海うそ
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まこと@古希ジョッパークライマー
2018年05月06日 06:35 visibility178
”海うそ” 梨木香歩著 岩波書店
筆者の作品は久々。
本著は民俗学者が昭和10年ころに訪れた
遅島が舞台だが・・・
甑島をモデルとしているようだ。
遅島は民俗学者の父がかって僧侶として修業中
明治政府の意向で進められた神仏分離策が
急進派によって廃仏毀釈の行動を産み
父も無理やり還俗させられた島でもあった。
民俗学者が島で見た散々に壊された仏閣。
鹿児島・薩摩藩は最も忠実に行動したがゆえに
1600以上の寺で仏像、仏閣が壊されたところだった。
そして仏教よりも更にヒドイダメージを受けたのが
各地に古来から伝わる土着の宗教であったろう。
民俗学者が島内を巡って感じる寂寥感が
読者にも十分に伝わってくる。
そして更に50年近く経って、80才になった民俗学者が
大規模な島のレジャー開発直後に見た現実の島は・・・
皮肉なことに学者が捜し求めていたものをそこで目にするが
読後の寂寞とした感覚は拭うことが出来ない。
色即是空と筆者は表現しているが・・・
人間の破壊的行動にはやるせない思いを消すことが出来ない。
sellテニス
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