ヤンキースは機動力野球が苦手? プレイオフで当りたくないチームとは

  • 2012年09月30日 04:39 visibility115

レギュラーシーズンも残り20試合を切り、プレイオフに進出しそうな顔ぶれも少しずつ見えてきました。イチロー選手や黒田博樹投手が所属し、日本人も注目しているニューヨーク・ヤンキースは現在、東地区でボルチモア・オリオールズ(1位タイ)、タンパベイ・レイズ(3位)と地区優勝を争っています。そこで今回は、ヤンキースがプレイオフに進出した場合、ポストシーズンで当りたくないであろうチームについて話したいと思います。

 今、ヤンキースが最も恐れているのは、やはりレイズの存在でしょう。エースのデビッド・プライスをはじめとする若い剛腕投手陣は、今シーズンも群を抜いた成績を残しています。チーム防御率3.25、1215奪三振、被打率.231と、いずれもア・リーグ1位をマーク。しかも後半戦はさらに勢いを増してリーグ断トツの防御率2.57と、相手バッターはまったくのお手上げ状態です。現在、この強力レイズ投手陣から得点を取るのは、容易ではないでしょう。

 特に18勝&防御率2.54で現在2冠のプライスと、昨年のプレイオフでも好投したマット・ムーア、ふたりのサウスポーは左打者の多いヤンキースにとって非常にやっかいな存在です。さらに抑えのフェルナンド・ロドニーも、現在リーグ最多43セーブと絶好調。強力ヤンキース打線ですら、レイズ投手陣を打ち崩せていません。

 しかもレイズの強みは、投手陣だけではないのです。チーム打率、得点数ともにリーグ12位なのですが、盗塁はリーグ1位の127個をマーク。レイズの機動力野球は非常に油断できないと思います。さらに8月に左太もも痛で長期離脱していたエバン・ロンゴリアが復帰し、得点力もアップしました。今シーズン、ヤンキースはレイズと16試合戦って、6勝10敗と負け越しています。レイズの攻撃陣はここ一番の短期決戦で威力を発揮するタイプなので、ヤンキースはプレイオフに進出しないでほしいと願っているのでは

また、レイズと同じぐらい苦手としているチームが、ロサンゼルス・エンゼルス(西地区3位)でしょう。ジェレッド・ウィーバー、ザック・グレインキー、C.J.ウィルソン、ダン・ヘイレンと、エース級が4人揃う先発はリーグ屈指です。さらに「元祖スモールボール」と呼ばれるエンゼルスの攻撃も注目。今年メジャー記録の新人から12年連続30本塁打を記録した主砲アルバート・プホルスに目がいきがちですが、ア・リーグ2位の121盗塁、同1位の40犠打と小技をからめ、同3位の694得点を叩き出しています。

 その攻撃の核となっているのが、1番バッターのマイク・トラウトです。開幕23試合までマイナーにいたにもかかわらず、現在リーグ断トツの116得点をマーク。さらに27本塁打、そしてリーグトップの45盗塁と、パワーとスピードをいかんなく発揮しています。これほど怖い1番バッターはいないのではないでしょうか。毎試合、トラウトが初回に出塁して得点している印象があります。短期決戦での先制点は非常に大きいので、必勝パターンを持っている今年のエンゼルスは、例年以上にてごわいと思います。

 またデータを振り返っても、ヤンキースはエンゼルスに対して苦手意識を持っているようです。2000年以降は55勝62敗と、ア・リーグで唯一負け越しており、プレイオフでも過去15試合戦って7勝8敗。2度ディビジョンシリーズで敗退しています。

 こうして見ると分かるとおり、ヤンキースが苦手としているのは、強力な先発陣を擁した機動力野球のチームなのです。レイズのジョー・マドン監督は、かつてエンゼルスのマイク・ソーシア監督のもとで長年コーチを務めていました。よって、両チームのタイプが似ているのも納得

逆にヤンキースがプレイオフでやりやすい相手は、意外やリーグ3連覇を狙うテキサス・レンジャーズかもしれません。なぜかというとヤンキースとレンジャーズは、タイプが似ているからです。リーグトップの打率.276、744得点を誇るレンジャーズ打線は非常に脅威だと思います。しかしヤンキースは、こういうタイプとの接戦に強いのです。さらにヤンキースは、レンジャーズの守護神ジョー・ネイサンに対して、苦手意識もありません。かつて、ミネソタ・ツインズ時代のネイサンをプレイオフで攻略して、打ち崩したこともありました。

 最後に、意外なところでいうと、オークランド・アスレチックス(西地区2位)も嫌な相手と言えるでしょう。なぜならば今シーズン、驚異の快進撃を支えている投手陣が、これまで実績のないルーキー投手だからです。チーム新人記録となる13勝を挙げている左腕トミー・ミローンを筆頭に、先発陣の多くがルーキー。さらにクローザーのライアン・クックも新人です。あまりにも対戦データがないので、何が起きるか分からない1発勝負のプレイオフでは、非常に戦いづらいと思います。

 今年はワイルドカードの枠も増えましたので、最終戦までもつれ込みそうな予感がします。ヤンキースがプレイオフに進出する可能性は高いので、今から他球団の動向を追うのも面白いのでは


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