降格した年のヴェルディのよう
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アオ
2007年03月09日 16:03 visibility85
ジュビロは、前半20分まではレイソルとの激しい中盤の争いをうまくいなす柔軟性があったのだが、レイソル鈴木選手のチーム最初のシュートが田中選手の足に当たってバーをたたき、こぼれ球につめたフランサがなんなく頭で押し込んで先制されると、その後は互いにややルーズになった中盤で磐田の攻守の切替えが遅れてくる。
先制したレイソルは左の菅沼選手、右の鈴木選手が効率的な攻撃を見せ始めると、磐田の中心選手たちにもいらいらがつのる展開。西選手もタッチライン際においつめられて孤立していて、ほとんど怖さを発揮できず、レイソルのディフェンスラインを決定的に崩すまでには至らない。成岡選手は奮闘していたが、結局クロスボールもシュートもほとんど打てないまま。
前半終了間際にようやく左サイドで西選手が縦の突破からCKを得て、これで決めれば雰囲気は戻りそうだったが、なんとこのコーナーキックを蹴った選手(あえて名前は出さない)の軸足がすべり、ボールはゴール裏から必死の声援を送る磐田サポの真ん中に落ちる。しかもそのときゴール前につめていた鈴木秀人選手もなぜか負傷。そんな寒い雰囲気のままハーフタイムへ。
後半も追いつくチャンスがあったが、ゴール前であまりにフリーになったことで力が入ったか、成岡のシュートはゴール4個分ほど上に。せっかくの好機をフイにしてしまう。
その後はレイソルにカウンターからフランサ→菅沼と繋がれて点差を広げられると、さらに菅沼のミドルシュートをキーパーがはじいたところにフランサがしっかりつめて3点差に。これで運動量もモチベーションもがっくり落ちた磐田に対し、再び菅沼選手が個人技から美しいミドルシュートを放つとこれがゴール右上に吸い込まれ、万事休す。
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ジュビロは、いったん攻守の切替えが遅くなってきたときにリズムを切り替える選手がいない。降格したときのヴェルディを思い出す。ただ、その時のヴェルディにはワシントンや平本といった、個人でJ1の守備陣も突破できてしまう選手がいた。今年のジュビロにそうした選手は見当たらない。前線でスペースに出て行って攻撃の起点になれる選手というシーンがほとんどないのは重症だ。それでもサイドでボールを持てる選手や正面のポジションから正確なミドルシュートを打てるボランチの選手がいれば何とかなるのだが、新外国人選手も含めてそうした才能が今のジュビロにいるだろうか? 村井くらいではないだろうか。それでは、中盤でつなぐことはできてもチャンスを作ることはなかなかできない。先制を許さず、中盤の運動量と積極性が保たれていれば、相手の焦りからのミスを誘発して勝つことも出来るが、先制されたり、運動量が落ちたり、引いた相手に押し込めないと、もう何もできない。
上田選手や菊池選手といった若手の奮起に期待しながら前田選手の怪我の回復を待っているしかないのだろうか? しかしここはひとつ、カレン選手の覚醒に期待したい。とはいうものの、カレン選手も、代表抜けでなかなかチームにフィットするのに苦しみそうだ。
開幕戦を見る限り、ジュビロは非常に苦しい状況だといわざるを得ない。ディフェンスラインに難があるチーム相手でなければ、勝ち点を拾うのすら難しいのではないか。大分を迎えてのホーム開幕戦で違った姿を見せてくれることに期待するほかない。
逆にレイソルは、今シーズン加入した選手がみなそれぞれの役割を果たしていた。特にディフェンスの古賀選手とアタッカーの菅沼選手はチームに新たな武器をもたらした。二人とも得点能力があるし、コンビネーションにもそれほど問題はなさそうだ。2得点1アシストのフランサ選手も、もう少し体が絞れてきたらもっと動けそうだし、鈴木選手も切れがある。
数年前のレイソルとは全く違う顔ぶれになったが、まだまだ強くなりそうなこのチームには魅力がある。特に、J屈指の観衆の雰囲気を持つ日立台では彼らの輝きは一層増す。この地でアウェイチームが勝つのはなかなか厳しそうだ。
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