ユートピア

”ユートピア”  湊かなえ著  集英社
湊かなえの作品は初めて。
 ユートピアとうたった町だが、実際は程遠い。
  筆者の作品は女性目線、それもかなり厳しい見方で
   一方男性の存在感は極めて薄い。
地方の海辺の町鼻崎町は、食品加工会社ハッスイで持っていたが
 最近閉鎖の話が出ている。
  一方でこの町に移り住んできた芸術家たちも多くいる。
この町で生まれ育った菜々子、転勤族の妻・光稀、芸術家・すみれ等・・・
 そして小学生の娘達。
芸術家エリア岬タウンのすみれは、自分のプロデュースに余念がない。
 お祭りの火事騒ぎ、ネットの悪意の書き込み、過去の未解決殺人事件。
  小さな軋みが不協和音の様に拡散していく。
光稀の娘、彩也子のラストの作文は純粋さの中にも怖さを秘めている。
 車いす生活の久美香の素直な考え方が救いだが・・・

 

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