持っていかれるのですから。

その後、前半は名古屋の元ヴェルディ・米山選手の負傷をきっかけになんとかリズムを取り戻しますが、名古屋の徹底したロングボール作戦はその後も続き、じわじわとさらに体力を削られます。終了間際、左サイドのアルベルト選手から中央の藤田選手への早いグラウンダーのクロスはぴたりと合いましたが、惜しくもシュートは浮いてしまいました。

後半、逆に風上に立った甲府でしたが、名古屋のディフェンダー陣は強気にラインを下げずに対応。甲府は攻め手が見つからず、相手のプレッシングからミスを連発。そこからカウンター気味にまた裏に出されたボールは強い逆風にもかかわらずちょうど走りこむ名古屋の中村直志選手に合い、早く低いすばらしいクロスからキムジョンウ選手があっさりと2試合連続のゴールを決めました。アウェーにも関わらず、グランパスの選手の方が小瀬の風の利用ができていました。

この失点で、前半から守備で走らされたことがボディーブローのように効いてきて、運動量が落ちてしまいました。すると左ウイングバックで先発していたオリンピック代表の本田選手が、テクニックを活かした頭脳的なプレーで甲府の右サイド深くに侵入する機会が増えてきて、甲府の強みである右サイド攻撃がほぼ完全に消されてしまいました。

甲府ベンチもすかさず攻撃の選手を次々に投入しますが、先発した新加入のセンターフォワード、アルベルト選手も名古屋の粘り強い守備に封じられて出来が悪く、2列目の石原選手も切れのあるプレーを見せることが出来ず、甲府の得意とする相手陣内でのパス回しがなかなか始められません。横パス・バックパスが目立ちます。後半の中盤以降は左サイドになんとかスペースを見つけて攻撃を試みましたが、まともなクロスボールを上げるまでに至りません。唯一チャンスメーカーとして機能していた藤田選手のクロスも強風にあおられて微妙に合わず、決定機は生まれません。


そうしているうちにも甲府陣右サイドには本田選手や中村選手が入ってきます。終了10分前には甲府自陣右サイドの深いところで、マイボールをクリアするかつなぐか迷ったところを本田選手らに詰められて奪われ、ペナルティエリア内まで進入を許し、セオリーどおりに詰めてきた玉田選手にきっちりが決められて追加点を奪われてしまいました。


結局、甲府は楢崎選手を脅かすシーンを一つも作ることが出来ませんでした。

今日の名古屋のサッカーは、外国人監督らしい結果にこだわったエグいサッカーで、正直言って内容的には見るべきところはあまりなかったのですが、個々の選手の能力が高い名古屋だからこそできるサッカーでした。甲府の特徴を消し、風を味方につけて個々の選手の能力を勝利に結びつけたという意味で、見事な采配だったと思います。若手も目立ちましたが、藤田選手や大森選手など、ベテランもいいプレーを随所に見せ、勝利に値する出来でした。


甲府は風上になった後半はもっとミドルシュートを打ってもよかったように思います。他にはちょっと攻め手がない感じでした。


連れて行ってもらった生粋の甲府サポと帰り道に話したのですが、今月の甲府はナビスコカップでまた名古屋と2回対戦する上に、浦和とガンバという強豪を相手にすることになります。2トップに変更して新外国人選手を2人同時に使うとか(その分林選手の負担が増えてしまいますが)、工夫しないとなかなか厳しいものがありそうです。


とりあえず今日は、去年までの戦術は対戦相手に十分研究されてしまっていることがはっきりした、ということだけが収穫でした。

個人的にはハーフタイムの抽選会で双眼鏡とメガネ商品券が当選したという収穫もありました

が…。

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